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Sugar

十二仙太乙真人様×道士普賢。

「後悔なんてしてない」

まどろんでいると、急に背中が寒々しく感じた。心地よい温もりが離れていく。
まだ明けていない朝の薄暗い部屋の中、黒い髪が起き上がるのが見えた。まだ靄がかかった瞳でその影を見つけ、普賢は慌てて目を閉じる。
動きはゆっくりだった。まだ彼も起き切っていないのだろう。いつも寝坊ばかりするくせに、こういうときに限って早起きをする。起きるタイミングを失って、普賢は遠のく足音をただじっと聞いていた。

「今晩泊まりにおいでよ」
その言葉の意味が分からぬほど子供ではない、はずだった。先輩仙人である太乙真人とは、他の仙人たちよりも普段から親しくしていたし、彼の気持ちにも気づいていた。宝貝がどうの研究がどうのと言い訳のように話す彼を、意外と子供っぽいのだと呆れたぐらいだ。
だが、いざその瞬間になって、大いにうろたえたのは普賢のほうだった。迂闊だった、と普賢は思い、そう思ったこと自体に自分でも驚き、そして呆然としたまま朝を迎えた。

さっきぐずぐずしていないで、さっさと起きればよかった。そうすれば彼よりも先に身支度をして、いつもの顔に戻れたはず。
聞こえないようにため息をつく。ぽっかりと冷たい空気が、まだ背中に張り付いていた。