Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ugmm_
2026-05-17 18:44:32
2344文字
Public
現パロ
Clear cache
書きたいところだけ
現パロ。
ハミハスとタグス。なんか気に入っている妄想をそこだけ書いた。
店から出るとすぐに冷たい風が吹き付けて、ハスドゥルバルはそれが火照った頬を冷ましてくれる心地よさに息をついた。さほど遅い時間ではないけれど周囲は車通りも人通りもまばらで、見上げる夜空には雲が多い。雪が降るかもしれないと思っていると続いて店を出てきたハミルカルに腕を掴まれる。
「ふらふらするな」
いつの間にか車道に出かけていたハスドゥルバルを引き寄せて、彼は他の者たちと何か言葉を交わしていた。仕事に関わらない気兼ねない食事の席はこれでお開きらしく、次の店にと言い出す者はない。
ハスドゥルバルはすっかり酔いが回っていて、それが足元の怪しい自分のせいだとは気が付かなかった。もうお開きかと思っているうちにひとりふたりとその場を離れていく。
余裕を持って呼んだはずの車の到着が少し遅れており、ハミルカルと共に彼らを見送る格好になった。店に戻って待つかと問われてハスドゥルバルは首を振って、暖を取るようにハミルカルの腕を抱き寄せる。このまま歩きたい気分でもあり、もう一歩も動きたくない気分でもあった。
この馴染みの店があるのは繁華街からは外れた落ち着いた地区で、通りの向かいにも何軒か小さな店が並んでいる。そこから出てきたのも友人同士で食事を楽しんだらしい数人のグループだった。
「──あ!」
ハスドゥルバルの上げた声はその静かな通りに大きく響き渡った。
ハミルカルだけでなく通りの向こうの者たちも声の主を見、そのうちの一人が、大きく目を見開いていた。
たっと駆け出したハスドゥルバルは背にかかる声も構わずに車道を渡り、受け止められるものと信じ切ってその相手に身を投げ出した。しっかりとそれを抱き止めた腕の中で、しばらく見ないうちに精悍さを増したような気のする顔を引き寄せる。
少し当たりの外れた口づけを唇の端に受けて、支える腕がぎしっと音を立てて固まった。周囲で驚きとも感嘆ともつかない声が上がったがハスドゥルバルはとにかくいい気分で、嬉しい気持ちのまま笑顔を浮かべた。
「タグスだ!」
「あ、うん
……
タグスだよ
……
」
彼は目を白黒させていたが、自分の顔を両手で挟み込んでにこにこと笑っているハスドゥルバルの様子に大体のところを把握した。こんなふうになっているところを見たことはないが、明らかに酒気を帯びている。
紅潮した頬や潤んだ目は生気に満ちているとも言え、それがあの冬の日以来に見た姿であれば思うところも言いたいところもあったが、タグスは笑い返した。
「久しぶり。
……
酔ってるね」
「酔ってないよ、ご機嫌なだけ」
「酔っ払いだ〜現代にあるまじき殺気を感じる〜」
タグスの首に腕を回したままハスドゥルバルが振り返ると、ハミルカルが道を渡ってきたところだった。確かに怖い顔をしているけれど、いつものことである。その怖い顔と手元に得物があれば抜いていただろう眼光を向けられて、タグスの友人たちは何も言わずその場を去った。とてもいい勘をしている、たぶん昔の知り合いだろう。
ハスドゥルバルはふたりの顔を見比べ、あっ、そうだ、と呑気な声を出した。
「ほらタグス、ハミルカルさまにごあいさつして」
ハスドゥルバルにぐいと引っ張られたハミルカルが一歩前に出て、目線の並ぶ相手を睨んだ。
「タグス、ハミルカルさまだよ。ハミルカルさま、タグスです」
「知ってる」
「知ってるよ」
一度ならず会ったこともある。互いに言葉を交わそうとしない二人にハスドゥルバルはムッと眉を寄せ、タグスの片頬を引っ張った。
「ごあいさつして!」
「どうも
……
」
返事は鋭い舌打ちだった。タグスからすればどうぞよろしくと手を差し出される方が余程身の危険を覚えるので構わないのに、ハスドゥルバルは不服げだった。
「ハミルカルさま舌打ちしちゃメッですよ! こどもたちがまねするでしょ!」
返事をしない相手にもうすでにハンニバルが真似し始めているんだとかお嬢様たちが舌打ちすると本当に怖いんだからとか延々喋り続けている。ねえ、と唐突に同意を求められたタグスはとりあえず頷き、頷かれて納得したハスドゥルバルに頭を撫でられた。
「すごい酔い方するんだねこの人」
「記憶を消せ」
「無理かなあ」
支えているという言い訳で体に回したままの腕の中で、ハスドゥルバルはすっかり上機嫌だった。輝くような笑顔だ。別れずにごねればよかったなとタグスは思い、そうしていたら本当に無事で済まなかったらしいことを察した。
ハスドゥルバルは自分を挟んで流れる空気を意に介さず、犬か猫にでもするように頭を撫で続けていた。
「タグスはいいこなんですよ、いじめちゃだめです。ぜんぜんあきらめずに戦ってわたしを困らせてくれて
……
優しいし
……
キスもじょうずで
……
殺しちゃもったいなかったかな!? しかもセックスもうまい! あっそれはわたしが手取り足取り教えてあげたから!?」
あはは、と何が可笑しいのか笑い声を上げる。確かに教えてもらったがそれでもったいないと思われてもな、とされるがままになっていたタグスは、彼らのそばに停車した高級車を目に留めて名残惜しさを感じながらも腕を緩めた。
促されるままふらふらとそばを離れかけたハスドゥルバルが、タグスの指先を弱い力で握った。
「またね」
「またがあるんだ?」
「あるよ?」
どうしてないと思うの、そんな風に思っている声音に、握り返した手を引き寄せる。
今度は端っこでなく唇を合わせた。ハスドゥルバルはそれを押し返すでもなく、ただきょとんとしている。ちらと覗ったハミルカルがもはや怒りもなく静かな面持ちでいるのを、いい気味だと思う気持ちがタグスにもそれなりにあった。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内