ゆき
2023-09-17 00:06:49
6155文字
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拝啓 ネオンライトの夜(右しし)

しょくさい展示/まふさめれめぴこに可愛がられている🦁さん/一瞬だけセクキャバでバイトしてた🦁さんのキャストブログを眺めながら雑談?する話


「わかったわかった、やってやるから茶化すな!!」
「やってくれんのかよ」
「彼はこんな素直で大丈夫なのか?」
「やらざるを得ない感じにしといてそう言うこと言うなよな?!」
勘弁してくれと言ったものの、全く許される気配がなくやけっぱちで言ってしまった。言ってから気づいたが、だれもやれとは言っていないかもしれない。あれ?
「獅子神さんこっちこっち〜」
ボクにやって、と真経津が手招きをする。
「で?どうするの?」
「あ〜〜、オレのいたところオールダウンだったから、」
「景気のいい店だな」
「まーじで茶化すな、恥ずかしくなってきた」
「あなた恥ずかしげなくやってたのか」
「オールダウンってなに?」
「わーったから、説明するから黙ってろ!はい!!いらっしゃいませ〜、初めてのご来店ありがとうございます〜。」
お隣失礼します。と、隣に腰掛ける。急に座らず、手を置いて尻を下ろして、スッと寄る。いいソファなんだよな、真経津んち。
「膝には乗らんのか」
……お前も思ったより詳しいな?」
「付き合いでな」
「へーぇ」
「おい、誤解するな」
「へぇへぇ。システム入り口で聞かれたと思いますが、改めてご説明します~」
「入り口ないから聞いてないね」
「そーいうことじゃねーよ、あーはいはい、それでは説明いたしますゥ」
もうやめていい?ダメ元で聞いてみると、続けてよと返された。仕方がないので続けていく。
「うちはずっとおさわりオッケーですけど、おへそから下のお触りと、服の中に手を入れることは禁止、」
「あなたこれを服だと言っていたのか」
「止まんねーな横槍がよ?!わかったからその店ブログから古いの今更引っ張んなよ、ってその悲惨な奴見るなって!!」
村雨が手元で見ていたのは、イベントデーの悲惨なやつだ。
二度と見たくない。背中ががば空きのミニスカートのメイド服。背中ががば空きというより、前がシースルーのエプロンしかないバカみたいな布だ。
「つーかマジで潰れたら消せよなあの店」
「獅子神君、消すには対象の把握が必要なものだ」
一番古い日付にたどりついたらしい天堂が表示していたのは、連れていかれた日、初出勤と題された記事だ。
「おへそから下って店側が用意したセリフ?」
「いや、下半身って言ってたら『具体的にどこから〜?』ってケツ触ってきたヤツがいて頭に来たから具体性がいんなと思ってよ」
「なんでそこに向上心だしちゃったかな〜」
「マヌケ」
「触ってくる方が悪いだろ?!」
「うん、そうだね〜。ね、じゃあ獅子神さんはどこ触られたらうれしいのかな?」
「う、」
「教えて欲しいな、ボク初めてだし」
「〜〜ッ、手、触っていいですか?」
「いいよ、はい」
ロールプレイは続いている。差し出された左手を、両手で包むようにあずかる。上に重ねた右手でそっと撫でると、それを真経津の目が追った。ああ、なんの傷か聴かれるかな、と思ってから、思考が過去に引きずられていることに気づいて、それを押しやる。コイツが一番、よく知っているそれ。何を考えてるんだ。
「こう、手を回していただいて、くっついて、ぎゅってして」
体を真経津の方にむけて、くっつく面積を増やす。手を背中に回してもらって抱き寄せるような体勢になると、余った右手をとって親指のはらでさすってからめて、ぎゅっとしてから、ほどいて左胸にそっと添えさせた。
目を見て、ニコッと笑顔を作って、その反応でチップの計算をしたもんだ。でも、真経津の表情からは、どれくらい引っ張れるかは読めなかった。
「あ、でも先にドリンク作りますね。フリーなんで、何飲みま、す……お前らマジで人にやらせといて」
りんごジュースでもいいだろ、と視線を真経津から外して、周りの異様な空気に気づく。なんだこの雰囲気。
「黙って見てろと言ったのはあなただろ」
そりゃそうなんだけど。
「晨くんどう?」
「柔らかくてあったかいよ」
筋肉だからな。
「それで40分乳揉ませるわけ?」
叶が意外と詳しいのがなんか嫌だ。女の子の店の方だろうけど。
「そりゃおっパブなんだから揉ませるだろ」
なんで当たり前のことを答えなきゃいけないんだ。
「うわ!やらしい」
「叶オメーそれ言いたいだけだろ、ってこら、真経津、もういいだろ離せ」
揉むな揉むな。衣装ではなく普段着の、黒いニットの胸元を、脇から包み込むように手を這わされる。ぎゅっと真経津の手に力が入って、柔らかい胸筋が歪む。そういうカッコでもないのに、こういうことをされるのは、倒錯的で少し眩暈がした。
「え〜、服の上からなら触っていいんでしょ?」
「ここは店じゃねえしオレはキャストじゃねえ。よく考えたらなんでお前らにこんな見られながらやんなきゃいけねーんだよ、団体席はねーぞ」
「敬一君、ここ店じゃないぞ」
「そういう話じゃねぇ!!」
そもそも、あんなブログどうやって見つけたんだ。
「SNSでおすすめに上がってきた風俗店の子の写真が、獅子神君に似ていたので」
「ええ……?つーかそんな古い投稿あがってくんのか」
「おそらく誰かが見ていたんだろう。さて、獅子神君。店ももうない事だし、ブログごと消すか?DMであなたのサービス用の写真を得ていた客のことはどうする?」
「ふざけんなあの店勝手に写真ばら撒いてんのかよ、顔出てねぇだろうな」
「顔が写ったものはないな」
「よかった。消しちまってくれ、ほんとに、ひとつ残らず」
もう二度と思い出したくもない。本当に天堂が神様に見える。なんの宗教も信仰していないし、天堂の宗教のこともよくわからないけど。いま、この場においては。
「おっぱいは出しても顔は出せないって、獅子神さんの基準がよくわかんないよ」
「乳だって出してねぇよ!!」
「これで出してないって言い張れるって、おかしいだろ」
「そういいながらブログ見んのやめろ」
「いいじゃん、見納めだし」
「つーかマジでどこで判断したんだよ」
「見ればわかるだろ。なあ礼二君」
「ああ。変えられない身体的特徴というのはあるからな」
「へー、勉強になるねぇ」
「マジで言ってる?」
全員で検証したってわけ?
「消えたぞ獅子神君」
SNSもブログも、すべて。天堂に呼ばれて、画面を確認に行く。ばらまかれたものは残るだろうが、この手の店は入れ替わりも早いものだ。一ヶ月もいなかったキャストのことなんか、忘れるだろう。そもそも何年も前の話だ。
「黎明のバックアップ分もきちんと消した」
「ゲッ、ユミピコ悪さすんなっていったじゃん!」