ゆべし
2026-05-12 18:53:04
1402文字
Public 銀色の夢
  2181902

明ける夜

gntk夢
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 朝日が窓から差し込み始めると、眩しさで自然と目が覚めた。いつもよりもスッキリとした目覚めに疑問を抱きつつ、布団の中が温かくて起きるのは億劫だ。
「すー、すー」
……さくら
 思い出す昨晩の事情、言葉で伝えようとしてきたコイツの口を塞いだのは俺自身だ。分かってる。コイツの気持ちも、俺の気持ちも、それでもお互いに今をユラユラ生きているのが居心地よくて、決定的なことは避けてきた。それでもよかったが、最近は真選組だの、攘夷派だ、テロリストだ、なんだと甘味屋にノコノコやってくる奴らが多くなっている。
(そろそろ腹ァ括らにゃな
 今や、護るもんが増えたところで踏ん張りさえきけばなんとかなるだろうと思えるようになった。何よりも他の誰かの手に護られるなんて考えらんねェ。
 すやすやと気持ち良さそうに寝息を立てるその横で、もう少しだけ夢を見たい。けれど、起きる瞬間の気怠そうな様子を眺めたい気持ちもある。どうするか悩みながら、重力に逆らえず垂れ落ちた髪を掬い上げた。
「ん……?」
「おはようさん」
「おはよ、ございます?」
「なんで疑問形?」
「ここ、は……自分の、家では
「昨日は万事屋に連れてこられたの。覚えてる?」
……ぎんさん」
「はーい」
「私……そのまま、寝ちゃった?」
「何しても起きなかったわ。そんなに気持ち良かった?」
……うん」
「っ、そっか……今日は誰も来ねーし、もう少しゆっくり寝てようぜ」
……
 こくりと頷いて、少し開いていた二人の隙間も埋めるように擦り寄ってくる。あぁ、こんなに幸せなことがあっていいものか。俺がこんな幸せに浸っていいもんだろうか。咎める奴なんていねーけど、自分勝手に虚像を作ろうとする。疑う必要はどこにもねェってのに……
「ぎ、さん……
……
「ぎんさん、大丈夫です」
……
「私、ちゃんと待ってますから」
さくら、」
「幸せだって、いいんですよ
……そうさな」
 小さな寝息を抱きながら、目を瞑る。まぶたの裏に広がる暗闇は、殺伐とした景色しか映さなかった。骸骨になった人の山の上で、降ってくる人間を切り捨てる俺。血はどれだけ浴びても渇くばかりで何の足しにもなりゃしねェ。
 でも、今は違う。うるせぇガキ共に、お節介なババァたち、面倒事しか持ってこない野郎共、それに腕の中で眠る好いた女。穏やかで、眩しくて、こっちが暗がりでしゃがみ込んでいると感情お構いなしに陽の元へ連れ出される。
「逃げる場所もねーんだ。隠したところでバレちまう」
 この温もりに溶けちまったほうが簡単だ。この夜が明けて、世界が一遍することもあるのだと知る。次に目が覚めた時は遅めの朝飯を作って起こしてやりたい。そう思いながら、怖くはない夢の世界へ落ちていった。


……ん」
「~~♪~~~♪」
「い、ま……なんじ?」
「時計の針はとっくに十二時で重なったあとだな」
「お、お昼!? ッ、たぁ……
「オイオイ、急に起き上がるなよ。運んでやっから、そのまま横んなってろ~」
「銀さん」
「んー?」
「なんだか、いい朝ですね」
「そうだなァ……久々に気持ちいい朝だ」
「お腹空きました~」
「へいへい、今できますよっと」