momoo
2026-02-13 22:32:43
4547文字
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AC2の話:二話目
自機の自我がめちゃデカいので注意
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___よくよく考えてみると、あの男は元々別の場所で試合をする予定だったのだろう。それをわざわざ、別のガレージにやってきてまで、ノーヴィスに声をかけた。どういう神経をしているのか、私には全く理解できない。というか、子どもを引ったくって行くって、いったいどういうことなの。道徳的にありえないでしょう、戦場でないのに___
………はぁあ
廊下の壁に背を預け、ぐるぐると思案を回しながら、大きなため息をつく。
結局、私はノーヴィスを送り出すことしかできなかった。アリーナでの試合なら、生死に関わるようなことは起こらないはずだ。もし何かしらのトラブルが起きても、コンコード社が責任を取ってくれる___そういう保険がなければ、アリーナを利用する者はいなくなる___と、思う。それよりも問題なのは、今回の試合が丸々ダメになってしまったこと。本来の対戦相手はさぞ困っただろう、一対一のはずの舞台に第三者が上がり込んできたのだから。
あ」
端末に通知が来る。試合が終わったらしい。表示されている画面に促されるままリプレイを再生して、



「______嘘、」

次に口からこぼれた言葉は、それだった。

彼の、ノーヴィスの乗る紫色の重量二脚。それに相対する、恐らく男のものであろう、緋色のAC。右手に構えられたレーザーライフル。
「プロビデンス
飛び交うミサイルと光弾の嵐に、紫の機体はなすすべなく呑み込まれていく。何も知らないまま戦って勝てる相手ではない。
……!」
それを察したのだろうか。
降りかかる弾の雨に包まれながら、機体がブーストを吹かした。重い足がグ、と地面を踏みしめ、煙の中へ消え___

___次の瞬間、プロビデンスの胸元に爆炎が巻き上がった。

それとほぼ同時に、試合終了のブザーが鳴る。

地面に力なく膝をついた機体の肩で、展開されたグレネードの方針が硝煙を吐いている。プロビデンスは振り返り、それを見つめていて、



「___ネル!」



………
画面から目を離す。戻ってきたノーヴィスが、何故か額を押さえながら私を見上げている。
「ね、ね、すごかった!こう、あの、どかーん!って!」
映像はそこで終わっていた。興奮を堪えられない様子で彼が捲し立てるのを呆然と聞く。
「あの人、アレスっていうんだって!」
ええ」
「それでね、あのね、」
今まで見たことがないくらいに表情を輝かせ、

「またやる、って!またぼくと、のってくれるって、!」

恐ろしいことを言ってのけた。

「えっ」
「すっっごく!うれしい!はじめて言われた!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねる彼に、自分の顔がだんだん冷たくなっていくのを感じる。
「えっと、えっとね、『早く上がってこい』って!もっとたくさんのっていいんだって!!」
「ちょ、ちょっと、待って、何!?」
やったあ、だの、たのしみ、だの。嬉しそうなのはいいとして、どうも変だ。戦闘時の高揚が抜け切っていないのかもしれない。とりあえず処置室のベッドでもいいから、一度座らせて___
「きちんと聞いてるから、一旦落ち着い___」
「あっ」
「ノーヴィス!?」
___手を引こうとした彼が、どぽ、と鼻血を溢れさせたのを見て。
私は慌てて彼を抱き上げ、走って廊下を後にしたのだった。