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保科
2026-02-21 02:17:49
1930文字
Public
超かぐや姫!
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その眼差し!
彩葉とヤチヨの話
超かぐや姫!伝説すぎんだろ!!!!!
「彩葉はさ」
「ん?」
「もう、『ヤチヨ』のファンじゃないの?」
ぽつりと。弱々しげにそんな事をつぶやかれて、味のしないコーラで咽るかと思った。この古巣を模した空間で、定期的にヤチヨの思い出話に耳を傾ける会を行っている私達。らしいというべきか、ヤチヨはいつもなんかズレたりおかしなことを言う傾向があるけるど、今日の発言はまた唐突だ。
「ちょ、まっ
……
え?何?急にどうした?」
「だって、ほら。いつも、ヤチヨのことはこう
……
キラキラ〜って目で見ててくれましたので。
あ!あのね、今のヤチヨを見てくれる時の目もね、とっても好きなんだけど
……
」
「待っていつもって、」
そのカウントっていつから、などというのは
――
いや、野暮だ。私がツクヨミを訪れた日は、きっとヤチヨにとって念願だったことだろう。あの日、一人暮らしを始めてやっと手にできたスマコンを目につけて、散々配信で目にしていたかのトップライバーに相まみ得た瞬間、から、だとしたら。
「
……
確認だけどさ、ヤチヨ」
「うん?なーに」
「その、
……
もしかして、あなたも
……
ずっと
……
見てた?
……
私のこと、とか」
「んふふ」
抱えたひざに、頬を乗せて。楽しげに微笑んだヤチヨは、ないしょ、と囁いた。なにそれかわいい。ブロマイドにしたい。
「彩葉が教えてくれるなら、答えてあげよう!」
「い、いや、何もかも私ありきじゃんそれ
……
」
「えへへ、実はそうなのでした、なーんて」
突っ込まれたヤチヨは照れたようにピースして、そうして、ふっと目を伏せる。
「
……
かぐやだって、知って。じつは、嫌になっちゃったり、してない
……
?」
「
――
何でそうなるの」
そんな訳がない。嫌になんかなるはずがない
――
なれる訳がない。
ヤチヨの心配は、まあ、分かる。人によって態度はそこそこ切り分けてる自覚がある
――
かぐやなら、かぐやに接するような。推しなら推しに、友達なら友達に。お兄ちゃんなら
……
まあ、それなりに。
「
……
ヤチヨは、ずーーーっと大人になったのに、そういう機微は分かんないんだね」
「分かんないことばかりだよ。
……
昔よりずっと、分かることも、分からないことも増えたから」
その、遠くを眺めるような瞳が映すのはどの景色なんだろうか。知識としてFUSHIには教え込まれたけれど、経験の伴うものではない。彼女の心境を想像するには、その隔たりはずっと大きくなってしまった。
……
まあ、そんな距離は覚悟を決めていずれ埋めればいいのだけど
――
問題は今だ。茶化したって効果なし。これ以上、彼女のこんな顔は見たくないので、仕方ないと、ため息を一つ。
「分かった。なら、教える、から
……
ヤチヨ、もうちょいこっち来て」
「?うん」
ちゃぶ台を挟んで座っていたヤチヨを招き寄せる。
なんだろ、とハイハイの姿勢でこちらにヤチヨが近づいてきて、人一人分くらいの距離になって、
……
戸惑ったように、ヤチヨが瞬く。
「
……
彩葉?」
「
……………………
で?何だって?ファンじゃないかどうかって?」
そんなの論じるまでもない、
「私は。
頭からつま先まで、人生全部捧げてるあなたの正真正銘のファンだよ。何があったって変わらないし
――
本当のこと知って、好きになれど嫌いなるなんてありえない」
「
…………
」
つん、と、無言でヤチヨが私の頬をつつく。肩が跳ねる。
「
……
、顔、真っ赤だ〜。メンダコみたい」
「
………
や、こんな近くで、ヤチヨのことを、見る事、ないし」
「でも。前、抱きしめてくれた時、こんな風じゃなかったのに?」
「あれは、ほら
……
、勢いだし?そもそもかぐやとして接してた、し、私だってTPOとかあるんだから、いつもそんな風に思ってるわけじゃなくて、」
何を言ってるか、自分でもわからなくなってきた。平凡だってそこそこ叩き出せるはずの頭はすっかり沸騰して使い物にならなくて、情けない声であーだのうーだの呻いていたところ。
ぎゅう、とヤチヨに抱きしめられて心臓止まった。友達のヤチヨじゃない、ファンである「ヤチヨ」に抱きしめられていることに、ともすればアラートでログアウトしかねない勢いで心臓がバクバク跳ね出す。
「彩葉
――
ねえ、彩葉!」
「ちょ、いや、近い、近い
……
っ」
「あのね。ずーっと、ずーっと!
初配信の時。まだ、ツクヨミに来たこともない時から
――
変わらないまま、ヤチヨのこと、応援してくれてありがとう」
ずっとね、あなたに言いたかったんだよ、と、耳元で囁かれて。
――
推し活総決算みたいな状況に言葉なく感極まる私の顔をするりとのぞき込んで、ヤチヨは満足そうにふにゃりと笑った。
「あ、そうそう、その目。
――
私の、私だけの彩葉の眼差し!」
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