【凶星を穿つ】8

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※MHパロ1nd.


狩場がよく見えるらしい場所を目指して、木々を掻き分け険しい坂を登る。ようやく視界が開いた崖近くには、二人のハンターが立っていた。先に行っていた黒髪の男が気付き、金髪の男へ確認を取る。


「なぁロルくん。あそこにいるの、アルとエルじゃないか?」

「えっっ」


続いて出てきた金髪の男は、信じられないものを見る目で二人を見た。その声の気配で振り返った銀髪の男は、気さくな態度で手を振る。もう片方に居た茶髪の男は、崖の下をボンヤリと眺めていた。


「よう。何してんだ、こんなとこで」

「いやこっちのセリフだよ?? なんで堂々と観戦してんの??」

「あの三人に頼まれたんだよ。『リベンジのチャンスをくれ』ってな」

……厄介なのは一人で十分だったんだけどなぁ


腹部を擦る金髪の男を抜かして、ソウゲツは崖下を覗き込む。その先には自身を死の間際まで追い込んだバルファルクと、その凶星に立ち向かう三人の友人が居た。無意識に崖を飛び降りようとしたが、銀髪の男に肩を掴まれ我に返る。


「金髪の小僧から伝言だ。『守ってんだから守られても文句言うな』だとよ」


カンジからの伝言に、ソウゲツは目を丸くした。守られることを良しとせず空回りばかりしていた彼が、そんなことを言うなんて。なんだかんだで甘い人柄を心配していたのに、そんなにも頼もしいことを本当に彼が言ったのか。疑念すら湧いて出ていたが、茶髪の男がソウゲツと銀髪の男の間に入ったことで思考が途切れる。


「なぁ、オレからもいいか?
ん〜と……多分アンタは今、視野が狭くなってるんだ。先入観、って言うんだっけ。『アイツは弱いから守らなきゃならない』っていう、分厚いガラスの眼鏡が付いてる。だからさ、一回だけでいいからそれを外して、あの金髪のことを『同じモノ』として見てやってくれよ」

『同じモノ』……


思わずオウム返しして、自分に言い聞かせた。
だが彼は弱い、それはどうしようもない事実のはず。昔からヤンチャで、危なっかしくて、だからオレが見てやらないといけないのだ。離れた結果が、前回の『オオアラシ』で刻まれたトラウマなのだ。守ってやらねばならない、抱えてやらねばならない。
しかし、しかしだ。もし彼が、自分と同じ位に強かったら。否、強くなくとも同じ場所で戦っていたら。それはきっと、きっと……


「メル。コイツの武器は」

「これだが」

「貸してみろ」


黒髪の男が、ソウゲツの太刀を銀髪の男に渡す。何度か重さを確認し、そして自然な動作でソウゲツにその太刀を渡した。


…………は?」


無意識に受け取って……否、受け取らされたソウゲツは間の抜けた声を出す。思わず二度見し何をしているのかと漏らす前に、銀髪の男が大げさに「おっと!」と声を上げた。


「いけねぇ。ついうっかり手が滑って、武器を無くしちまった」

「それは大変だ。探すのには時間がかかるだろうな」

「ああっと、いつの間にか保護したハンターもいなくなってやがる。こいつは一大事だ。急いでバルファルクを狩猟しねぇとな」

「しかし困った。オレとロル殿は今、バルファルク用の装備ではない。一旦はキャンプに戻らねばならないな」

「そりゃそうだ。なら急ごう、『見失ったハンターが無くした武器で狩猟に参戦して、四人でバルファルクを討伐したり』はしないだろうからな」

? ……??」

「エル殿、今は黙ってアル殿に着いて行くんだ」

「お、おう?」


繰り広げられた茶番に、ソウゲツはしばらく硬直する。それはあまりにも自分に都合が良くて、本当に良いものかと迷ってしまうほどだった。両手で握っている太刀は、よく馴染んでいるもの。
違和感がないことに違和感を感じていたが、迷った視線が銀髪の男のそれと交差した。色の違う双眸が、挑発するように細められる。それは許しであり、励ましでもあった。


……感謝する!」


それだけ残して、ソウゲツは崖を滑り下りる。治療したばかりの身体だったが、痛みは既に無くなっていた。それは黒髪の男が施した技術が凄まじいかったのか、それともソウゲツ本人の回復力が凄まじかったのか。誰にもわかりはしないが、それでも彼は今間違いなく本調子に戻ったのだ。




「クハハッ。青いねぇ」

「アイツの髪が?」

「そうじゃねぇよ」