芹沢亀吉
2026-05-29 07:28:42
7509文字
Public 風刺
 

返せ!

暴虐かつ悪趣味な軍国主義者の楠木武一等陸佐が恥をかく物語の通算128話目。今回は「女性」の入浴場面ありますよぉ。あと絶対食事中には読まないこと!

 軍国主義、国粋主義を信奉する楠木くすのきたけし一等陸佐は粗暴かつ独善的な振る舞いが目立ち、「指導」と称し部下に暴言を浴びせ暴力を振るうのを楽しむ人間のクズ。既に複数人の部下を過剰な暴行により殺害していて、それら全てを事故死として隠蔽済み。家庭でも配偶者久代ひさよに日々暴力を振るい続けた挙句亡き者とし、彼女の遺体は裏山に埋めて隠したこの一等陸佐は仕事面でも家庭面でも最低な腐れ外道と断じるより他無い。

軽部かるべめ!あの腑抜けを片付けておけばこんなことは!」

 軽部孝士たかし一等陸士の告発により楠木の悪事が明るみに出た。現在殺人犯として指名手配中の楠木は警察の目を逃れつつある場所を目指す。

「く、楠木はん、アンタ何でここに!?」

 真夜中の首相公邸に逃亡犯楠木が現れたものだから、女性としては憲政史上初の日本国首相の横堤よこつつみ政美まさみは大慌て。

「忘れたのか?この公邸の秘密の出入口を教えてくれたのは横堤、貴様ではないか。そこを使わせて貰った。おっと、騒ぎを起こさない方が良い。この楠木は貴様の収賄、そして脱税の証拠を握っている。貴様が今のままでいられるか、刑務所に引っ越して臭い飯を食う生活になるかはこの楠木次第ということだ。」

 長年与党として日本の政治を先導してきた保守第一党内では横暴かつ独断専行が目立つ横堤は嫌われ者。そんな横堤は楠木が秘密裏に結成した政治結社「皇国義勇軍」を力尽くで主導権を握る切り札になると考え密かに支援し続けた。楠木に公邸の秘密の出入口を教えたのも「皇国義勇軍」が決起し政権転覆するのをやりやすくするため。

 結局「皇国義勇軍」を決起させるまでもなく保守第一党の総裁に選出されそのまま日本国首相になれた横堤は楠木とは疎遠に。かつては横堤と仲が良かったとはいえ極端な男尊女卑思考故内心彼女を「皇国義勇軍」拡大のための駒扱いしていた楠木が横堤の「裏切り」に激怒したのは言うまでもない。以来楠木は横堤内閣の転覆を企てるようになり、「皇国義勇軍」の構成員達を動かして非合法の暗号資産「マサミゴールド」を秘書に運用させ私腹を肥やす等彼女の汚職の証拠集めに力を入れた。その構成員達も楠木が指名手配された途端に全員脱退し「皇国義勇軍」は雲散霧消と相成ったが。

「な、何言うてるの?総理になってからは色々忙しくて中々会われへんかったけど、色々世話になった楠木はんが来て騒ぐようなウチとちゃうわ。」

 日頃から引きつった作り笑顔が鼻につく横堤だけに逃亡犯楠木に対してもいつも以上に引きつった作り笑顔を浮かべお茶を濁す。

「せや、楠木はん、折角来てくれたんやからゆっくりしてって。浴室空いてるし身体綺麗にしてもええんとちゃう?」

 この時の横堤の笑顔は邪悪さに満ち溢れ、何か悪いことを思い付いた様子。

「おお、気が利くな!やはり女というのは男を立ててナンボなのだよ!それでは早速使わせてもらおう!3日分の汚れを落とさんとな!」

 要するに逃亡犯楠木は3日間風呂に入っていなかったということ。そういえば楠木の周囲に蠅が数匹飛んでいるような。そして「女というのは男を立ててナンボ」なる楠木の発言は男尊女卑丸出し。

「楠木はん、悪いねんけど髭剃りは無いねん。ウチ使わへんからな。」

「構わん、構わん。この楠木は常に自分用のを持ち歩いているからな。重ね重ね気遣い感謝する!グハハハハ!」

 楠木は普段から旧日本軍の将校宜しく口髭を生やし事あるごとにそれを自慢している。3日間風呂に入っていなかったこの逃亡犯は自慢の口髭を整える機会が来たのが嬉しいのだろう。それにしても楠木の笑い声のやかましさ、下品さときたら。