Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ムクロジカ
Public
文字/Ibパロ
【失笑の歌と蒼い月】一章/後編
一ページ目必読
※Ibパロ
1
2
3
4
5
漫画家の部屋から出たのと同時、ちょうど奥の倉庫から化粧家が姿を現す。手持ちにはなにもなく、カンジへ気軽に声をかけてくる。
「よっ! どうやら全部回れたみたいだな! トラブルもなさそうで良かった良かった!」
アハハと声をあげ、腰に手を当て化粧家は笑う。その人間らしい様子を見て、カンジは改めて疑問を口にする。
「
……
アンタら、ホンマに人間やないんか?」
キョトンと目を丸くして、そしてにっこりと化粧家は微笑む。これまでの笑顔と違い、儚さを宿した笑顔である。細められた水色の瞳に、カンジが写っている。
「そうとも。オレたちは人間じゃあない。ここに住んでいる、《美術館》の作品さ。アンタみたいや迷子以外は皆、な。
だからここを出たいなら、作品に入れ込まないようにな」
忠告にも似た声色で、男はカンジに告げる。しかしパッとまた明るい表情に戻り、「家に帰れるといいな!」とケラケラ笑う。一言二言挨拶をしてから、カンジに手を振りつつ自分の部屋に帰っていく。
彼は自分を人間じゃないと言っていたが、カンジには実感が湧かないまま。それほどまでに彼らは人間で、人ならざる要素が見つけられない。ここに住んでいるというのなら、それはそうなのだろうが。
何にせよ、道は開かれている。カンジはポシェットを肩に掛け直し、扉の鍵穴に鍵を差し込む。カチッと軽い音を鳴らし、扉は何の問題もなく開く。
そこには、地下へ続く階段がある。蛍光灯で明るく照らされており、しかし先は深くて見えない。一度深呼吸してから、カンジは階段を降りていった。
1
2
3
4
5
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内