不破
2022-07-21 22:58:37
3688文字
Public 空戦
 

#2




 眠るように意識を失ってしまったラザフォードを抱きしめたまま、ハーティアは薔薇色の目を伏せた。
 ラザフォードの症状は把握している。サバイバーズ・ギルトと呼ばれる深い罪悪感が、彼を蝕んでいるそうだ。それによって、彼はルフェーヴルの一族への復讐に囚われてしまっている。かつて、とても優しかったはずの彼が今では修羅のような顔をする。それが耐えられない。
 だから決めたのだ。ラザフォードの望みを叶えようと。そうすればきっと、昔の優しい彼に戻ってくれるはずだと信じて。

「メルゼブルクに連絡を。グリーディア皇帝と話がしたいわ」

 ラザフォードを休ませた後、ハーティアは部下にそう告げた。
 多くの施策を発表したグリーディア皇帝の真意や、ルフェーヴルの一族を見つけ出した経緯、それに協力したテイル・ルフェーヴルという人物、そして殺したという発言の真意。それ等を聞き出さなくてはならない。これは国際問題に発展しかねない案件だ。立ち入り調査等も行う必要があるだろう。あるいは……