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おがら
2026-03-04 01:29:31
2244文字
Public
バキサム
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アイドルパロ/婚姻届ファンサ
🛡️、🦾、🪽のアイドルパロ
(シリーズに出来たら🦾🪽予定)
モブオタクが騒いでるだけの話
『バッキー・バーンズ重婚発覚!?』
そんな文字がSNSのトレンド欄を賑わせているのはライブ終わりの夜だ。
多くのファンが会場を出るやいなやレポや記憶に残ったことを各々SNSに書き込むうちの、量が多くて話題性が高いものが必然的にトレンドに上がってくる世界は私の目にも容易に入ってきていて、それも好きなグループのことなら尚更。
一通りレポと感想を漁るとスマホをベッドに投げ出して天井を見上げる。
「ついに重婚バーンズかぁ」
同じSNSでチラホラと呟かれていたあだ名のようなものを呟いてから立ち上がってクローゼットへ。
今回トレンドを賑わせたのはアイドルグループSBSに所属しているうちの一人、バッキー・バーンズがライブ会場で様々なファンに婚姻届を書く(ふりをする)ファンサービスを行った。という話。
きっかけはバッキーが出演したドラマ。一昨年放送されたドラマでヤンチャな御曹司役を演じたバッキーはその顔の良さと身のこなし、素直じゃないけど主人公に不器用に想いを寄せる姿に毎放送視聴率をぐんぐんと上げ、あっという間に話題の中心となった。
そして去年、続編のドラマが放送され、そこでバッキーの役はヤンチャな御曹司から真面目に議員を目指すスパダリになっていた。びしっとスーツを着こなし、主人公に甘く囁きプロポーズをする姿は世の中のバッキーファン以外も虜にしたらしくそれはもうすごい騒ぎだった、と思う。
私はまぁ、格好いいとは思ったし全話ちゃんと見たけど惚れなかった。私には心に決めた人がいるからね。あ、このワンピースにしようかなぁ。
そんなわけでドラマが終わって初めてのライブが今日の公演だったわけ。そこにドラマと同じくバッキーと結婚したいファンが詰めかけ(もちろん抽選だからバッキーファンだけ入ってたわけじゃない)、レポを見る限りバッキーは景気よくそれに次々と応えてくれたってことらしい。
友人のバッキー担からはさっきから興奮の通知から鳴りやまないけど、もう少ししたら返そうと思う。彼女の熱量はすごくて時々押されてしまうし。私は服を選びたい。ネイルは明後日で、美容院はその次の日と忙しい日が続く。お肌の調子も整えたいから早く寝なくちゃ。うん、やっぱりこっちのワンピースにしよ!
ついこの間購入したばかりの青色のワンピースをわかりやすい場所にかけ直してからクローゼットを閉め、ベッドに座るとようやくスマホを開いて何十件と入っている通知を開く。
『けっこんした』
一番最初のメッセージはそれで、たどたどしい文字に誰もいない部屋でははっと笑いが出る。結婚したかぁ。取り合えずおめでとう。とだけ送っておく。返事を待つ間にずらっと並んだメッセージに目を通す。ほとんどレポ代わりにされているのにも笑ってしまうけどこれもいつものことでお互い様だ。
『書いてもらったしウィンクされた』『絶対されたって!』『でもアイツ21回くらいやってた』
「21回!?」
友人からのメッセージに思わず声を出す。どんだけ結婚するのよ。重婚どころの話じゃないじゃん
……
。多分彼女の数字はほとんど正しいと思う。高性能の双眼鏡でずっとバッキーを追い続けるスナイパーだからだ。
一旦メッセージアプリを閉じてSNSを開き、フォローしてる別のバッキー担のレポを漁りにいく。この人のレポは詳細だし見やすくて結構好きなんだよね。
「えーと、『バッキー・バーンズ氏は本日22回、婚姻届けを記入していました。あくまで私調べです』か。えぐ」
友人の回数と一回しか変わらないのはあの子が自分の分を入れ忘れているのかな。興奮してたら全然ありえる。もう一度メッセージアプリに戻り、ログを辿っていると『22回だと思う』と訂正が入っていた。うーん、流石すぎる。
ログを辿っていると『サムは指でバツしてた』の文字を見て胸がざわりと騒ぎ始め、その次の『スティーブだけど、』という文字が目に飛び込んできてごくり。と喉が鳴る。待ってと送ろうかと指を高速で動かしていると新しいメッセージが入る。
『今日もみんなの王子だったよ。衣装、あんたの好きな感じだから楽しみにしといていいかも』
「は、あ~~~~!!もう!!なに!!」
ばふんとベッドに倒れ込み、スマホを離した手で両手を覆う。
そうよ。スティーブが、わたしのグラントが誰にでも婚姻届を書いたりするわけない。多分バッキーと同じでファンサはめちゃくちゃ向けられたと思うけどウィンクとかお手振りでいなしたのよ。その光景がいま目の前にありありと浮かぶもん。
別にガチ恋じゃない。彼のキャラ的に、みんなを愛するということに信念を持ってる彼が何よりも好きだからそういうことをしないでくれて良かったという思いと、解釈一致で良かったという思いだ。
ちなみにサムもしっかり断っていたのは解釈一致なので良いと思う。サム担は断られたとしてもその真正面から返してくれる姿勢がすでにファンサだろうし。
「よし
……
『報告ありがとう。来週よろしく』っと」
安心感から寝っ転がったまま返信を返すと数秒で了解の短い文字が返ってきて、適当にスタンプで返してようやく息を吐く。閉じたスマホの待ち受けはもちろんスティーブ・ロジャースの弾ける笑顔。あぁ、はやく会いたい!
こうしちゃいられない。お風呂に入ってパックして、ストレッチして最高の状態で来週のライブに備えなくちゃ!
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