憂依
2026-01-30 12:39:27
7049文字
Public さのぱち
 

愚かな夢を願ったことを、どうか許さないでほしいのです①(さのぱち/原永)

弊カルデア設定さのぱちの馴れ初め
己の幸福を許せない男と、己の後悔をやり直したい男の話

その太陽のような笑みを目にした時。隣に並んで歩いた時。共に戦場を駆け抜けた時。
自分の中に、どうしようもなく高揚する感情があった。それが、なんて言う名であるかなど知らなかった。そんな余分は教えられなかったから、知る由などなかった。
あるべき場所から二人で抜け出した時。自分は、ようやくその感情につけられる名前を知った。知って、しまった。
だから、離れた。
だって、そんなこと、許されるわけがない。
騙して、裏切って、真実を隠して傍にいるような人間が、どうして、そんなモノを抱いてしまったのか。そんなことを、一瞬でも願ってしまったのか。
ああ、今更だ。何もかも全部、今更だ。
自分は、あの場所が好きだった。あのバカみたいなやつらが好きだった。何もなかった自分が、唯一望んだものだった。彼らのバカみたいな祈りを、手助けしてやりたかった。そんなこと、できるわけがなかったのに。
自分の意思を持つことを禁じされ、唯一望んだものさえ役目のために何もできず、流されて、流されて、その終わりを防ぐことも、見届ける事も出来なかった。
そうして、最後には自分を親友と呼んでくれた相手を置いて、逃げ出した。
いっそ、誰かに罰してほしかったのに、終ぞ自分に報いが降りかかることはなく。行く当てはなく、帰る場所もなく、戻ることもできずに、流れ流れて、大陸にまでたどり着いて。
終わりの時。見上げた空はあまりにも美しくて、最期の時にまで涙がこぼれる事はなかった。
なんて、滑稽な最期だろう。

こんな俺を、どうか、誰か。笑ってくれよ。



————そんな、夢を見た。心が締め付けられるような、あまりにも寂しい夢だった。