【失笑の歌と蒼い月】終章A/後編

一ページ目必読
※Ibパロ




ある美術館で、芸術家『オオワライ』の展覧会が開かれていた。


親に連れられやってきた少年は、最初こそ珍しさで目を輝かせていた。しかし次第に飽き、親から離れて館内を一人で彷徨いていた。そして一人で彼は、とある作品に目を奪われる。

それは、鮮やかな極彩色で作られた巨大な絵画である。
赤、青、緑、黄、紫、茶、白と黒さえもが鮮やかに表現されている。虹色と言うにはあまりにも色に溢れて、混色と言うには狂気が足りない。秩序を保ったまま混沌を楽しむような世界の絵画に、少年は無意識に手を伸ばした。自分もそこに行きたいと、子供ながらに愉悦に誘われた。

次の瞬間、少年の姿は消えてしまう。
まるで最初から少年という存在は、世界の何処にもいなかったかのように。何も残さず、欠片も遺らず。

ただ少し、絵画に新しい色が混じった。
それ以上でも以下でもない、たったそれだけの出来事。