ルカキリの政略結婚シリーズ、「出会う前に結婚した」のフリンズ執行官IFです。
フリンズは起きてライトキーパーに入ろうとしたら女皇に政略結婚を命令されます。スネージナヤとモンドとの繋がりを強固で親密な関係にするためだけに、フリンズはファデュイ執行官にさせられました。第十位灯火(スヴェーチ)
完全巻き込まれ可哀想ンズ。口が悪いです。
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約束の時間より、少し早く到着した。身なりを確認する。
まさか、俺が結婚することになるとはな。相手はこれから初の顔合わせになるが。
事の経緯は、スネージナヤとの外交問題だった。友好関係を築くために、西風騎士団大団長である俺と、ファデュイ執行官と婚姻を結ぶことになった。
執行官第十位、灯火(スヴェーチ)。名前すら聞いた事のない相手だ。
ファデュイ執行官とは、いろいろと確執があった相手でもあるが、執行官も人だ。とりあえず、相手の人となりを見極めないといけない。立場上、思い込みで判断してはならない。そう自分に言い聞かせる。
扉が開く。目の前には身なりのいい男がいた。
…男?
上質なコートを身に纏い、気品溢れる男だ。
…視線は俺に対して軽蔑が含まれている気がするが。男が口を開く。
「
………執行官第十位、スヴェーチです」
まさか、彼がスヴェーチだったか。男が婚姻相手だとは思わなかった。
…一応、子供を得ることも契約内容に入ってるはずだが。
「西風騎士団大団長のファルカだ。
………俺の婚姻相手、で合ってるよな」
「ええ、こちらとしても遺憾の限りですが」
「
………その、子供を授かることも、契約に入っていたのだが」
「
………僕はフェイ、スネージナヤにいる妖精です。肉体の性別を変えることができます。肉体は男性ですが、女性器はあります。妊娠も可能です」
「そ、そうなのか」
見るからに、スヴェーチはご機嫌斜めのようだ。全身で不服、という態度が滲み出ている。
「
………なにか? ご不満があるなら申し出てください。完全に女性になるのは嫌なのでお断りします」
「いや、不満があるのはスヴェーチじゃないのか?」
「当然ですよ。貴方と政略結婚するために執行官にさせられたのですから」
「
………は?」
「何故、政略結婚という手段を選んだんですか。貴方の軽率な計らいのせいで僕が巻き込まれました」
「え、執行官
…ではなかったのか?」
「ええ、ただの“元”貴族でしたよ。ゆっくり休んでいたのに、女皇に連れていかれて執行官に任命されました」
思わぬ事態に絶句する。まさかこんな巻き込まれ事故が発生していたとは。そりゃ、俺に対しての印象が悪くなるわけだ。
最悪の空気のまま、晩餐が開始された。やばい、この空気なんとかしないと不味い。なにか話題を考えないと。
「そういえば、女皇のこと
………なん、だが」
必死に出した話の種は地雷だったようだ。室温が下がった。目の前のスヴェーチから冷気が漏れている。
「
………………あの女が、何か?」
「
………あの、仮にもトップに、していい、態度なのか? 忠誠心、どこに置いていったんだ?」
「そうですね。さっさと死んでほしいと思っています。貴方もさっさと死んでくれたら多少の好意は抱きますが」
「
………本当に、巻き込んで悪かった」
どうやら、婚姻相手からの好感度はマイナスのようだ。だが、悪いことだけではない。少なくとも、スヴェーチは女皇に心酔してはいない。心酔して、スパイのような真似をする相手でなかっただけ、最悪の事態は避けられたと思うべきだろう。
とりあえず、次の話題を探さなければ、食事を進めていく。
………何かが、おかしい。違和感がある。
………これは、もしかして。
「
………スヴェーチ、この食事だが、もしかして」
「ああ、効いてきましたか。僕も同じものが盛られています」
身体が疼いてくる。呼吸が荒くなる。どう考えても、媚薬だ。
「女性器がついているとはいえ、男の身体など、媚薬を盛らないと抱けないでしょう」
「おい、今すぐでなくてもいいだろ! 俺たちは互いの事を知らなさすぎる」
「フェイは妊娠できますが、しにくいです。それなりの回数を重ねないとできません。僕としては長引かせたくない」
スヴェーチに手を引かれる。着いた部屋には大きなベッドがあった。
「ほら、抱いてやりますからさっさと終わらせましょう」
………その後は、あまり覚えていない。ただ、スヴェーチがずっと不満そうだったことだけははっきりと覚えてる。
────────
あの男、本当に嫌いだ。なんであんなにでかいんだ!! もっと小さくしろ!!
男が起きる前に、なんとか身体を引きずるようにして部屋を出た。女性器が痛い。歩きにくい。
妊娠するまで、これを続けなければいけないのが嫌すぎる。あの男も、こんな命令をしたくそ女も、さっさと死んでくれ。
『西風騎士団大団長と結婚しなさい。でなければライトキーパーの所属を認めません』
くそ女の言葉を思い出し、舌打ちをする。
執行官にも女性はいるが、かわいい部下にそんな真似をさせられないからと、僕にお鉢が回ってしまった。
不幸中の幸いは、子供ができたら完全に自由になれること、位しかない。
『おい、今すぐでなくてもいいだろ! 俺たちは互いの事を知らなさすぎる』
男の言葉を思い出してしまい、怒りを壁にぶつける。政略結婚しようとしたのはお前だろう! 何が互いの事を知らなさすぎるだ!
これが、妊娠するまで続くのがうんざりする。
その後、定期的に“逢瀬”を行い、セックスを繰り返す。
男は媚薬を盛られるのが嫌らしく、なんとかして飲ませるのがめんどくさい。何を考えているんだ、媚薬なしでできるわけないだろ。反論の口を媚薬で塞いでやった。
そんな地獄のような日常は、思ったよりも早く終わった。
あの男が、遠征に出向く事が決まったのだ!!
男は何か言いたげな表情だが、僕の喜びように何も言えない様子だった。
くそ女にも報告し、遠征が終わるまでライトキーパーに所属できるようになった。妊娠してないので、つかの間の平和だが。
だが、あの男を少し見直した。あの男とセックスしないだけでこんなに快適だったとは!
ニキータと連絡を取り、ライトキーパーとして生活をする。やはり、ライトキーパーは素晴らしい。天職だ。イルーガはからかいがいあるし。毎日が楽しい。
夜明かしの墓も静かで快適だ。とても心が安らぐ。もう遠征から帰ってこなくていい。なんなら、不倫してほしいくらいだ。だめなら殉職してくれてもかまわない。
そんな風に心安らかに釣りをしていると、静かな夜明かしの墓に騒音が響く。様子を見に行くと、見たくもない姿が、荷物をぶちまけていた。
「すまない、荷物をぶちまけてしまって
………スヴェーチ?」
「
……………人違いではないでしょうか」
………この男、本当に死んでほしい。
思いっきり舌打ちをする。男はそんな僕の態度を見て、苦笑いをしていた。
出会いかたを間違えた② | Privatter+
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