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豆炭々炬燵
4572文字
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その他 漫画系
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【バクリチ】偽りの幸せ
魔男のイチでバクガミ×リチア
――敬虔な贄の一人だった少女の小さな愚かさが今になって身を蝕み続ける
本誌再登場に居ても立っても居られなくて書いちゃった。やはりドブカスクソ野郎×心優しくも気高き魂を持つ者、癖。
※リチア不在のバクガミ独白
追記→2026/3/1時点 リチア部分加筆
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困窮した国ほど効率よく悲しみを集めるのに適した園はない。
≪ここにしよう。≫
どこもかしこも辛気臭く、生きる気力を失い、不幸に耕された土壌はさぞ悍ましいほど美しい悲しみの花を咲かせるだろう。
≪いずれ滅ぼすとしても彼の方へ捧ぐその日まで、警戒心を持たれない姿の方が都合がいい。≫
生まれ落ちた姿のまま、さも無害であるように矮小な貴様ら人間たちを救いに来た尊き神であるよう振舞う。
穏やかな声音で語りかけ抱きしめさせることで悲しむ心を喰らう。そうすれば忽ち浅はかで意地汚い人間たちは何も疑わないで飛びつく様のなんと滑稽なことか。
崇め奉る存在が人類を滅ぼす反人類魔法とはつゆ知らずに。
おお、おお、救えないお前たちに残された道はたったひとつ、その命を持って不幸と悲しみに嘆き苦しみ変滅の君への供物になる道以外ありやしない。
10年間コツコツと貯めた辛を蓄え続けた“ガワ”の内側、万が一攻撃に備えたスペースからつと翼を折り畳むように互い違いに指を絡め健気に国と弟の安寧を飽きもせず祈るこの国の姫に意識を向ける。
国を奪った日から献身的に祈り続けるとは実に結構。その深い信仰心はいずれ私が崇め奉る反世界様への極上の供物となる。なんと名誉なことか心の底から感謝するがいい。
そんな姫君の姿を掻いた胡坐の上で頬杖をつき薄ら笑う。
≪そういえばコイツ、母親を失った辛を吸い取った日以来一度も私を抱きしめないな
……
。≫
不意に甦る泣きじゃくった顔で言われるがまま私を抱きしめた腕が微かに震えていた感触。
小さな腕の温もり。ほのかに香るやわい匂い。そして、幼き身体を押し潰さんばかりの深い悲しみはまさに甘露。
味わう前に一瞬で平らげたのが半ば悔やまれるが、その後お告げをしなくとも勝手に悲しみを捧げに来る愚かな人間たちのお陰で忘れていた記憶が月の下静かに咲く白き花の如く顔を覗かせる。
≪! 私はいま何を
…
? ≫
無意識に伸ばした手に困惑した。
手をあの小娘に伸ばして何になる。そもそも伸ばす意味が分からない。私が伸ばしたところで
――
。
≪他者を抱きしめられやしない。≫
私は、幸辛の魔法。
他者が私を抱きしめなければ悲しみを吸い取れない、私から他者を抱きしめることは出来ない、幸福と不幸をもたらす魔法。
結果的にそのよく分からない制約のお陰でクソ女は私に辛を寄越さない上に忌々しい反世界様に仇名す魔男に習得される羽目になった。
ああ、クソ。私の甘い囁きに身を委ねればいいものを。何も考えず悲しくて辛い心を差し出していればよかったものを。
誰かの悪夢越しではない。
泣きじゃくるだけの無力な子供の頃と違う随分と視線の高さが狭まった女の目に涙をたくわえた腹立たしいくらいまで凛とした眼差しが目に焼き付き消えやしない。
ああ、忌々しい僅かでも美しいと思った自分が一番腹立たしい。何より頭の隅でもう一度抱きしめておくれと自分の声に似た誰かの囁き声に吐き気がする。
私を大切な宝物を抱きしめるありもしない幻に魘され魔法心円で飛び起きた日は数知れず。
≪あのクソ女
…
次に会ったら今度こそ悲劇の坩堝に叩き落してやる
……
。そうだ、自ら私に辛を差し出すように仕向け、フフフ
……
。≫
苛つく気持ちを抑えるため今後の作戦を練りに練る。たとえコソコソ陰口を叩かれようが構うものか。
私はこんな所で終わる魔法じゃない。反世界様のため憎きイチ等を皆殺しにして供物として捧げるその日まで牙を研ぎ続けるのだ。
実に野蛮人が好む原始的な空間の一角、青臭い草木の臭いから意識を逸らすべく私はいつ時か香ったやわく甘い匂いを思い出しながら再び眠りに就いた。
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