ジェムスティア・バライロシティにて。
わたしは久しぶりに、バライロシティにあるダイヤモンド伯爵家に帰省した。夫のパルファン博士
……パル君と一緒に!
パレット「お兄ちゃん、こころちゃん、ただいまー!」
こころ「おかえりなさいませ、パレット様、パルファン様」
(こころちゃんはパル君が発明したアンドロイドメイドで、今はお兄ちゃんと暮らしてるの!)
コバルト「おかえり。それにしてもパレット、相変わらずすごいドレスだな
……」
パレット「でしょ!?これね、パル君の新しい発明で布地がふわっと広がりつつ絶妙に床につかないようになってるの!」
コバルト「全く
……君たちが公爵夫妻になってからというもの、社交界もこの街も随分派手になったな」
パルファン「『華やかになった』と言って欲しいものですね、義兄さん?」
コバルト「
……コバルトでいい。だが、まぁ
……そうだな。自由で美しい世界になったな」
パレット「そうそう!わたしを含めたみんなが、自由に好きなファッションを楽しめるようになったのよ!」
*
パレット「でも、ちょっと前は色々大変だったのよね〜!」
コバルト「苦労したのは主にパルファンと俺だがな
……」
パレット「そうね
……えへへ、でも本当に結婚できてよかったぁ!」
わたしは実家のダイヤモンド伯爵家にある書類や雑誌の切り抜きを見返しながら、思い出を振り返った
……。
・ローズ公爵家からの縁談釣書
🎨パレットサイド
パレット「ある時突然、ローズ公爵家次男からダイヤモンド伯爵家のわたしに縁談の釣書が届いたのよね
……」
*
パレット「お兄ちゃん!!わたし、ローズ家次男となんて結婚したくないわ!うわぁぁぁん!!!」
コバルト「妹の自由意志を無視し、公爵家の名前を使って紙切れ1枚で結婚しようとは、なんて乱暴なやり方なんだ
……とはいえ、現実的には家格の差があり公爵家からの縁談を断るのは
……」
パレット「わたしはローズ家公爵次男がどんな人かも、顔すら知らないのに
……なんでそんな男と結婚しなきゃいけないの
……う、うぅっ」
コバルト「そうだな
……ローズ家次男は最近全く社交界に顔も出していないらしいし
……そんな彼が、なぜよりにもよってうちのおてんば令嬢を指名したのかは謎だ
……」
パレット「パパとママは公爵家からの縁談話に大喜びだけど、わたしは推しの『パルファン博士』一筋なの!」
コバルト「パルファン博士?」
パレット「あのね、メディアによくでてるすごい特許王の魔法科学発明家で、わたしが最高に大好きな長髪美形男性なのよ!!彼のあのラベンダーの長髪が大好き!たなびく長い髪、ちょっと悪役美形的なシュッとした綺麗なお顔、香水瓶をアレンジしたネクタイに白衣とスーツを足してラグジュアリーで割ったみたいな服装!ちょっと悪役美形みたいな雰囲気もたまらないわ!毎日パルファン博士の髪と顔と声を摂取するために、インタビュー動画を無限ループ再生してるのよ!」
コバルト「そ、そうなのか
……。それにしても妙だな。格式高いローズ公爵家が、なぜダイヤモンド伯爵家に
……?」
パレット「わたしが知りたいわよ!!うわぁぁぁん!!」
*
・パレットの誤爆イラストコラム
パレット「あの夜、わたしは急な公爵家との縁談のショックで、徹夜で推しの「パルファン博士」とわたしのカプイラストと、愚痴をかいたのよね
……」
*
パレット「あぁぁーローズ家次男なんて絶対堅物のいけすかない男に決まってるわ。わたしはラベンダー長髪パルファン博士以外愛せないのに!パルファン博士と結婚したいのよー!!」
わたしは、推しと自分のカプ絵の横に『あーあ、パルファン博士がわたしの婚約者だったらいいのに!堅苦しいローズ公爵家次男との縁談なんて、本当は
……ほんとーーーーにお断りしたい気分だわ!!パルファン博士と結婚したい!!』』と本音を思わず書き殴った。
パレット「わぁ〜このパルファン博士がわたしをお姫様抱っこしてる絵は我ながらよく描けたわ!今度額に入れて飾ろうかな。あっでも机が散らかってるから、とりあえず汚れないようにこの封筒に入れておきましょう」
手近にあった封筒に推しのファンアート(愚痴つき)を普段原稿を入れるのに使ってる封筒に入れた
……のが間違いだったのよね。
でもその時のわたしは、ファンアートを紅茶とインクと絵の具から避難させたことで満足して、机に突っ伏して寝落ちしてしまった。
そして朝
……。
編集「パレット先生、おはようございます!今月のイラストコラムの原稿をとりにきました!」
パレット「
……えっ!?あっそうだったわ、今朝が締め切りだったわね
……あ、えっと仕上がってます!えええっと
……あっこれね!はい、これです!」
数日前に完成させていたイラストコラムと、推しのファンアート(愚痴つき)を間違えて渡してしまっていたことに気づかなかった
……。
*WEB NEWS『ジェム・ゴシップ』
【速報】
「ダイヤモンド伯爵家令嬢パレット・ダイヤモンド、ローズ公爵家との縁談に不満爆発!?自身の最新コラムで『推しのパルファン博士と結婚したい』発言!」
お兄ちゃんからの電話で起こされた。
パレット「ふぁ
……もしもし
……?」
コバルト「今すぐ起きて、俺の書斎に来なさい」
パレット「ええええええ!!!?うわああ!!なに!?」
*間違えた原稿がそのまま掲載されたコラム
コバルトは「どういうことなんだ、これは!」
お兄ちゃんは、雑誌のわたしのコラムページを見て震えている。
コバルト「お前はコラムに公爵次男への不満と『推し』とやらの想いを書いたのか!?婚約破棄どころか、ダイヤモンド家ごと潰されるぞ!なんてことをしてくれたんだ
……!」
パレット「えっ!?ち、違うわ、今回のコラムはジェムスティア旅行特集で
………って、ええええええ!!?!?あ、あのお姫様抱っこイラストを提出しちゃったってこと!?どうしてそのまま掲載されちゃったのかしら?!」
コバルト「間違えるお前が悪いが
……恐らく特ダネゴシップだと編集部が判断して、そのまま載せたのだろう。なんにせよローズ家に謝るしかない
……全く、この馬鹿妹が
……!」
お兄ちゃんは、ショックで寝込んでしまったパパとママに変わって、胃薬を飲みながら謝罪の手紙を書いてくれた。
でも、その返信は奇妙なものだった
……。
*ローズ公爵家からの返信
「ダイヤモンド家の謝罪の意思は受け取った。ついては、あの興味深いコラムを制作された令嬢1人で我が別邸まで来られたし。ただし、形式通りの退屈な格好は禁ずる。『パレット・ダイヤモンド令嬢らしい正装』で来るように」
コバルト「正装で1人で
……これはもう、公開処刑だ
……それにしても、謝罪に行くのになぜそんな派手な格好なんだ
……」
パレット「だ、だってわたしらしい正装といえばこのピンクのフリフリドレスにジュエリーたくさんなのよ!どうせ処刑されるなら、1番好きな服がいいもの!」
コバルト「
……とにかく、本当に1人で行かせるわけには行かない。両親は寝込んでいるから、俺が同行しよう」
そして、魔導リムジンでお兄ちゃんと一緒にローズ家の別邸に向かった。
わたしはずっと魔導スマホで「公爵家 怒らせた 謝罪 成功例」と検索していたわ
……。
手紙にあった位置座標に従って魔導リムジンが着いた場所は、リッチだけれど別荘というよりはどこか研究所のような無機質な邸宅だった。
扉を開けるのも、案内をするのも全てロボットやアンドロイドという、不思議な空間。
「パレット様は奥の研究室に、コバルト様は応接室にどうぞ」
パレット「は、はい
……」
*
アンドロイドメイドに案内され、恐る恐る研究室に入る。
パレット「し、失礼します
……。こ、この度は、本当に申し訳ございませんでしたぁぁぁ!ローズ家を侮辱する意図は決してなく
……」
パルファン「やあ、はじめまして。パレット嬢。私と結婚したいんだって?」
パレット「
……えええええ!?ど、どうしてパルファン博士がここに!?」
そこにいたのは、あのラベンダー色の長髪をたなびかせる推し
……そう、パルファン博士だった。
パレット(えっ、なんで公爵家にパルファン博士が!?まさか博士もこのスキャンダルを受けて呼ばれたのかしら!?)
彼は例のコラムが載った雑誌を手に持ち、笑いが堪えられないという顔をしている
……。
パレット「あぁっパルファン博士、見ないでください!その
……それは深夜の勢いの妄想でして
……パルファン博士にも、公爵家の皆様にも、本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません!!」
パルファン「それにしても、君のコラムは実に面白いね。『あーあ、パルファン博士がわたしの婚約者だったらいいのに!堅苦しいローズ公爵家次男との縁談なんて、本当は
……ほんとーーーーにお断りしたい気分だわ!パルファン博士と結婚したい!!』だって?」
パレット「あ、あの、違うんです!そ、その
……出版社の方に渡す原稿を間違えちゃって
……あっ、その、そうじゃなくて
……え
……?でも、手紙はローズ公爵家から
……ってえぇぇ!?」
も、もしかして推しの正体って
……!?
パルファン「奇遇だね。私も君と結婚したいと思ってたんだ。『ローズ公爵家次男』の私との結婚は嫌みたいだけど
……『パルファン博士』からのプロポーズなら、受けてもらえるのかな?」
パレット「えええええ!?!?
……は、はい!!」
まさかの、 嫌な縁談の相手が推しだったのー!!
*パレットのコラム
例のやらかしコラムの次の号ね
……。
【縁談相手が推しでした!】
記事抜粋
「皆様、お騒がせいたしました!例の件なのですが、実はパルファン博士ってローズ公爵次男様のことだったんです!だから、わたし『推しと結婚』するんです!!やったー!式のこともまた記事にしていきたいです!」
『そんなことある???』というツッコミがSNSのコメント欄に殺到したけど、本当にそうだったの!!
わたしは「パルファン博士」のパルファンは苗字か芸名だと思ってたから、まさかジェムスティアの3大公爵家次男のパルファン・ローズ様がパルファン博士本人だとは知らなかったの!
やっぱりこれは運命、ってことよね!
*結婚式の写真
パレット「あぁ、本当に素敵な結婚式だったな
……。ドレスも豪華で、何十回もお色直しして
……」
*
式の冒頭で、パル君がマイクを取ってスピーチをした。
パルファン「皆様、本日は結婚式にお集まりいただき、ありがとうございます。
……式に先立ちまして、いくつかご報告がございます。
父はこれまでの栄華を見守る『名誉大公』となり、兄は政府から『文化省特任世界巡察文化大使』に任命され、公爵家の重積から離れ世界へと旅立ちました。
本日をもちまして、私パルファンがローズ公爵家当主となりました。私の隣にいる愛するパレットこそが、新しい公爵夫人です。
なにより
……妻パレットは、女王陛下から『王室公認美学自由化ミューズ』に任命されました。
これからは、彼女の選ぶドレスやジュエリーやハイヒールこそが、ローズ家における正装となります。薔薇色の幕開けに、乾杯!」
えぇぇ!?
最近わたしは結婚式のドレスやジュエリー選び、会場の飾り付けに没頭してたから、全然知らなかったわ
……!!
パレット「乾杯!
……って、わたしいつのまに『公爵夫人』になってたの!?」
パルファン「そうだよ。君が好きなファッションを楽しめる世界にしたくて」
わたしが、彼のその言葉の意味を真に理解したのは、もう少し後になってのことだった。
とにかくこの瞬間は、あの封筒取り違え事件を乗り越えて好きな人と結婚できた奇跡の幸せに満ち足りていたの!
***
****
コバルトサイドや別キャラのサイドをまた書けたらいいなって思ってます!
(パレットから見たら超ハッピーな奇跡のラブコメなんだけど、パルファンは裏であれこれしたり、コバルトと議論したりして価値観をアップデートしたり考えを変えた部分があるみたいな感じのをやりたいです)
このパレット編に加筆修正して書くか、他のキャラ目線の手記にするかは未定なのですが、
「王室公認美学自由化ミューズ」はパルファンの根回しによるものではなく、別件も絡んで急に届いたという形です。
(パルファンの兄・父の件はコバルトかクローバーの手記で触れますがパルファンの思惑が絡んでいます、本当はパルファンはパレットにも公爵家で自由に振る舞えるような「何か」(結果的には王室公認の「美学自由化ミューズ」という称号)をあげたいと思っていました。ただ、とはいえ王室は流石に公爵次男や1特許王が寄付をしたからといって動かせるわけではないからどうしようか
……と悩んでいたところ、ある日パレットに結婚式に合わせて称号が届いた
……みたいな設定です。
(パレットはそれまでは有名人設定ではないけれど、コラムでのDr.パルファンとのFAカプ絵と原稿の封筒を取り違えて全国に公爵家との縁談拒否愚痴(&カプ絵🤣)が流れる→「推しがローズ家次男本人でした!」でバズり、女王陛下もコラムやSNSでパレットの好きを貫くファッションの話やイラスト、恋愛や日常のトークなどを見るようになり、王室のソフトパワー向上のために称号を与えた
……というような感じだと思います)
今回は時系列は上から下につながっていますが、次回以降は(時系列を気にせずに)書けるところからちょっとずつ書いたり、イラストにしていこうと思います。
このような手記や断片+語りや回想の形式でちょっとずつお話や世界観を出していきたいです。
ブログに載せるかここに載せるかも決まっていないのですが、引き続きこういう感じのをちょっとずつ更新していく予定なので、みていただけたら嬉しいです🙇♀️
*
ここまで読んでくださって本当にありがとうございました😭
なんとか本編っぽいものを作れて、とりあえずよかったというきもちです
……😭
追記
https://privatter.me/page/69a0515c99403
↑クローバーたちがローズ公爵邸を捜査するシーンの下書きができました!
(時系列的にはまだパレットとパルファンが婚約中の時)
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