猫様のお導きの後、
ベストプレイスより前。
2人が肉体関係結ぶまでの、カズマのちょっとした葛藤。※具体的な描写はないです。
長い無自覚片思いを経て、告白してすぐにキス、即ほぼ同棲がスタートというスピード感により、
カズマはこの先の進め方が分からず密かに困惑していた。
バロックは日常生活の中でごく自然にキスをしてくるし、ソファに座っていると隣に座り
身体を寄せたり、軽く抱きしめてきたり、時には膝の上にカズマを乗せたりする。
そんな触れ合いにカズマは心の中をくすぐられているような照れくささと嬉しさが交じり合う。
この状況を、猫達に見せる顔や触れる手を羨ましく思っていた頃の自分が聞いても信じないかもしれない。
それくらい、バロックはカズマに対してあの瞬間まで恋愛感情を見せなかったのだ。
今、自分に対してどこまで求めているのか伺い知れない。
恋人とともに暮らし、たくさん触れ合っていれば当然欲も湧く。
カズマは若くて健康な成人男性だ。性欲だって弱くはない。バロックの身体はとても魅力的で
あまり口には出せないような夢を見てしまうことだってある。
一緒のベッドで寝ることもあるが、これまで行為に及んだことはない。
具体的な話をしたこともなかった。
バロックが約十年、人を遠ざけていた原因は彼に惚れた者による傷害事件だ。
いくら彼を愛しているからといって、何をしてもいいわけではない。
欲にまかせた行動でその時の恐怖を思い出したりはしないだろうか。
この先に進むのは慎重に、何よりもバロックの気持ちを一番に考えよう。
カズマはそう心に決めていた。
交際開始から約一か月ほど経った頃、宅配で荷物が届いた。
バロックは注文に心当たりがあるようで、受け取った箱を寝室へ持っていく。
今回は増え続ける猫グッズではないらしい。期待していたにゃめんが
つまらなそうな顔をして、寝ているにゃんじーくすの腹に埋もれた。
今夜の料理当番であるカズマが夕飯の支度を終える頃になっても
バロックは寝室から出てこない。
カズマがドアをノックして部屋に入ると、ぴらりと足元に一枚の紙が
落ちてきた。先ほど届いた荷物の明細のようだ。
中身を詮索する気はなかったが、拾い上げるついでに商品名が見えてしまった。
並んでいたのは、コンドームにローションなど、どう考えても使い道が限られるラインナップ。
ベッドサイドのチェストに箱の中身をしまっていたバロックがドアの方を振り返り
カズマの手にある紙の正体を察して顔を赤らめる。
ずかずかと近寄り、明細を突き付けてカズマが問う。
「これは俺と使うために買った、ということで合ってるよな?」
「もちろん」
カズマの圧に少し押されながらも、バロックは即答した。
「ずっと必要がなかったから、何も用意していなかったとこの前気が付いて。
足りぬものでもあるだろうか?」
「
……貴方は、こういう行為に対して恐れはないか?」
そっと額の傷痕に触れられて、バロックはカズマが何を心配しているのかを悟る。
「心配はいらない。君は優しいな」
バロックはカズマを抱き寄せ、耳元で囁く。
カズマの体温は一気に上がり、抱きしめ返す腕に力が入った。
「貴方の肌に触れていいんだな」
「ああ。私も触れたい」
顔を寄せ合い、キスをする。お互い求めあって口づけは深さを増していく。
このまま傍のベッドに倒れ込もうかという時、ドアの向こうから猫達の高らかな鳴き声が響いた。
夕飯の催促だ。
二人顔を見合わせて笑いながらリビングへ向かう。
「続きは、また後で」
バロックがカズマの頬にキスをしてから猫達のごはんの用意を始める。
カズマは胸の鼓動が落ち着かぬまま、自分たちの夕飯の支度の続きに取り掛かった。
いきなり本番、というわけにはいかないのでまずはお互い身体を触れ合うところから始めていく。
これまで性欲があるのかすらわからなかったバロックが、自分の身体に欲情している様を
目の当たりにしてカズマは興奮がおさまらない。自分がバロックの身体に欲情していることを
彼が受け入れ嬉しそうにしているのもたまらなかった。
そんな夜を何度か重ね、いよいよもう一段階深めようという時。
「ボジションの希望はあるか?可能ならば、俺は貴方を抱きたい」
意を決してバロックに選択を迫る。彼と繋がれるならどちらだって構わないが、
これまで受け入れてもらえる心地よさを知ってしまって欲が出た。
おそらく自分の気質に合うのもこちらだろう、という予感もある。
「年長者らしいリードができるわけでもない。君の想いに身を委ねよう」
バロックは優しく微笑み、カズマの頬を両手でそっとつつむ。
その掌から伝わる体温は普段よりも高く、その熱で彼の愛情が伝わってくるようだ。
「もし、怖いと思ったらすぐ言ってくれ。遠慮はいらない」
「こんな時でも気遣える君が、いたずらに傷つけることはないと分かっている。
何も怖くはない」
この先を思うと、どうしようもなく劣情が沸き上がってくる。
衝動のままに暴力的な行動に及ばぬよう、ガスマは深呼吸をした。
その健気さにバロックの胸はときめく。
「君になら、傷つけられても嬉しいくらいだ」
一瞬、カズマの目が獰猛な獣のそれになったのをバロックは見逃さなかった。
-完-
おまけ その後のあれこれ
ここまで気を使わせてしまったカズマに、これ以上遠慮や我慢はしてほしくないと思うバロック。
本来は羞恥が勝って声や反応を隠したい性格だけど、嫌ではないことを伝えるために
頑張って素直な反応を伝えるようにしたせいでとても積極的に見えるという状況に。
その様子にカズマの欲は煽りに煽られ、我慢をする余裕などとてもじゃないがない。
バロック自身もあられもなく全部晒してしまっていることを自覚して恥ずかしさと興奮が倍増。
始まりは慎重だったのに、もはや毎回二人とも無我夢中になってしまう。
消耗品の注文の際にオマケやらオススメやら送料無料に合わせるためとか
いろいろな理由でいかがわしい道具やオモチャまで揃い始めた。
同棲ってすごいな
…とカズマは思っているがだいぶ特殊な状況であることを指摘できる人はいない。
猫達は二人がよくお互いの匂いをべっとりまとわりつけているので
自分たちみたいに毛づくろいでもしてるのかな~と思っている。
猫達も二人に鼻チューや毛づくろいをしてくれる。(ザリザリの舌で舐められるので人にはちょっと痛い)
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