ふじさきらんこ
2026-06-07 00:15:56
2480文字
Public 小ネタ/裏話など
 
2230302

長編第26話小ネタ

長編「きみの明日になれたなら」第26話「その血に塗れた路を往く」の没シーンです。
獅童側に潜り込んでジョーカー殺しの細工をし終えた明智が夢主の自宅に帰還してうっかり眠っちゃった次の日にルブランで会議→招待状をVIPから奪うためにシドウパレス潜入をする回です。
サイトの隠しページにも置いていましたがこっちにお引越しさせる事にしました。
名前変換あり【デフォルト名:八重】


明智が帰って来たという八重からのチャットは、文面だけでもわかるくらいに元気で嬉しそうだった。

ただ、俺達には心配をかけたくなかったのだろう。
俺達には何も言わなかったけど、ここ最近の八重はずっと顔色も悪くてどこか張り詰めたような緊張感があった。
俺が捕まっている間も変わらずだったらしい。

さっき、登校しているメンバーの中では一番早くルブランにやって来た八重は、明智を見るなりほっとした顔で惣治郎や俺達に挨拶をした。
顔色もすっかり良くなっている。……どれだけ心配していたんだろうか。

それからいろいろ話をしていたが、不意に八重が発した爆弾発言によって場の空気が変わった。

「明智さん、昨日の夜は寝たのがすごく遅かったし、いつもよりお疲れでしょう?ちゃんとストレッチしてくださいね。特に腰とか腰とか腰とか」

「お互いな」

八重が嫌味っぽく肩をすくめるのに対しさらりと返す明智のそのやり取り。
あれ?これ、俺達が聞いてていいやつか?

「え、えっ?」

おそらく同じ事を考えたであろう双葉とモルガナが困惑の声を上げ、顔を寄せてひそひそと話し始めた。

「あの感じだと明智って昨日は八重んちに泊まったってことなんだよな?」

「真夜中に、寝るためだけにわざわざ八重の家に行ったのか?」

双葉とモルガナが熱心に話し込んでいるが、向こうの2人に聞こえているのでは?と思って2人の方を見たら、八重はカップを見つめながら真剣な表情で何かを話しているし、明智はそんな八重を頬杖をついて見つめていた。
つまり、完全に2人の世界だった。

小さい声だから何を言ってるかまでは聞こえない。でも、八重の表情からして楽しい会話でない事は確かだろう。

「でも、腰とか腰とか腰とか、ちゃんとストレッチしろって八重が言ってるぞ」

向こうの様子に気が付いていない双葉とモルガナが続ける。

八重も腰をストレッチした方がいいって言ってたよな」

……2人とも夜遅くに腰が痛くなるような寝方をしたってことか?いやそれもうどう考えても」

「待て待て待て!判断が早すぎる!」

モルガナが慌てて双葉を止めているけど、ひとつ屋根の下の男女が腰が痛くなるような寝方をしたなんて言えば、相当仲良く(・・・)していたんだなと思うだろう。俺だってほぼ確実にそうだと思ってる。
というかしょっちゅう泊まり込んでいたなんて言ってるくらいだし、とっくに手なんて出してるだろ。

「あの2人、付き合ってなくて、幼馴染で、でも体の関係はあるのか……。オトナなんだな」

双葉がしみじみそう言った時、八重が惣治郎に何か話し掛けていた。
カップを端に寄せているからコーヒーを飲み終えたのかもしれない。

「いっ……

テーブルに両手をついて立ち上がろうとした八重が中腰のまま、痛みを我慢するように顔をしかめた。
すかさず明智が八重の手を取って立たせる。

「テレビ見ながらカーペットの上で朝まで寝てるからだよ」

「あーちょっと!それ恥ずかしいから言わないでくれる!?ていうか、あっ、ちょ、それ言ったら吾郎くんがうちに泊まってるのバレちゃうじゃん!」

みるみるうちに顔を真っ赤にして明智の袖を引っ張る八重

「わたし達、そんなのもうとっくに知ってるぞー」

双葉がさらりと言うと、八重は顔だけじゃなくて首まで真っ赤にしてへなへなと座り込んでしまった。

「な、なんでぇ?」

「アホ面」

明智が八重の頭をぐっと抑えた。八重が「んぐ」と言って俯く。

「君達、噂話が大好きで仕方ないようだけど証拠もなく騒ぐのは程々にした方がいいよ。誰だって恥をかきたくないだろ?」

にっこり笑ってそういう明智。ああコレ、あいつには全部聞こえてたのか。
八重が「噂話ってなによぉ!」と明智に反撃しているが全く効いてる様子がなかった。

……泊まってる事がバレただけであんなに照れてるくらいだし、まぁ、何もなかったんだろうな」

「うん、わたしもそう思う」

俺達は誤解をしていたのか、それともそういう事(・・・・・)になったのか。
明智の事だし、真相を隠すために嘘は言ってないけど全てを話していないという可能性だってある。

「今日こそは布団の上でゆっくり寝てよね!」

「俺の分の枕カバー、洗ったっけ?」

「じーぶーんーちーのー!」

八重が前に食べたいって言ってたプリン、冷蔵庫に入れておいたけど?」

「何個?」

「2個」

「ふむ、前向きに検討します」

……うん、単なる誤解の線が濃厚な気がしてきたぞ。

横目で見たら、カウンターに立つ惣治郎が苦笑いをしていた。



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しょうもないネタでした。
お読みいただきありがとうございました!