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____mugi1
2026-05-16 18:30:23
2067文字
Public
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U.Revive
イト+ビリ(🔦+🔫)
「Undead」
https://privatter.me/page/6a031831f083d
の続き
🔫視点の答え合わせの話
希望という一言に全身が焦がれて──⬛︎⬛︎の希望のひかりになれたらいいと酷く憧れたのだ。
理想とは、正義を維持するために生まれ軈て用済みとなる運命にある。理想主義者が道徳的、又、社会的理想の理想だけを真の実在とし自分自身の犠牲を顧みることも無く理想の為に生き続けることの意味は、正義を確定させる部品を生成する為だ。部品が無ければ正義という完成品はかたちを得ることも無くガラクタに成り果てて意味も無く消えていく。
目的と価値の実現をさせる為に努力を続ける精神態度には果てが無く、時には現実の醜悪さから目を背け幻想を追うことに人間は苦言を呈することが多く、理解を得られることは殆ど無い。正直、その心情が解らないでも無かった。ビリー自身、正義という生を生きているかと言われれば答えはNOである。
血に濡れた兵器だった日々のメモリを思い返さないようにしているのは、記憶としてそのまま彩やかに甦ってしまうからだ。濁ることも偽ることもできずに、湾曲しない過去が再生されてしまうことから離れたかった。棄てることもできないのは、それがビリーの一欠片であることには違い無いからで。
憧れていたヒーローのひかりに灼かれた炉心が燃え続けているだけでは、誰かの希望にはまだ彼方にも遠く。外側だけを寄せても意味は無く。笑われる夢の守護者でありたいと思っては、届かない幻聴を重ねている。それでも何時かはその希望がかたちになると理想を生んでは、消費して。用済みになるまで生き続けたいと願っている。──願っていたのだ、ほんとうに。
「──だって、あんたは「それ」を選んだんだろ」
滑落したことばを聞いて、思考回路が。論理コアが。演算を停止し感情形成を停止させた。薄闇の下の翠の目が湾曲している。声をかけようとして、人間の膜が上から覆いかぶさるように金属の躯に密着する。触れた温度は何時もより熱くて、鳴き声のようなそれがビリーの愛称を呼んだあとに「ひどいひとだ」と言った。
その、背中に。触れようとして、躊躇って。おそるおそる触れる。柔く叩いて、安堵させようとする。かかえたことはあっても、人間を自分自身の意思で抱きしめたこと等無かった。もう一度、声をかけようとして。眼下のおとこの名前を呼んだが、返事は無かった。緩々と覗き込むと皮膚で構成された瞼が降りていた。
三日間の疲労困憊と、睡眠負債が此処で清算されなくともよかっただろうに。と、思っては「置いて行くことばかりで、うしろを振り返ることをしようとはしない」と、先程のことばが動き始めた思考回路の中で回っている。明瞭な回路が導き出した結論は。きっと、ライトが焦がれているのは。染み込む程のオイルと血の臭いと恐怖を纏ったビリーだった。
過去を葬ってしまいたかった。それは事実だ。ライトに話したことは嘘では無いし、ビリーはいまを生きていきたい。けれど、置いていったつもり等、無かったのだ。ビリーが過去を葬りたかったのは兵器であった頃の自分自身だけで、カリュドーンにいた経歴だって、初代チャンピオンであったことだって、何一つとして。葬りたいとは思っていなかった。
夜の残骸を焚べた日に、葬ると言った日に。そう言えばよかったのかもしれない。もっと早く、話をすればよかった。このおとこはずっと、置いていかれたと思っていたのだ。それを、幾度と。幾度と。反芻して。何時から、と聞くのは野暮だ。ビリーが此処を去ってからずっと、そう思っていた可能性もある。なのに、ライトは。何も言わなかった。
何時もそうだった。ライトは、必要以上のことは言わないし、ビリーも必要以上のことは言わない。それだけでいいと思っていたからだ。あまりにも傲慢な選択肢だった。「それ」を選んだ。また、金属に侵蝕したことばが再生される。それはそうだが。選んだのは、いまなのであって、ライトを置いていった訳では無かった。今更過ぎる言い分である。
ビリーは、希望を信じたかった。つよくなりたかった。星のひかりのような生を生きることができていれば、もっと。そう願っていた。あまりにも稚拙な願いだ。笑ってくれていい。それだけ焦がれていて、それだけが唯一。言われるがまま壊すことしかできなかった兵器の、捨てきれなかった願いだった。
意識を手放したおとこに「ごめんな」とも「悪かった」とも言えないまま、優しく背中を撫でる。何から話せばよかったのだろう。何を言えばよかったのだろう。何を、言えば。このおとこの内側で死に続けたことばを蘇生させることができるだろうと、無意味なことを思って。
「
……
希望を信じ続けて、生きたかったんだ」
つよく在り続けることが、⬛︎⬛︎にとっての。──否。それは、言い訳だった。他責思考の最低な言い訳だった。ヒーローに成る為の道路には果てが無く、彼方まで遠く。それでもまだ願ってしまうのだ。馬鹿みたいに。届かない星のひかりに手を伸ばすように。
ビリーはただ、誰かの希望のひかりになりたいだけだった。
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