ひさね
2023-11-25 21:32:13
928文字
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焼き芋が美味い話

カキ視点。機密事項を焼いて食う芋が一番美味い。

 ふと、こんな話を思い出した。
 ■■■■■家の地下には存在しない子供がいるのだと。怪奇染みた話ではなく、正確に言うのであれば、存在しないことになっている子供がいると、祖父は良く語った。証拠さえ掴めればどうにでもできると最期まで息巻いていた。
 父も珍しく、これに関しては祖父の言動を肯定していた、微かな記憶がある。まだ幼い時分の、数少ない会話だった。物々しい封筒に紙を入れながら、祖父ほどの妄執じみた熱はなかったが、訥々と語った。
 曰く、場所のしれない別邸に無戸籍の子供がいるのだと。人が住むような場所ではない、スラムが近い砂漠の辺鄙な所、銀糸のような髪を蓄えて、紫水晶のような目をしている子供たちがいるのだと。外に出れば連れ戻されて、最後は、恐らく、惨たらしい目に遭うのだと。
 語りながら、どこか遠くを眺める目が思い出される。祖父のような野心や執念は、やはり感じられなかった。封筒を眺めながら、懐かしむような、郷愁のようなものがあったように、思う。
 そのまま資料はしまわれて、自分は家を出た。
 あの手に抱えていた資料が何だったのか。結局知ることはなかった。
 父の半生を知ることもないのだろう。
 そういうものだと生きていたら、会ったのだ。話に聞いたような人を。外で生きてきたらしい。
 しかし、その場所を聞いて、確信が深まる気がしてならなかった。同時に、見つけられない理由がないだろうと疑念も湧く。
 ところで、人にはどうも、極稀に陽射しに耐性がない人間がいるのだと本で読んだ。遺伝的な作用というよりも突然変異に近いらしい。この場合も似たような身体的特徴を得るようだ。件の家の初代当主も太陽光を避けていたという記録も父の書斎で目にしたことがある。元を辿れば、こういうものに行き着くのかもしれない。
 その人もそういう自然的な異変によるものなのだろう。そういうことにするしかない。
 どちらにせよ、目を瞑るべき事物は存在する。