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無窓居室
2023-12-03 00:50:30
6899文字
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デートプラン😈👹😈(晩夏〜秋)
付き合ってるようないないような😈👹😈が実在の場所でデート(未満?以上?)する短文集です。
二人が普通に相手のこと大好きで原作の面影はあまりない。
書いてる奴の時間と気力が許せば増えていきます。
1
2
3
C〇STC〇
「大きいなー、こんな量で売ってるの初めて見た
……
あっ!これ安い!!
…
ん?なんだこれ。初めて見るぞ??」
「アカネさん、楽しそうですね〜」
大規模倉庫がそのまま店舗になった小売店の売り場。金属の骨組みが剥き出しの棚に荷台ごと陳列された商品たちを前に、アカネはすっかり興奮している様子だった。特にお目当ては精肉コーナーらしい。大容量のパックを自分の頭より高い位置まで積み上げて平然と持ち運ぶ姿が周囲の視線を集め始めたので、ブラックはさりげなく──という訳にはいかなかったが──国内の一般的なスーパーのものの倍はあろうかというカートを差し出して囁く。
「これを使って下さい。包装が多少ワイルドですから、服をドリップで濡らさないように」
「おっ、ありがと!」
同時に近くの客に弱い催眠をかけて先ほど見た光景を意識の底へと沈めさせる。そして何食わぬ顔をして二台目のカートと共に菓子コーナーへ向かった。
「沢山買いましたね。お肉だけじゃなくてプロテインやビタミン剤、筋トレ用品までですか?」
「そう言うアンタはお菓子ばかり買い過ぎだろ
…
」
溢れんばかりの戦利品を積んだカードをフードコートの脇へ置き、今度は大量の軽食で両手を塞いだ二人が互いに言い合う。アカネのトレイにはホットドッグにピザとプルコギベイク、青鬼ちゃんの分を考えても随分なボリュームだ。ブラックの方も期間限定だからとバケツのような大きなの容器に一杯盛られたドーナツボールにソフトクリームとコーラまで付けて負けていない。
平日の閉店間際でも店内はそこそこ混雑しており、ブラックとアカネは滑り込んだ空席でやっと一息ついた。
「人間界って色んなものがあるんだな。さすがにちょっと疲れたけど
……
でもすごく楽しかった!」
「気に入って頂けたみたいでお誘いした側としても面目が立ちます。良かったらまた一緒に来ませんか?」
「来る来る!せっかく年会費払ったんだもん!!」
普段なら好もしい、ざっくばらんな返答がこのときばかりは悪魔の癪に触った。ブラックとしてはわざわざ〝一緒に〟と釣り針に餌をつけたつもりだったのだ。〝気に入ったなら好きなだけどうぞ〟とでも突き放してみるべきだったろうか?
「あのー
…
相席、いいですか?」
そんな思考がアカネに伝わる前に遠慮がちな声が聞こえた。
見れば母親と子ども二人の親子連れが申し訳なさそうに四人掛けの席の空いた二席を指している。小さい方の子どもの視線の先では商品の受け取り列に並ぶ父親らしき人が手を振っており、本来なら四席必要だが子どもだけでも座らせてやりたいというところなのだろう。
「いいよ!でもこれじゃ狭いでしょ。アタシ達ももっと広いところで食べたいから、ここ使って下さい」
ブラックが返事をする前にアカネが席を立つ。食べ物を満載した段ボールのトレーを二つ、軽々と持ち上げるアカネに親子は揃って目を丸くしていた。もう記憶を誤魔化すのも面倒なので軽く会釈して離れようとしたブラックに、しきりに頭を下げている。
アカネはいつも通りヘソ出しのジャージルックでキャスケットを斜めに被り、ブラックもフレイムパターンのパーカーとズボンに厳つめのウォレットチェーンを重ね付けした服装だったので、見ようによっては強面のカップルに映ったかもしれない。勇気を出して声を掛けたのだろう母親に、ブラックは気さくに手を振った。
「おい、本当に腹壊すぞ。どんだけ食べる気だ」
「カメラちゃんの〝給油〟にお付き合いしてるだけですよ。それに、お腹壊したらアカネさんが介抱してくれるでしょう?」
「はぁ、何でそうなるんだよ
……
」
夜風の涼しい倉庫の出口付近で、ブラックとアカネはカートを高さの合わないカウンターテーブル代わりにしてスタンディングスタイルの軽食を楽しんだ。
……
と言えなくもない。軽食を食べきった後にカートのブラックライジングの大袋を破り、カメラちゃんと共に次々と口へ放り込んでいくブラックにアカネが苦言を呈する。
カウンターでの飲食はテーブルに比べて距離が近い分、仲が深まりやすいという説は人間界で初めて耳にした。気まずそうなアカネの顔を見れば、確かに先ほどまでよりはブラックの機嫌を察しているようだ。
「アタシ、何かやっちゃった?勝手に席譲ったのは悪かったかもだけど、でも、ブラックだって同じようにすると思って
……
」
「もちろん、俺ちゃんだってお譲りするつもりでした。アカネさんは偉いですよ。アナタのような方こそ地の塩、世の光です」
「なんか引っかかる言い方なんだよな
…
」
さっきまでの逞しさからは一転、喜んでもらえると思っていたことで叱られた子供のように表情を曇らせるアカネに、ブラックもそろそろ自らの大人気なさを改める気になった。自分もアカネも人間界では有数の力を持つ魔物なのだ。アカネの堪忍袋の緒が切れて本気の喧嘩にでもなれば、それこそ天地を割りかねない。
などと、月並みのエクスキューズを置いてから。
「また来ましょう。アカネさんとここへ来るの、オレちゃん気に入っちゃいました」
「
……
うん!」
急に意気揚々と言い出したブラックに戸惑いながらも、アカネは微笑む。裏のない顔で。
アカネに持ち前の力で大量の紙ごみを押し固めてもらい、ダストボックスへ入れると二人は駐車場へ歩き出した。
小型のSUVに変形したカメラちゃんの後部座席にまで買った品物を積み込み、幹線道路へ滑り出す。夜の市街地を走り出せば街の明かりが車内へ入り込んだ。
助手席でオレンジジュースの残りを青鬼ちゃんと分けているアカネを横目にブラックがアクセルを踏むと、黒とシルバーの車体は直線道路から忽然と消える。
一行は人の世を離れて魔界の家路についた。
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