【天使の上手な橋渡し】

『蹂躙するは我が手にて』現行未通過×

恋のなんちゃらに纏わる話
アルエル+メルロル





つまり? アル殿とエル殿が想い合っているから、その橋渡し恋のキューピットになってほしい、と?」

「その認識で間違いない」

「自分でやれ!! ボクを巻き込むなよ!!」


カロルが叫ぶこの部屋は、オレの寝室だ。あれから色々諸々あり、オレはカロルを自室に連れ去った。その後の二人は知らないが、恐らく寝室に行ったんじゃないだろうか。もしくは二人きりで酒盛りでもしているはずだ。


「だが、ロルくんも気になるだろう。あの二人だぞ? 拗らせていないとは考えられない」

「それは……そうだが」

「だろう? だから天使になってほしい」

「発想の!! 跳躍!!」


傷んでいるらしい腹を擦る姿は悲壮感漂うものだが、提案を取り下げる理由にはならない。特製の胃薬を手渡せば、「一人で需要と供給を満たさないでくれたまえ」と唸りながらそれを口にする。


「そもそも何をするつもりなのだ。下手を打てば、余計に拗れかねないぞ」

「そこはまぁ、キミの優秀な作戦でだな」

「ボクの作戦を何か勘違いしてないかキミ??」


彼はベッドの端で小さく蹲り、「どうしてこうなった」と頭を抱えている。ハムスターとかの小動物がゲージの角で震えてるみたいだな、と失礼極まりない感想を抱く。隣に座って背中を擦れば、彼は複雑そうにそれを受け入れる。


……はぁ。どうせ、自分だけでもするつもりなのだろう? なら手伝うさ。やるなら徹底的に、な」

「よっ、さすがは救済の作戦参謀! 内臓虚弱! 世界一の策略家!」

「褒めて貶して褒めで締め括るな」


コツンと、軽く頭を叩かれる。絶妙な距離感に心地よさを感じながら、残してきた二人のことを考える。

そもそもの話。アルドア・シュトラウトとエルディ・アイザックという人間には、共通点というものが多い。
好きな食べ物は肉だし、多少子供には優しいし、口は悪いし、すぐに手足が出るし、夜たまに屋敷を徘徊しているし、戦場では狂うし。なんなら互いを『相棒』と呼称し、切れない縁で結んでいる。初見で二人の漫才を見た時から、仲良しだなぁとは感じていた位には距離が近い。物理的ではなく、精神的な意味で。
そんな二人をオレは勝手に、色恋沙汰と関連付けることを避けていた。過去に色々あったらしい二人にそんなことを聞くのは無粋だし、なにより古傷を抉りかねない。アルドアはどっちも卒業してそうだな、なんて本人に聞かれたらぶん殴られそうなことを考えていた程度だ。
そんな二人が、よりにもよって互いに恋をしているだなんて。運命か偶然か、はたまた奇跡かは知らないが、なんと切なく残酷なことだろう。もし二人が無関係の軍人だったら、ここまで爛れはしなかったろうに。


「(……二人共、頼むからオレみたいにはなるなよ)」


本気で『誰か 未知』に恋しては、徹底的に追い詰めて殺す。彼らにこんなコトをして欲しくないし、まして繰り返して欲しくない。ただ互いの恋を投げ付け驚き、互いの愛を受け止め笑う。そんな、当たり前を当たり前にできる二人を現実にしたい。それを、ロルと二人で祝福したい。
そんな、無謀にも思えるような願いを。愛しく憎い神々に、今だけは祈りを捧げた。