Rena Suzukey
2025-11-06 15:57:35
4378文字
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垂涎..盛少游のお誕生日(番外編)

原作者が11/5の盛少游のお誕生日にアップしてくれた短編の日本語訳
元はこちら↓
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十一月五日。

盛少游は多忙の中、三十二歳の誕生日を迎えた。
五日午後、彼は日本で開催された国際バイオテクノロジー会議に出席していた。
このイベントは、一万を超える業界のリーダーたちが集まる、世界最大規模のバイオフォーラムとして有名だった。
盛少游は盛放⽣物の代表として、同社が五月初旬にASGCTで発表した最新の研究成果について十五分間のスピーチを行った。
その後、彼はメディアの取材を丁重に辞退し、江沪行きの飛行機に乗った。

午後七時三十分、Xのロゴがつけられたビジネスジェットが専用ターミナルに着陸した。
一時間後、盛少游は市内中心部にある花咏と暮らす自宅に帰ってきた。

数日前、六歳になる花生は学校主催の短期留学プログラムに参加し、ロサンゼルスへ行く予定だった。
親子の絆を強くし、互いの理解を深められるよう、学校側は生徒一人につき保護者が同行するよう求めていた。
盛少游には仕事が入っており、同行できるのは花咏だけだった。

「君のパパの方が、僕が必要だと思うな」
未だに恋愛脳の狂人は、さも正論めかして言った。
「小花生、君はもう五歳になった。五ヶ月じゃない。ロサンゼルスに行くのはたった三日間だけだ。君はもうこんなに大きくなったんだから、大丈夫だよ」
「なら、小花生って呼ばないで」
『Frontiers for Young Minds』に夢中になっていた小さな男の子は、顔を上げ、盛少游によく似た目で花咏を睨んだ。
「父さんは三十二歳だろ。付き添いが必要な歳じゃない。ロサンゼルスに行きたくないなら、家でひとり寂しく孤独な老人ごっこでもしてれば?」
若干二十八歳の独居老人は、すぐに抗議した。
「盛さん! ちょっと今の聞いた!?」
誰が老人だと言うのだ。むしろ、柔軟性に富んだ蛸のようだった。愛する人にぎゅっと絡みつき、しがみついて離さない。

……阿咏」
盛少游はため息まじりにその名を呼び、胸にしがみついている腕を軽く叩いた。
「君が小花生と一緒に行くんだ。五日に間に合わなくたって、ビデオ通話で十分だ」
「駄目。盛さんの誕生日なのに、ビデオ通話だけなんてありえない!」
恋愛脳の青年は駄々をこねた。
「僕が一緒に行く。楽楽も一緒だから、沈文琅と高途が小花生の面倒をみてくれるさ」
「言うことを聞くんだ」
「聞かない」

盛少游の襟越し、うなじに温かな吐息がそっと忍び込み、なんとも言えないむず痒さが沸き起こる。
盛少游は首をすくめて笑い、身を捩った。
「馬鹿なこと言うな」
「馬鹿じゃない!」

花生は両親のイチャつきぶりには慣れっこだった。
「寝室は左だよ。ドア、開けてあげようか?」
彼はページをめくり、数行読んでから少し考え込み、そっと付け加えた。
「やっぱり妹が欲しいな。できればAlphaがいい。楽楽以外のOmegaなんて、もう要らないや」
「まだ分化もしてないのに、どうして楽楽がOmegaだって分かるのさ?
それに、くだらない妄想はやめて」

愛する人を構うのに忙しい花咏は、その隙間を縫ってでも花生に、冷や水を浴びせた。
「君に妹はいません。僕のAlphaは妹を産まないから。欲しいなら、君と沈楽楽で作るんだね」
「子どもにそんなこと言うな」
「これが子どもだって?」
花咏はまた身を寄せて、顎をそっと彼の肩に乗せて、ふざけ半分で拗ねたように言った。

……盛さんが僕に冷たい。僕より他人の方が大事なの?」

盛少游は彼の甘えと拗ねた様子には抗えなかった。
「こらこら、おふざけは終わりだ。小花生は他人じゃないだろ。ほら、水を持ってきてくれないか?」
P国のナマケモノな小皇帝は、喜び勇んで自分の木から降り、すぐに水を持って戻ってきた。

「たくさん飲んでね。アメリカンはやめておいて、眠れなくなるから」
盛少游は水の入ったグラスを手に取った。
「先生の話だと、小花生は明日の午前中に出発して、北京時間で五日の夜九時に江沪に戻ってくる予定だそうだ。君は小花生をロサンゼルスまで送って、俺はスピーチを終えたら戻る。誕生日を祝うのに問題はないだろ」
「楽楽は11日まで帰ってこないんじゃないの?」
「楽楽はスキーキャンプに参加するからだ。小花生は参加しなくていい」
盛少游は振り向き、科学の世界に夢中な小花生に尋ねた。
「小花生、スキーキャンプに全然興味ないだろ?」
「うん」
花生は顔を上げもせず、頷いた。
「ほら」
盛少游はなだめるように言った。
「小花生と一緒に行くんだ。一人で旅行したことなんてほとんどないだろう?お前たちの仲を深めるいい機会じゃないか」
「旅行は好きじゃない」
「だから父さんに一緒に行こうってずっとせがんでるの?」
「大人の話に口を挟まないで」
「父さんの前じゃ子どもみたいに甘えてるくせに、大人ぶるなよ」
「大人だからさ」
花咏は言い返した。
「パパに僕が大人かどうか聞いてみなよ」

──ますますややこしいことになった。
盛少游は闘鶏のように言い争う父子をすぐに遮った。

「ケンカはやめろ。もうたくさんだ。早く部屋で寝ろ」
花生は素直に立ち上がり、本を持ったまま寝室へ行った。
花咏は盛少游の言うことを大変よく聞いて、彼を寝室まで連れて行って休ませた。

睡眠は素晴らしい!盛少游は寝ることが一番好きだった。

人生とは不思議なものだ。十年前、二十二歳の盛少游は、そのわずか十年後に、賑やかな家庭、愛らしい子ども、そして毎日彼に夢中な彼だけの愛しい人がそばにいるなんて、想像もしていなかっただろう。

若い頃には想像もできなかったこの幸福は、時折訪れる一人の時間を物寂しく感じさせる。
がらんとしたリビングに腰掛けて、盛少游はアメリカンを淹れ、パソコンを起動して仕事を続けた。
実のところ、彼は誕生日を祝うのはあまり好きではなかった。
友人たちは皆、十一月五日当日に彼の誕生日を祝うのは避け、少し早めたり遅らせたりして祝っていた。
かつて彼は、母とだけ誕生日を祝っていたが、その母が亡くなってからは、もう誕生日を祝わなくなった。

しかし、花咏は彼の誕生日を祝うことに熱心だった。
結婚して初めて迎えた誕生日、彼は盛少游の「誕生日を祝いたくない」という言葉を珍しく無視し、ケーキを買ってろうそくに火を灯し、柔らかい声で静かに「ハッピーバースデー」の歌をフルコーラス歌い上げた。

盛少游は、花咏が彼の考えを変えようとしていることに気づいた。
きっと花咏はこう言いたいのだ。
これからはまた、誕生日を一緒に祝ってくれる人がいるのだと。

アメリカンを半分ほど飲み終えた頃、玄関の電子錠が開く音が聞こえた。
盛少游が振り返ると、ベージュのカーディガンを着た花咏の姿が目に入った。
誕生日を祝うため、十時間以上の国際フライトを終えたばかりの花咏は、疲れた様子もなかった。
玄関の穏やかな光に照らされた小さな顔は、ひときわ美しく輝いていた。

「盛さん、ただいま」

──本当に綺麗だ。初めて会ったときよりも、ずっとずっと。

盛少游の心が甘くときめいた。
思わず見惚れてしまい、彼は我に返ってから慌てて尋ねた。
「小花生は?」
花咏はわざとスリッパを履かず、素足のまま近づいてきた。
「まだロサンゼルス」
「は?」
信じられない!
「一人で?」
「一人じゃないよ」
目の前の美しくも恋に狂った青年は、薔薇色の唇を動かして力説した。
「小花生は楽楽と一緒にスキーキャンプに参加してる。沈文琅と高途がちゃんと面倒をみるって」
「明日は実家で夕食をって、父さんと約束したのに」
「お父さんとはもう話した。また別の日に一緒に行こう」
「でも……
「でもはなし」

実に狡猾なこの恋愛脳の狂人は、肝心な点をわざとぼかしていた。
「他のことなんてどうだっていい。盛さんのお誕生日を祝うのに、僕がいれば十分でしょ?」

まったくこの狂人は、口だけは巧みなのだ。
盛少游は仕方なくなだめすかした。
「小花生は君の息子だろ?君の血だって半分入ってる」
花咏はくすくすと笑って頷いた。
「分かってる」
花咏の手は盛少游のお腹のあたりを撫でながら、美しくも甘えるような表情で言った。
「僕のために産んでくれたんだよね」
花咏の言葉は柔らかく蜜のように響き、その音の一つ一つが盛少游の心に深く突き刺さった。胸がじわりと熱くなり、甘く甘く痺れた。

「撫でるなよ」
花咏は身を寄せて、彼の耳をそっと噛んだ。
「じゃあ撫でない」
しかし、彼の手のひらは鰻のように滑らかで、羽根のように柔らかな指先は止まらなかった。
「──ちゃんと大事に撫でるね」
こんなにも純粋無垢な美しさを湛えた顔が、こんなにも破廉恥だなんて。

結婚して六年が経った今でも、盛少游はこの激しい落差には慣れず、おそらく六十年後もこのままだろう。
三十二歳の誕生日もまた、際立った落差を示していた。
前半はすこぶるお堅く、真面目な学問の場、
そして後半は、熱く、情熱的で、湿り気を帯びた、深く沈み込むような──彼だけの甘い愉悦の中に溶けていった。

十一時五十五分、ようやく二人はベッドで寄り添って、ケーキの箱を開けた。ケーキはオレンジ色の生クリームで覆われ、側面には薄い白で「Happy Birthday」の文字が書かれ、まさにその雰囲気にふさわしかった。
ろうそくに火を灯そうとする時には、盛少游は疲労困憊で、指先が震えていた。
恋に狂ったこの青年は、三本のピンクのろうそくに火を灯した。明るく照らし出すろうそくの光の中、彼は囁いた。

「お誕生日おめでとうございます。……愛してます」
不思議なことに、結婚して最初の誕生日を迎えて以来、花咏は一度も盛少游に願い事を尋ねたことがない。
いつも彼の願いを叶えることに必死の恋愛脳の狂人にとって、これは極めて珍しいことだった。

盛少游は思った。きっと分かっているんだろう。
故意なのか、それとも運命なのか。彼らはずっとテレパシーのように通じ合っている。

十代の頃、盛少游は卒業アルバムの「将来の夢」の欄に正直にこう書いた。
「自分を愛してくれる人。自分だけを、愛してくれる人に出会うこと」
しかし今、もう盛少游にはそんな夢を願う必要はない。

──もし今、神がこう尋ねたとしたら。
「自分が心から愛されていると感じたのは、いつですか?」

盛少游はためらうことなくこう答えるだろう。
「彼のすべての瞬間に」

夢はすべて叶った。
もう願い事をする必要はない。
盛少游はそう信じている……

盛少游のことを、嵐のように激しく熱烈に、自分自身のことよりも愛してくれる花咏がいる限り。