2026-05-25 13:21:34
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ビズコメ タスク! 感想

Biz slapstick comedy #002 タスク! の感想です。

2026.5.23 ビスコメ タスク! 感想


※総じて楽しかったんですが、感想中盤以降ちょっと......な話もしているので、スッキリ楽しかった!という感想だけを見たい人はあんまり読まない方がいいかも。



めちゃくちゃ笑った~~~!笑いつかれるほど笑った。


そういう意味では、この演劇を「正しく」見ることが出来たのだと思う。
前説でも「とにかく笑ってください!」というようなことを言っていたので、暑くなるほど笑ったのだから、それでいい。

加えて「あとには何も残りません!そういう演劇もあります!」という触れ込みで、まぁそうなんだろうなと思って足を運んだ。昨年の#1も観劇したので、なんとなく雰囲気もわかっている。

で、実際めっちゃ笑った。

なんだかんだ言って頭を使ってしまう性分なので、「笑い」と言っても、一人ひとりの役者がアドリブで作るものもあれば、しっかり演出が入ってわざわざ台詞を声を揃えて言うだけで面白くなったり(社長の「焼肉の最後はデザートが食べたくなるよね?」とか「息のケアが気になるよね?」というような問いかけに一人ひとりが答えていくシーンで、わざわざ全員で「素晴らしい!」って叫ぶのとか意味わからんけどめっちゃ面白かった)、能力者バトルものよろしく演出モリモリで音響やら照明やらでやたらと大げさに表現するのも面白い。そこにメタいツッコミとして「これ能力バトルものの舞台じゃなくて、サラリーマンが焼肉に行く舞台ですよ!」とツッコミが入るのも尚更面白い。
メイクさん協力のもと、役者のメイクが意味不明になっていくのもめちゃくちゃ面白い。
(千秋楽は観劇しなかったけど、煌芽さんのメイクがもはや顔全部ハイライトになっててめっちゃ面白い写真がSNSに流れてきた)
台詞じゃなくて、動きの面白さ(新キャラ3人が相談するシーンとか、なんでわざわざその動き?みたいな動きで集まって分かれていく)もあって。
しっかり稽古場で作り込んでいる「笑い」をベースに、初日からどんどん「崩壊?」によりアレンジが加えられていき、その場で起きるミラクルや日替わり要素も「笑い」に変えていく。

100分笑わせるためには、ありとあらゆる手段を講じて「笑わせ」に行っていて、あぁなるほど「笑い」というのは、こうやっていろんな方法で生み出されるのだなぁとか考えてしまった。






単に「笑い」と言っても、これほどいろんな方法があるのだなぁと思えたからこそ、脚本の大筋の「笑い」の部分が、「勘違いの男同士の恋愛」で構成されていたのは、安直であまり練られていない笑いだと思った。

大学一年生の一般教養「文学」の授業の最初のコマでやるような話なので(しかも私は専門家でもなんでもない素人)なので、劇作家の人は把握しているだろうけども、イヴ・セジウィックの『男同士の絆』で示された「ホモソーシャルな絆」という概念は、男性同士の結束を強めるために持ち出される女性蔑視と同性愛排除の論理を解説している。確か、セジウィックは文学者であり、シェイクスピアの戯曲の分析を通じて、この文学理論を導出した......とかいう話じゃなかったっけ?
男性同士の関係性が濃密になればなるほど、男性同性愛との「区別」を強調するために、性的に女性をみなす(自分は異性愛者であると強調する)と、同性愛を嫌悪する(こんなに俺たちは仲良しだけどゲイではないです)を両方説明する理論、と大学で習った気がする。(違ったらすまん!もう10年以上前の記憶なんだ!!)



ビズコメは、出演者がすべて男性で、その男性たちの悲喜こもごもというか関係性を描く演劇で、いうなれば文字通り「男性同士の絆」の話である。特に2作品目の「タスク!」は、天手鼓と阪神という上司と部下の関係性が物語の中心にある。

正直、ビズコメは、2.5次元俳優わちゃわちゃコント舞台なので、話の筋はどうでもよくて(実際、最早ビジネスをしている様子はほとんどないので、同じ話を男子校とか男子大学生の話として作ってもなんの問題もなさそう)こんな大層に「天手鼓と阪神の物語である」とか書いてしまうとちょっと笑ってしまいそうなんだけど。


でも、一応は、そういう物語で、そういう物語において、「男性同士の関係性」をそのまま「恋愛に『カン違い』するお笑い」にするのは、ちょっと安直だろう......という感じはした。セオリー通り過ぎるというか。セオリーをズラしてこそ笑いなのに、そこはセオリー通りなんだ、という。
わざわざ眼鏡坂に「何言ってるんですか!令和ですよ。恋愛は、男と女ではなく人と人がするものです」と言わせたり、「阪神の気持ち」に答えようとする天手鼓をみんなで応援する描写が長かったりして、全体を通じて「同性愛そのものを笑いにしたい訳ではないんです」というエクスキューズはかなり念入りに作ってある感じはしたけど、じゃあエクスキューズがあればいいかと言われると、う~ん......という感じで。まぁ、この辺の話は「コントだしいいじゃん!」みたいな部分と、「地上波じゃないし、俳優のオタクがメイン顧客だからいいじゃん!」と「直球差別じゃないしいいじゃん!」などのいろんな「反論」が可能なので、なんとも言えない。ちゃんとエクスキューズはあった。だから、そういう表現なんだと思うし、表現そのものがダメってことはないと思う。
(まぁ、「俳優のオタクが観客なんだからいいじゃん」は正直、客を舐めた反論だと思うけども、実際、どういう観客が来るか?は大事な要素だろうし、ああいう結婚式ごっことか、そもそもちょっと苦みがするくらいに毒抜きされたホモソーシャルな描写って女性ファンは結構好きだろうし、全体を通して、女オタクのツボをよくわかってるな~という、流石ILLUMINUSがやっている感じのよくマーケティングされた舞台だったとは思う。複数回通いたくなるし、応援や物販含めて。)

要するに、私が言いたいことは、まぁ「コントだし」と開き直られたらなんとも言えないけど、「あとに何も残らない笑い!」と言われると「いや、あの感じの大筋は、あとにちょっと考えることは残りましたよ」とはちょっと言いたい。
あとは、演出とか、「笑い」ってちゃんと「練られた」ものであり「演出」されたものだということがよくわかる舞台だったからこそ、大筋が、男性キャストあつめて男性同士の関係性を描きつつ、同性愛はフェイクです、は「笑い」としては「安直」だろうという気はした。
もっと練った「笑い」ができるだろう!というビズコメへの期待があるとも言える。


同じ系統の話でいうと、今回は新しいキャラに、露鳩(ロバト)さんが登場し、ひたすら「外国人に間違われる」というネタをやるんだけども、それって日本に暮らしているミックスルーツの人がいつも困っている話なのでは?いわゆる「マイクロアグレッション」にあたる差別的行為なのでは?という感じがして、この点については特にエクスキューズもなかった気がしたので、う~ん...笑っていいのか?と一瞬考え込んでしまった。警察に職質されます、とか、それ笑えないのでは?という感。


実際、そういう風にミックスルーツを笑いに昇華している芸人さんもいるし、同性愛同様に、これが「笑い」とされてきた社会に私もマジョリティとして生きてきたので、ここが「笑うところ」なんだろうなというのはわかったし、流石にメイクが濃い瞬間とかはわらっちゃったんだけど。
そういう描写を「笑っていいんだろうか?」というようなことを最近は考えていたので、こういう感じで「笑うもの」としてお出しされて「笑っていいのか?」みたいな疑問が残ったまま終了した。
私はお笑い何もかも素人なので、アレなんですが、「何も考えずに笑える」かと言うと、「いや、ちょっと考えちゃったし後に残っちゃったな......」という感はあった。




「笑い」ってよく出来ているし、考えられているんだな~と全体を通して思ったからこそ、ここはもうちょっと脚本として捻っても良かったのでは、と思わなくもなかった。「目先の笑い」は脚本のベースのうえで、演者が細々仕掛けたりしているので、物語そのものが安易な笑いをやらなくても良かった感。
それこそ、前回「リスケ」が息子の名前にもなっていて、それが天手鼓と阪神のカン違いのきっかけだったことを下敷きに、今回は「タスク」は別に人の名前じゃない!ただただビジネス用語!っていうオチだった、とかプチ捻りがあって好きでした。
いや、今回は本当にただただタスクなんかい!っていう観客、心のツッコミ。



まぁ、前回も、男性たちが集まって「合コンの女の子の話」をする話で、前回見たときも、「うお~~~~~男同士の絆のセオリー通り~~~~」と思った気がするので、根本的に私がこの作品と合わないっていうだけかもしれん。
だから、作品にケチつけたい、っていうよりは、私自身がいろいろ「笑い」について考えてしまった舞台でした、という感想。