七海ななみ
2026-07-14 19:34:48
4277文字
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貴方が見つけてくれた-番外編②-

ルカキリ。フリンズ先天性女体化ですが、見た目変化無しくらいの背丈もあって貧乳です。女性として気付いてくれたファルカに恋するフリンズのお話。マロリクのルカキリ♀ドーマンポートデートと、生理ネタになります。この連載指定はなかったのですが、プロット練ってたらこの二人になってました。


pixivのシリーズまとめはこちら
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=28307266

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第一話から読みたいかたはこちらからどうぞ
貴方が見つけてくれた① | Privatter+ https://privatter.me/page/69caf001364d9



お付き合いをするようになって、初めての旅行に行くことにした。ファルカさんの帰郷と合わせて僕も長期休暇を取り、モンドに向かうことにした。
船で移動している時もわくわくした。ファルカさんの故郷、どんな場所なんだろうか。ファルカさんの友人にも、会えるかもしれない。そしたら、恋人って紹介されたりしたら。キリッとした表情で、恋人と紹介されている姿を想像して、ベッドで暴れ回る。どうしよう、ファルカさんが格好よすぎる!!
こんな格好いい人が独身だったなんて、信じられない。モンド人はどれだけ目が肥えているのだろうか。

「キリル、顔が可愛いことになってるぞ」
「ファルカさん、格好いい♡ すきぃ♡」
あのな、ここは船なんだ。あまり可愛すぎる事を言わないでくれ……
……ならせめて、キス、したいです」
……キスだけだぞ」

ファルカさんとのえっちも好きだけど、キスも大好きだ。好きの気持ちを込めて何度もキスをすると、ファルカさんの顔がどんどん怖くなっていく。あ、狼さんになりそう♡ 肩を掴まれ、距離を取られてしまった。

「キリル、そろそろ限界だから、離れてくれっ」
「そんなぁ

もっとくっついてキスしたい。抱き締めて欲しい。そう嘆くと、ファルカさんが抱き締めてくれた。

宿に着いたら覚えてろよ」
はいっ!」

抱き締めあって眠るのは好きだ。ファルカさんの心臓の音を聞くと、安心する。ファルカさんの匂いも好きだ。この匂い、香水で作れないかなぁ?
そんなこんなを考えていると、気がついたら眠っていた。ファルカさんは少し寝不足気味だった。
なんか、体調が、変になってきたな。嫌な予感はするけど、これから旅行なんだ。我慢、我慢
頭がボーッとしてくる。あれ、これ、もしかして
視界が反転する。ファルカさんの呼び止める声が、微かに聞こえる。嘘でしょ? こんな、タイミング、で
そのまま、意識は途絶えた。


━━━━━━━━


生理は、昔から嫌いだった。嫌でも女性であることを認めなければならなかったから。
お腹が痛い。身体が重い。動けない。
男の様な見た目をしてるのに、こんなにも生理が重い。せめて、生理が軽かったら、もっと男のように、振る舞えたかも、しれないのに。
寒い雪空を眺めながら、独り、痛みに耐え続ける。寂しくて、孤独で、嫌だった。
今は、より嫌いになった。生理のせいで、旅行が中止されたから。
宿に着いたら、えっちをするはずだったのに。そんな事すら、約束を守れてない。悲しくて、悔しくて、涙が溢れる。枕を濡らしていると、暖かいお茶を持ってきたファルカさんが戻ってきた。

「キリル、泣いているのか? 大丈夫だ、旅行ならまた行けるさ」

ファルカさんは忙しい人だ。帰郷するタイミングに合わせないと、旅行に行くことすら難しかったのに。だからこそ、貴重なタイミングを、生理でなくなったのが、悲しくてたまらない。

……せいり、きらい」

ぽつり、と呟くと、頭を撫でられる。剣だこまみれで、固い手。でも、温かくて、大きい手だ。

まあ、俺は生理の痛みはわからんが、その、生理があるからこそ、子供を産めるだろ? もしかしたら、将来、生理があってよかった、と思えるかもしれないな」
………

そんな日が来るのだろうか。よくわからない。でも、ファルカさんに頭を撫でられると、落ち着く。

……おなか、なでて、ください」
「よしきた」

大きな固い手が、下腹部を撫でる。あったかくて、ここちがよい。

……あったかい」

いしきがとおのく。ゆっくりおやすみ、とささやかれたきがした。


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遠い過去のように思い出す。ただのデートのやり直しが、ここまで時間がかかるとは思ってなかった。
右手の薬指には結婚指輪が輝いている。今日は、あのデートのやり直しだ。
デートに似合う可愛い服を取り出して、鏡の前でチェックする。うん、いい感じだ。
手慣れた作業で化粧をする。鏡でチェックして今日も僕は可愛い。大丈夫だ。
扉がノックされる。ファルカさんが来た。

「キリル、準備はバッチリだな!」
「ええ、体調も万全ですよ」
「にしても、新婚旅行がドーマンポートでよかったのか?」
むしろ、ファルカさんには我が儘を言ってしまって申し訳ないです。でも、デートのやり直しがしたくて」
「まあ、俺は遠征で各地に行ったからいいし、ジンとかは近場で喜んでいたからいいけどよ。そんなに気にしなくてもいいのに」
「僕が、リベンジをしたいんです!」

苦笑いをしながら、手を差し出してくれる。えへへ、ファルカさんのエスコート、本当に格好よすぎて、好き♡


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ミルハーヴェンに到着すると、色とりどりの花畑が出迎えてくれた。キリルは目に見えるくらいはしゃいでいて、可愛らしい。

「すごい、綺麗なお花ですね!」
「だろ? 香水やアロマもあるから、買って行くか?」
ちょっと、今回は考えておきます。あの、ファルカさんと写真を撮りたいです」

キリルは鞄から写真機を取り出した。いつの間に用意してたんだ。まあ、近場とはいえ新婚旅行なのだ。記念に残すものいいな。
農作業をしていた住民に声をかけ、撮影をしてもらう。上手く笑顔になれているだろうか。パシャリ、と写真を撮ると、背後にピンクの花畑が映り、中心には俺達が笑顔になっていた。
うん、いい写真になったな。お礼を言ってキリルに見せると、花を開かせるように喜んでいた。花よりキリルの方が可愛いな。
二人で手を繋ぎながら歩くと、キリルの様子が少しおかしい事に気付く。体調が悪いのだろうか。

「キリル、もしかして無理をしてないか?」
「いいえ、してないですよ」

じっと見つめると、静かに見つめ返される。嘘はついてなさそうだな。

「無理はしないでくれよ。ドーマンポートなんて、来ようと思えば何時でも来れるんだ」
「そうですね。それでも、ファルカさんと、来たかったんです」

優しく微笑む姿に違和感を覚えつつも、キリルは軽やかに歩きだした。早く行きましょう、そう声をかけられる。気のせいなら、いいんだが。

ドーマンポートに到着してすぐに、写真撮影をしているカップルがいた。彼女さんだけの写真を撮ろうとしていたので、俺が撮影するといたく感謝された。代わりに俺達も撮影をしてくれた。
パシャリ、と背後には海辺が映り、俺達は満面の笑みを浮かべている。やはり、さっきのは気のせいか?
そのまま、船着き場を歩いていると、視線を上げたキリルに声をかけられる。

あれは、灯台ですか?」
「ああ、そうだ。灯台にも風車がついているのはモンドらしいだろ?」
「ふふ、そうですね。ここで灯台守をするのもいいかもしれません」
「寂しいこと言わないでくれ

せっかくだから灯台を入れて撮影をした。キリルは、笑顔ではあるが、少し顔色が悪いかもしれない。そろそろお昼時だし、食事にするのもいいだろう。

「キリル、そろそろ飯にしないか?」
「いいですね。おすすめのお店を教えて下さい」

レストランに移動し、席に着く。とりあえず酒だ。蒲公英酒を頼むか。

「キリル、何を飲む? 蒲公英酒でいいか?」
………僕は、アップルサイダーで」
「えっ?!」

キリルが、あのキリルが、ジュースを頼んだだと?! やっぱり、体調が悪いんじゃないか!!

「どうしたんだ! やっぱり、体調が悪いだろ! 抱えるから、モンドに戻ろう!」
………ふふっ」
「キリル、笑ってる場合じゃない! 悪い、注文はキャンセルだ。キリル、新婚旅行は、また体調が良いときにしよう」

焦りながらそう伝えると、キリルは楽しそうに笑うだけだった。なんで、そんなに呑気なんだ?

そうですね。またデートにリベンジしても、いいですか?」
「もちろんだ! ドーマンポートなんてすぐに来れる。1日くらい、どうとでも
「では、来年辺りでも、いいですかね?」
来年? 別に、そんな先でなくても、一週間後とか

そう言うと、キリルは腹部に手を当てながら、微笑む。

「来年がいいです。来年、“三人で”、また来ましょう」

三人、で?
まるで、世界から音が消える。視界も狭まる。目の前にいるキリルしか、映らなくなる。
さんにん、で?

「はい、赤ちゃんができました」

………あかちゃんが、できた?
あかちゃんが、でき、た?
……………あかちゃん?

「そ、そうか! 俺も、父親に、なるんだな!」

まさか、キリルが妊娠してたなんて、気付けなかった。父親になる実感は沸かないが、俺が、しっかりとキリルと子供を守らないとな。
キリルを見ると、慈愛に満ち溢れた眼差しをしていた。まるで、母親の、ような。

ファルカさん?」
…………

今まで、キリルは恋する乙女のようだった。でも、今は、母親のような眼差しを浮かべている。

そうか、キリルは母親になるのか。

おれ、は、……ちちおやに、なるんだな。

…………ぁっ、ぅ、ぅっ」

俺の口から、嗚咽のような声が出た。頬に、熱いものが伝っている。感情を、制御、できない。

ファルカさん」

キリルが、俺の顔を覗き込んでいる。心配そうに、ではなくて、愛しくてたまらない、そんな表情で。
身体が制御できない。キリルを、抱き締める。

……うっ、……ぐっ、……あ、あ、あああっ!!」

キリルは、泣くことしか出来ない俺の頭を、優しく撫でてくれた。


━━━━━━━━


あの時と逆だな。泣いているファルカさんを抱き締める。

まあ、俺は生理の痛みはわからんが、その、生理があるからこそ、子供を産めるだろ? もしかしたら、将来、生理があってよかった、と思えるかもしれないな』

本当に、その通りになったな。生理があってよかった。泣き叫ぶ愛しき人の頭を撫でながら想う。
周りは拍手で溢れている。僕達を、祝福、してくれている。
近くの人に写真機を渡す。とてもいい笑顔で頷いてくれた。
笑顔いっぱいの僕と、大泣きしているファルカさんの写真を撮ってくれる。
これも、アルバムに飾ろう。子供が大きくなったら見せてあげよう。格好いいお父さんは、貴方が産まれると知ったとき、こんなにも泣いていたんだよ、って。