アイリの持つ手帳の1番最初のページ。
そのページには、魔力が一定量あるものにしか読み取ることのできない文字がある。
文字、というよりも、映像である。
***
「こんな小さな羽では、この子は飛べない。一族の皆から疎まれてしまう」
男性の声が夜空に重く響いた。
「私が抱えてゆきます。それならば、共に飛べるでしょう」
「生涯、母に抱かれたまま余計な荷としての生を押し付けることになるだけだ」
孵ったばかりの幼子を抱えた女が涙した。
「
…この子は50も超えられぬでしょう。置いてゆけばもう2度と会うことができません。私たちが足をつくのは100年も先だというのに」
「
…。もうじき、浮き鯨が近くを通る。あれは世界を周遊する、飛べぬのならば、せめて空で生かせば良い。運が良ければ会うこともあろう」
「
…………………耐えられませぬ、私が共に地に足をつけます」
「ならぬ。それこそ忽ちにそなたは死に、その子を真の孤独にする。
…自分で食べられるようになったら、浮き鯨に捨ておけ」
***
私たちは、アシナシワタリドリの一族である。
地に足をつくと死に絶えてしまう一族だ。空の中で生き、宙を読むもの。
故に、飛び続けるほかない。飛べぬものは、共に生きられぬ。
この子は我らの愛し子。名をアイリ。
幸せになって欲しいと願い名をつけたが、翼は小さく魔力もない。地に足をつけて生きねばならぬ故、此処にすておく。
これを読むものがいたとて、どうかそのまま胸にしまって欲しい。どうか、私たちのことは知らずに生きて欲しいのだ。この子の母親にも、この子にも、忘却のまじないをかけた。忘れると言うことは、哀しみを減らす魔法だ。
この子が自力で憶い出し、知りたいとそう思ったときは
…どうか語って聞かせて欲しい。
『種族:アシナシワタリドリ』※参加している企画から逸脱した設定があるため、参考程度。
https://privatter.me/page/6a08091e30feb
アイリは逸脱した個体なのでこちらの設定はない。
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