芹沢亀吉
2026-05-29 07:28:42
7509文字
Public 風刺
 

返せ!

暴虐かつ悪趣味な軍国主義者の楠木武一等陸佐が恥をかく物語の通算128話目。今回は「女性」の入浴場面ありますよぉ。あと絶対食事中には読まないこと!


「うむ、入浴しながら動画を観るのは良いものだ!」

 湯船につかり浴室にあったタブレット端末を使いネット動画を視聴中の逃亡犯楠木。おい、湯船に入る前に身体洗ったか?普段この端末は横堤が使っていて、彼女が観るのは怪しげな陰謀論に基づく差別扇動動画、秘書に作らせた野党議員を誹謗中傷する動画ばかり。同じ動画を観て楽しめる逃亡犯楠木が横堤と同類のクズなのはここに書くまでもないか。

 え?むさ苦しいオッサンの入浴場面なんて見たくない、女性の入浴場面が見たいって?それは後のお楽しみということで。

 浴室からやかましい鼾が聞こえてきて横堤がほくそ笑む。

「よぉし、あの便所タワシヒゲ、寝たな。」

 以前から横堤は楠木に入浴中に居眠りする性質があることを知っていて、あの逃亡犯を生かしておくと今後も何かと脅迫され続けるのはわかりきっているだけに居眠りしている隙を突き殺害を企てた次第。あと入浴中の居眠りは本当に危険なので読者の皆様もご注意を。

 不気味に微笑み浴室に忍び込んだ横堤の目線の先には湯船に入ったままよだれを垂らし居眠り中の逃亡犯楠木の姿が。

「死ねぇぇえぇ!この便所タワシヒゲェェエェエェ!」

 そう叫び居眠り中の逃亡犯楠木の顔面を無理矢理湯船に沈めた横堤の両目は異様にぎらついている。確かに脅迫し逃走中の自分を匿うよう強要した逃亡犯楠木のやり方は卑劣極まりないとはいえ、元をただせば汚職に手を染めた横堤が悪い。ましてや逃亡犯楠木が入浴中に居眠りしている隙を突き殺害を企て決行など日本国首相失格以前に議員辞職もの。

「ゴボボボボ、こっ、この厚化粧婆ぁ!よくも!」

「便所タワシヒゲェ!早よくたばれやぁ!」

 目を覚ました逃亡犯楠木はそのまま横堤と取っ組み合いに。どっちも人間のクズだからそのまま共倒れしてくれないかな。

「ゴベビムバババグベボボボボォ!」

 取っ組み合い中に画面が割れたタブレット端末が湯船にボチャンと浸かり、全身ずぶ濡れの横堤並びに逃亡犯楠木は仲良く感電して珍妙な悲鳴を上げそのままぶっ倒れた。そうそう、そう来なくちゃ。

 意識を取り戻し身体を起こした逃亡犯楠木は驚いた。何と目の前で仰向け状態になりのびている口髭を生やした全裸中年男性は自分の姿形そのもの。まさかと思い自分の両手を見るとそれぞれの爪に赤黒いマニキュアを付けていて、浴室の鏡を見るとそこに映っていたのはどう見ても横堤。そう、先程2人仲良く感電した際に身体が入れ替わってしまったのだ。

「何じゃこれはぁああああっ!」

 外見は横堤な逃亡犯楠木の絶叫を聞き駆けつけた秘書、SP、官僚達、あれ?今真夜中だったような?

「総理!如何なさいましたか!?え、この男は例の逃亡犯!?」

「せや、コイツはあの逃亡犯の楠木武や!総理であるウチを脅して図々しくも風呂に入り、入浴中にまたウチを呼びつけて襲おうとしたんや!」