【可惜夜廻】弐

『「すみません、よくわかりません。」』現行未通過×
※夜廻パロ




息を整え冷静さをいくつか取り戻したソウゲツは、再び町内掲示板と向き合う。先程の(思い出したくもない)あれを参考にする限り、この町にはオカルト的な何かが存在していることは間違いない。であれば、この掲示板に貼られたメモは貴重なヒントに成り得る。一通り覚えようと改めて読んでいると、ソウゲツは何故かとある一文が気になり首を傾げる。

『絶対に流れ星を見てはならない』
他のメモにはない『絶対』という文字、そして『流れ星』という単語。しばらく思案して、ソウゲツはまた幼い頃の記憶を思い出す。そういえば大層昔、親ではなく周囲から『この町で流星は災いを運ぶ』なんて教わったことがあった気がする。元々は外から来たらしい両親は、それをあまり信じていなかった記憶がある。しかしまだ幼い子供の自分は素直に聞き入れ、なるべく空を見上げないようにしていたはずである。


「(ヒロやアサヒは、何か知っているのか?)」


一時とは言えこの町から離れていた自分やカンジと違い、ヒロとアサヒはずっとこの町に居る。加えてヒロは、この町の長を父親に持っている。こういったオカルト的な事象やこのメモについて、何か知っていてもおかしくは無い。正直に全て話して理解を得られるかは分からないが、あの二人を頼る選択肢は存在している。


「(……一度屋敷に帰るか?)」


屋敷に一時帰還し、二人に話を聞くというのは悪くない選択に思える。まぁ二人は当然眠っているであろうから、叩き起こしてしまうのに罪悪感はあるが。しかし、ソウゲツはこのまま何も見なかったことにして眠りに就くことはできない。カンジを見つけ保護し、共に帰るまでは。


……ん?」


遠くから聞き慣れた音がして、俯いていた顔を少しあげる。車輪の回る音である。おかしい、終電はとっくに過ぎたはずなのに。駅の方角を見るが、明かりなどは特に見つけられない。しかし、電車の走る音だけは間違いなく聴こえる。
これまた不気味で奇妙な現象だが、今は少しでも情報が欲しい。もしかするとカンジも音に誘われ、駅の方へ向かっているかもしれない。ソウゲツは念の為だと自分に言い聞かせながら、駅へ向かって歩き出した。