2026-01-27 20:53:57
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消された声2026 観劇感想メモ

消された声2026 1月22日マチネ感想メモです。

T-gene Stage 「消された声2026」 1月22日マチネ感想


とにかくセットとその演出が素晴らしく好みだった。
10年前と現在を行ったり来たりして、いくつもの人の追憶の断片が重なり合うように真実に迫る物語の構成。
この物語構造を示すかのように、セットは時計の針のようにぐるぐると回転し、時に途中で止まり、時に逆回転する。
そして、同じセットの見せる向きや雑貨で場面を変えていることそのものが、無数の記憶と記録、追憶の重なり合いの先で真実に辿り着く物語と重なり合って巧み。
照明の演出も好きだった!
セットを半回転させて部屋の外側と内側をみせるときの内側と外側とか、ソウタとマコトの運命を分かつように青と赤で二つに分かれるとか、ぼーっと街灯の灯が照らすだとか。星空が客席にまで広がっているとは思わず、幼馴染が星空を見上げるシーンはほっこりシーンだからこその苦しさに客席も巻き込まれたようでいい場面だった。


ちなみに、幼馴染3人で星空を見上げたくらいで、観劇しながら「なんか流星の絆を思い出すな....」と思って見ていたら、本当に犯人がずっと親身になってくれた刑事さんで、うおおおおおセルフネタバレくらった気分(?)だった。

演出と、少しずつ真実が明らかになる物語の構成、そして音楽の入るタイミングの絶妙さが、なんだか映画を見ているような気持ちで、終わった後はサスペンスものを見ました......!の気持ち。
なんだろうね、セットの使い方といい、舞台でしかありえない舞台らしい演出が詰まっているのだけど、映像をみたような、一つ一つの場面の編集が頭の中で繋がっていくような感覚になる舞台だった。
役者さんのお芝居がいいから、結構後ろの方で観ていたけど、惹きつけられて、勝手にズームしたような気持ち(顔のアップを見たみたいな)になっていたのかもしれない。
なんか映画を見たみたいだ~~と感じた。
ラストシーン近くに、ソウタとマコトが背中合わせでそれぞれの照明を背負って立っているところなんか、「こ、こんなん、元警察官とヤクザのバディものがここから始まるやん!これはむしろエピソードゼロみたいにも見れるやん!」とテンション上がってしまった。

そもそも、見に行く前は、ソウタとマコトがもっと連携プレーするのかと思っていたら、それぞれがそれぞれの信念に従って10年前に囚われていて、むしろ二人の断絶が10年間の悲しみを示しているようで、という話。
だからこそ、リキトを二人で追い詰め、狂乱的になるソウタをマコトが止めるシーンは圧巻。
復讐の最後の最後で、また二人になれた。

で、犯人を見つけても終わりではないことに気づいて、セットによる画面に分割で、二人それぞれに追い詰めて終わる。
(ここの対比というか、その表現の照明とセットも見事だった。)


あとは各役者さんのお話。
まず、岩佐さん演じるジャーナリスト!
イイ人すぎて印象的だった。
普通こういう事件に関わってくる物語上のジャーナリストって胡散臭いというか。実は誰かのスパイだったりするんじゃないの?と思わなくもないですが、岩佐さんのお芝居が底抜けに善人で、「こ、この人ほんとうにいい人じゃん......きっとそうだ!」と思ったら、本当にいいひとだったw
岩佐さんのお芝居って、底抜けの善人を成立させる魅力があって、普通あんまりいいひとだと「逆に怪しいな?」ってなるんだけど、岩佐さん演じるいいひとは、よくわかんないけど多分マジのいいひと!と信用できるからすごい。底抜けの善人というフィクションをリアルに成り立たせる力がある。そして、実際にそうだった。
よかったジャーナリストが犯人じゃなくて。

個人的にココロちゃんとのやり取りのシーンが好き。
親が犯罪者なら、子も......という呪いをココロちゃん自身が内面化し、兄との縁を切る(自分とは関係ないです)と言うことで、「加害者家族」と批判される地獄を生き延びて来た人に対して、ハッキリと「それは違う」と言う。それでは、あなたが言われて来た誹謗中傷と同じではないか、と。
そういうまっすぐ真っ当なことを言えるキャラクターですごく良かった。
最後に事件の真相のことを書いた記事を、ココロに届けに行くところも。
佐倉さん演じるココロは、10年前はキュートな女子高生でそこからすっかり曇っていて(どちらの姿もたいへん美人でございましたが......)その変貌ぶりの痛々しさが胸に迫るお芝居で、ココロもかなり好きな役だった。

なお、イイ人繋がりでいうと、澤邉さん演じる刑事さんも、「多分この人マジのいい人だな.....」感があって良かった。
まっすぐ一生懸命に正義を語る人として、マジのいい人。
最後にマコトの側について、警察関係の情報をリークしているというオチも、「やっぱこの人はこうだよな~~~~」という説得力があった。


逆に、図師さん演じるリキトさんはマジで最後までわからなかった!!!!てか、イイ人だと思ってました!!!!!!!
最初から「悪そうな人」として出て来る中尾さん演じる齋藤さんが、終盤でリキトさんと公園で飲むシーンがあって、あれは最後まで見ると「斎藤と繋がって警察上層部のコマとしてもみ消しをしていた」関係性を示すシーンなんだけど、初見でわたしは「あ、斎藤さんも何か信念があってやってて、悪い人じゃないのかも」って思ったんだよね。
この段階では、リキトさんと話していることそのものがむしろ「イイ人」の印象を与えることすらあった。それが、あの結末ですよ。
いや~~~~~~~その存在感を出す図師さんにもあっぱれ。

ヤクザのみなさん。
正直、ヤクザの顔が良すぎて(縣さんだからね)「顔良すぎヤクザだろ.......」と心の中でツッコミを入れざるを得ず。
ソウタに至っては(というか井浦組が基本的に)クスリなど違法っぽいことはしていないし、女性にも優しいしで、女に優しくクスリやらないヤクザって何をしてるんだろ......と思ったけど、ヨシ。
正直、ソウタは理想のヤクザすぎる。(理想のヤクザって、おい)
ソウタはヤクザ前の恋人とのシーンなどもあり、おおうメロいぜ.....というメタ感想を抱いてしまったw何せ顔がいい。
言葉足らずで不器用な恋人の声の出し方が上手いな~縣さん......と思った。
反社になると口座とかも作れなくていろいろ大変だろうに、恋人のためにヤクザになって......と謎の現実的なことを考えながら見てしまった。そのくらいの覚悟ってことですよね。

吉田知央の顔のヤクザも顔良すぎヤクザだったが、ちゃんと悪いことをしていた。
とはいえ、顔が良すぎる。
悪いことしている人ってそもそもセクシーに見えるのに、吉田知央の顔のヤクザはセクシーすぎるだろって言ってんの!!(逆ギレ)


なお、私が行った回は鈴木よーたくんが、警視総監のクズ息子(白石イツキ)役だったので、クズ男(クスリも殺人も詐欺もやる)の顔が良すぎだろでした。
ここは日替わりゲストなので、役者によって毛色が変わりそうだな~と思った。年齢感でも、罪深さが変わる(もみ消してきた年月が変わる)ので、鈴木回は若いから罪重ね感が多少違うのではと思ったり。
ねおくん演じる刑事との取り調べ室での対峙も、いい緊張感で良かった。
同じ意味で、最後にソウタから銃口を向けられるのも、前回わたしが見に行ったT-geneがジャスティスタクティスで、3人(縣、鈴木、澤邉)でお笑いトリオだったところから、随分物騒になって、別の顔で、緊張感を味わえるのが面白かった。



個人的に、お、おう演歌みたいな男女の関係(惚れた腫れたや損得じゃ言い表せない渋さ)だなぁと思ったのは、やっぱりマコトとリサ!!
真修くん演じるマコト、そりゃあ親友の恋人は殺されるは、その犯人は親友にされるわ、そりゃあ10年前にこだわらざるを得ない状況で、本当にそこにこだわって生きていて、彼もまたソウタのように「死んだように生きていた」のだと思う。
それでもソウタがリヒトを殺そうとしたときに、止めるマコトの法と正義を信じる公正さの高潔さが素晴らしい。ちゃんと「法の裁き」のようなものを受けさせて、暴力によるもみ消しに抗おうとしている。
そういう良さがあるんだけど、じゃあ何でご飯食べているの?という問いかけをはぐらかしていて。
なんかアドリブパートみたいになっていたので、既に何回か入っているッぽい人が笑っていたからサラッと流したけど、マコトってやっぱ生活が成り立ってないよね?????
それをリサが支えていて、しかももう「別れている」わけで、いや~~~~~~~なかなかに渋い男女の関係ですなぁ......と味わっていた。
マコトのそういうところが面白くって。
リサになんだかんだ頼っているところ、ソウタとは会っていてそういえば最近会ってないな~でジュンのことを流しているところ(ここでジュンともっとコミュニケーションを取っていたら違ったかも?)とか。ソウタの家に行ってふざけるところとか。
マコト、高潔な一面がある一方で、友達とゆるく付き合ったり、なんだかんだで元カノのサポートを受けていたり(でも俺の傍にいるとお前に迷惑をかけるとカッコつけて突き放したり)、すごく「普通の人」で。そういう「普通の人」が、ああやって事件を追わなくちゃいけなくなったところに、「消された声」という作品のすごみがあるなぁと思いました。
真修くんの適度なくたびれ感と、目のまっすぐさとがちょうどいいバランスで「マコト」を生み出していた。


ところで、この作品ってなにか別の作品と繋がっていたりする?
斎藤さんがなんのためにもみ消しに加担しているのか、とか、岩佐さん演じるジャーナリストがあんなに事件を真面目に追うのは何か理由があるんだっけ?(この辺のわからなさを岩佐さんの「イイ人」感がすべてカバーしていた) 一回しか見ていないから私が聞き逃しているだけかも。
あるいは、これからまだまだソウタとマコトの闘いが続きそうな感じがするのもまた苦しいぜ......。

あと、続編があるのなら、マコトはちゃんとリサと付き合ってあげてください。
(おそらく)20代の10年を「元カノ」として信念ある男を支えたのは本当にすごいことなんだからな.....!(なぞの感想)