Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
遊悟
2026-05-04 12:29:58
3657文字
Public
Clear cache
明けと宵の明星が交わる時
出会いはこんな感じだろうか、という
1
2
春の気だるい昼下がり。ちょっと遅めのランチから帰庁した史記守・陽が職場の
―――
警視庁の廊下を歩いてたところ、偶然見知った赤い髪を見つけた。
あれは、警視庁超常現象関連特別対策室災厄係の天使・夜宵ではないか。
薔薇のように艶やかな赤い髪を揺らし、その隣を歩く男と談笑を交わしている。
呆れたような、困ったような
―――
しょうがないなとでも言いたげな、ため息交じりに零された笑顔。
―――
ああ、あんな顔もするのか、と。
そこまで知った仲でもないが、もっと表情に乏しそうに思っていた男の、複雑な感情の乗った笑顔に意外性を憶えて。
さて、そんな顔を引き出したのは一体どこの誰かと、ついでのように隣を歩く男に視線を転じて
―――
陽は反射的にジャケットの内側に手を伸ばした。
背筋に走った悪寒。そのおぞましい気配に、陽は覚えがあった。
「待った待った! 陽、ステイ!」
ホルスターに収めていた拳銃に陽の指先が触れるのよりも早く、夜宵が慌てた様子で陽に駆け寄り、その手首を掴んだ。
血の通った、あたたかい夜宵の左手。その感触が、逸った陽の気持ちを優しく落ち着かせる。
「バカ、庁内で発砲する気か!?」
「治安のために必要であれば」
一点の曇りもない澄んだ青い瞳で、陽は夜宵の隣にいた男を射貫く。
「だって、その男
―――
死刑囚じゃないですか!」
夜宵の隣にいた男。身長と筋肉に恵まれた逞しい身体に、迫力のある
―――
悪く言うならば、悪そうな人相をした。黒縁の眼鏡をかけ、左の目の下に印象的な泣きぼくろのある
……
。
「神ざ
……
」
「遊悟」
陽が名を口にしようとすると、夜宵が鋭く遮った。
「お前も、銃口向けられたんなら、おとなしく手を挙げておけ。撃たれても庇わんぞ?」
「うーん
……
でも、そいつも警官なんだろ? なら、俺を撃つのは間違っちゃいないなって」
撃たれてもしょうがないなんて、眼鏡の男は当然のことのように口にする。
「おま
……
あー、まあ、説教は後だ。コレでコーヒーでも買ってこい」
陽の手首を離すと、夜宵はポケットからコーヒーショップのプリペイドカードを引き抜いた。そうしてそのまま、眼鏡の男に差し出す。
「コーヒー?」
「ブラックのコーヒー2杯。お前は好きなフラッペでも頼んでいいぞ」
カスタマイズも好きにしろ、駄賃代わりだ。
夜宵が気前の良いことを言うと、眼鏡の男は目を輝かせた。
「えっ、じゃあ、シロップ増量クリーム増し増しでも
……
?」
「好きにしろ。ただし、俺らのコーヒーはブラックだからな」
「OK、OK! やった~! 夜宵って良いヤツだなぁ!」
強面のその顔が、子供のような純粋な笑みで満たされる。夜宵は「さっさと行ってこい」と手で追い払う仕草をする。
「買い終わったら、先に部屋行ってろ。俺らはちょっと資料室に寄ってから行く」
「へいへい、了解」
行ってきますと軽く答え、眼鏡の男は庁外へと出て行った。
1
2
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color