おがら
2026-03-04 01:35:11
2345文字
Public バキサム
 

ねこ

🦾🪽 全年齢
バキサム前提。ボブ視点のボブとバキの会話とTB*組わちゃわちゃ。サムは出てこない。
猫の日にちなんだ話。

 
 ウォッチタワーでみんなと共同生活を始めてからはや数か月。最初はそれぞれのスペースや生活時間を巡って些細な喧嘩なんかもしてたけど僕含めて慣れてきたみたいで争いは少なくなった。(無くなったと言えないところが僕ららしいとおもう)
 今日、僕たちはヴァルの指示で崩れたトンネルの瓦礫撤去の手伝いをしてきた。僕たちがやることなのかなってエレーナが言ってたけど全部僕たちのイメージを良くするために必要なことらしい。一般の人はほとんどいないし山奥だから万が一ヴォイドが出ても影響は少ないだろうってことで僕も一戦力として駆り出されてみんなと仕事が出来たのは嬉しかった。いつも留守番ばかりだし。
 くたくたの身体を車に揺られてウォッチタワーに戻り、男性陣はみんなタワーに入ってエレベーターで上がる前のエントランスみたいなところで服を脱ぎ始める。外からは見えないし、汚れがひどい僕たちを見てエイヴァが「それ何とかしてから上がってきてよね」って言われたから仕方ない。
 このタワーではヴァル含め女性陣の意見はほぼ絶対だ。数か月でそれを学んだ僕たちは逆らうことなく頷いたのだ。
 ジョンとアレクセイは上の服を脱いでズボンの汚れを掃ってからさっさと上に上がっていく。アレクセイはまだ汚れてたみたいでジョンになんか言われてるけどエレベーターは閉まってしまう。先を越されてしまったからシャワールームは順番待ちになってしまうかな。あぁ早くゆっくりしたいなぁ。

「ボブ、平気か?」

 僕たちより後にタワーに入ってきたバッキーが声をかけてくれる。いつも真っ黒な服を着てる彼は今日も真っ黒でその全身は僕たち以上に汚れまみれ。
 正直バッキーが一番働いていたと言っても過言ではなかったと思う。そのパワーで黙々と瓦礫を抱え、崩れそうなところがあるとみんなに声をかけて協力して安全に仕事を終えられたのはバッキーのおかげだ。
 アレクセイは全部力でどうにかしようとするし、ジョンも口を動かすけど文句ばっかり。女性陣は重いものは難しいから細かい瓦礫の撤去やら掃除やらでバタバタとしていたけど。僕は僕でスーパーパワーはないから大した役には立たなかったし。

「うん。バッキーが一番疲れたでしょ。あ、上の服はここで脱いでって」
「『タワーを汚すな』って? まぁあんまりやらないことではあるな」

 声をかけてから自分の服を脱ぎ、Tシャツだけになって上着とズボンの埃を掃い、エレベーターのボタンを押して呼ぶ。バッキーはちょっと高い声で誰かの真似をした言い方をするからおかしくてたまらない。出会ってからずうっと眉間に皺を寄せてるバッキーだけど時々こうしてふざけたりする。

「それ似てないよ」

 笑いながら指摘すればバッキーは肩を竦めるだけ。和ませようとしてくれたのかな?でもなんかちょっと機嫌が良さそうな気もする。そういえばさっき誰かと電話してたっけ。
 チン。とエレベーターが到着した音でそっちに意識を持って行って乗り込むと汚れたTシャツを脱いで上裸になったバッキーも一緒に乗り込む。シャワールームがある階のボタンを押してもバッキーは何も言わないから目的地は同じなんだろう。
 ふぅと息を吐いて扉と反対側の壁に背を預けると白くてむきむきのバッキーの身体がいやでも目に入ってしまう。背中はあんまり見ないかもなぁなんてぼうっと見てたら肩から肩甲骨の辺りに斜めに数本入った赤い線のような、傷跡のようなものがあって何も考えずねぇ。と声をかける。

「それどうしたの?」

 触りも指も指さず傷を指摘するとバッキーは僕の方をちらりと振り向いてからすぐに前を向く。傷があるのはわかってたのか。血は出てないけどちょっと赤くて痛々しいから手当したらいいのに。

「あー……ねこがな」
「猫!?バッキー、猫飼ってるの!?」

 予想していなった単語に壁から背中を離してバッキーに詰め寄るとバッキーはいつもみたいにぎゅうと眉を寄せ僕から一歩距離を取るけど別に怒ってる雰囲気はない。

「まぁな」
「でも猫にしたって大きい傷跡だよね?痛くないの?そういえば昨日タワーには帰ってこなかったよね?トラとかライオンと戦ってたの?」
「いや、そういう訳じゃ……
「じゃあどんな猫なの?画像ある?」

 矢継ぎ早に質問してるという自覚はあるけどなんだか口が止まらない。バッキーが猫、バッキーと猫。その想像をすると楽しくなってきてしまうのだ。どんな猫を飼ってるんだろう。見てみたいなぁ。

「ふつうの、ねこ、だ。……画像はない」

 チン!とエレベーターが到着するとバッキーは苦々しい顔をしてさっさと行ってしまいそうになるから僕はその太い腕を掴んで声を上げる。

「ねぇー!エレーナぁ!!これくらいの傷が出来る猫ってなぁにー!?」

 この階は共同スペースとも階段で繋がってるから大きい声を出せば聞こえるだろう。
 疑問はそのままにしておけなくて声を上げるとバッキーは慌てた様子で僕の腕を掴み返す。力は感じるけど痛みはない。こんな時までちゃんとしてるなぁなんて頭の片隅で思っているとエレーナが小走りに階段を降りてきて僕たちの姿を認めると訝しげな顔をする。

……なにやってんの?」
「あ、ねぇ、バッキーの背中の傷が、」
「おい!ボブ!やめろ!」

 声を上げるバッキーの慌てた様子に首を傾げていると、エレーナが呆れた様子でまた階段を上がっていき、シャワー室から出たアレクセイがバッキーの背中を見て「お盛んだなぁ!」と大声で言うの笑って同意するジョンがどこかから現れたエイヴァに脛を蹴られる出来事が一瞬で起きるこのウォッチタワーは今日も騒がしいみたい。