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も茶
2026-01-26 23:57:09
3714文字
Public
黒父白水
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黒父白水俳優パロ
黒父白水の俳優パロになります。細かい所はあまり考えていません。
未成立なので父水要素は薄いです。いずれなるんだろうなという気持ちで読んで頂ければと思います。
白水木に対して感じた事のない自身の感情に振り回される黒ゲゲ郎が居ます。
書きたい所だけ書いているので中途半端に終わります。ご了承ください。
※芸名による捏造名あり
※現パロですが黒父は幽霊族
※人間嫌い最高潮の黒父な為、人間に対して不穏
その他なんでも許せる方向け。
「はじめ、まして、田中さん。僕は水木と言います。今回はよろしくお願いいたします。貴方と共演出来て光栄です」
ゆったりとした口調に独特なふわふわとした雰囲気を纏い挨拶に来たのは水木
白夜
びゃくや
という俳優だった。髪は灰白色で瞳は黒かと思いきやよく見れば紺碧を宿している。そんな瞳を持つ左眼には縦に傷が入り、左耳には切り込みが入り所謂桜耳というものになっている。更に華奢という訳ではない恰幅の良さがあり、一見すれば裏社会にも通じているような見目をしているのだが、その雰囲気故かか弱そうに見えた。
緊張気味に微笑むその姿に自身が知る水木白夜とは全く違う印象で思わず怪訝な顔をする。
「
……
随分と猫を被っておるようじゃのう」
「え、あっ、えっと
……
」
以前、楽屋で流れているテレビをなんとなく見ていた時に別作品の番宣で出演していたのであろう彼を見た事があった。その時はもっとキリッとした顔立ちでハキハキと喋っていた印象がある。今まで出演した作品での役柄もヤクザや殺し屋のような物騒な役が多い。
役と本人が一緒ではない事は解り切った事ではあるが、テレビの姿と今の姿では雲泥の差がある。何かを企んでいるのか媚びを売ろうとしているのか
……
。今までだってそういう人間は居た。この人間が"そう"であるならばまた対処せねばなるまい。
儂の言葉に弁明を考えているのか焦った様子で口を開閉した後、男はどこか申し訳なさそうにしながら言葉を発した。
「役柄と普段の僕の印象があまりに違うのでテレビに出る時は必ず演技をしておくように言われていまして
……
。今の僕が素なんです」
困ったように微笑んだ男はそのお陰かプライベートで話しかけられた事がないんですよねと付け加えた。
「番宣にまで演技をしておると?」
「はい。まさか僕の事を知っておられるとは思わず
……
驚かれましたよね、すみません」
肩を竦めた男になるほどと思う。こちらが素なのであれば確かに役との乖離にふあんが驚くかもしれない。しかし、俳優のふあんならばどんな姿だろうと水木白夜に付いて来るだろうとも思う。
「別に」
気に入らない男だと思った。演技をしているということはその役を見られていると言う事。誰も水木白夜を見ていない。
だが、儂がそれに対して何か言ってやる義理も人情もない。人間は嫌いだからだ。
「まあ良い。せいぜい足を引っ張るでないぞ」
「はい。精一杯やらせて頂きます」
厭味っぽく言った儂に男は屈託なくふわりと笑った。その顔に言いようのない気持ち悪さが胸に広がった。
儂は人間が嫌いじゃ。儂の家族を含め幽霊族を搾取し殺した過去があるからだ。
それなのに何故人間が運営する芸能界に居るのかと問われれば所用で潜り込むしかなかったからだ。人間が多く存在する芸能界とやらに入るのには抵抗があったが、今回ばかりは仕方なかった。
それから『田中太郎』というどこにでも居そうな名前でもでるをし、後に俳優としてでびゅーをすると名前に反してとんでもない演技力だと爆発的な人気が出た。
俳優というものが合っていたらしい。なかなかどうして演技というものは面白い。自分ではない自分がそこに居るのが新鮮だった。
とはいえやはり人間界は人間界。芸能界には醜く悍ましい者達は多くいた。所用も済み、俳優を辞めようと思ったがその前にその者達に制裁を加えようと動いた。
そんな中、今回の映画の話が舞い込んだ。蛇太郎誕生ケケケの謎という妖怪の子供が産まれるまでの父親達の話だと言われた。妖怪には縁が深い。どんな物語なのか興味があった為、出演を承諾した。
くらんくいんがあり、役者が集まって撮影が始まる。水木白夜の演技は目を見張るものだった。普段はあれ程ふわふわと頼りなくぼんやりしているというのに
一度
ひとたび
撮影が始まれば雰囲気や空気が変わる。演技は本物だった。
気に食わない男だがその部分だけは評価に値するなと思うそんなある日だった。人となるべく関わりたくない儂がうろうろと人気のない場所を探しているとあの男と助監督が話している後ろ姿を見つけた。
「? なっ
……
」
何やら隣合って二人で話しているのを遠目で見ていたが徐に助監督が男の尻を触った。信じられなかった。撫で回すように尻の上を手が滑る。
ハッとして男の顔を見たがへらへらと笑っている。その顔になんだか苛立ちを覚え儂は二人の元へと大股で近付いた。
「
……
助監督」
「ひっ
……
!?」
上背のある儂に見下ろされたのが怖かったのかおばけでも見たかのような反応をして助監督が男から離れる。男が儂を見上げて目をぱちくりと瞬かせた。
「
…………
」
無言で助監督を見つめれば汗を噴き出しながらジリジリと後退し背中を見せると小走りで去って行った。
「あの」
「貴様、何故許す」
「え?」
遮るように告げれば男がまた目をぱちくりと瞬かせた。苛立ちが腹の底から沸き上がり怒りが込み上がった。
「尻を触られておったじゃろう!」
「えっ、ああ、そうなんですよ。たまに触られるんですけどなんで触るんでしょうね。もしかして僕のお尻何か変ですか?」
心底不思議そうに言うと背中側を見せてくる。当たり前だが何も変な所はない。強いて言えば女にも劣らないくらいの臀部がすらっくす越しにそこにあるというだけだ。
此奴、せくはらされているという自覚がない。
「違う。どう考えてもせくはらじゃろう」
「せく、はら
……
?まさか!男の僕に対してそんな」
「性別など細事。物好きはどこにでもおる」
信じられないと言わんばかりに目を見開く男に儂は溜め息をついた。
「あまり助監督に近付くでないぞ。独りになりそうな時は儂の元へ来い」
自分が何故そんな事を口走ったのかは解らなかった。
人間は嫌いだ。だから遠ざけるように振舞い、撮影中以外は独りになる。そうやって今まで過ごして来た。今だってそうだ。
それなのに今、この人間を傍に置いてもいいと儂は言った。自分で自分が解らなかった。
「いいんですか?」
「ぐっ
……
」
窺うように見上げて来る瞳には今までに見た事もないキラキラとした期待に満ちた眼差しがあった。その光景に判断を誤ったかもしれぬと後悔した。
◇◇◇
「田中さん、お隣いいですか?」
「
……
何故毎回来る」
それから男は休憩の度によく隣に来るようになり、特に昼餉休憩の時は必ず来て一緒に食べるようになった。隣に来たからといって何か喋る訳でもなく休憩が終わるまで一言も喋らず終わる事もあり、たまに世間話程度に会話する事もあるが多くはない。来ていいとは言ったがその行動は理解出来なかった。
「何故
……
?落ち着くから、でしょうか」
「はぁ?」
「田中さんの隣、静かで居心地がいいんです。ダメですか?」
また窺うように儂を見てくる。駄目だと言えばやめると言うのか。しかし、この人間は、この男は儂の睨みすら意に介さぬ。他の者が忌避する儂を何時だっていつも通り話しかけて来る。そんな男が儂の一言でやめると言うのか。
「儂は独りになりそうなら来いと言ったのであっていつも来て良いとは言ってない」
「あ
……
そう、でしたね
……
。すみません
……
」
儂の言葉にハッとした顔になり明らかに寂しげな悲しげな表情になる。あの一度きりの親切で何故こんなにも懐かれているのか理解出来なかった。
「
……
今日はもう良い。食べるならさっさと食べよ」
「はい、ありがとうございます」
相手にするのも面倒で投げ遣りに答える。男は気落ちしながらも儂の隣に座ると現場に用意されていた弁当を食べ始めた。
しょんぼりとしながらもちまちまとおかずを口に入れては美味しいのか微笑むを繰り返して食べ進めて行く。男の周りはいつも時間がゆっくりな気がした。
しかし、それは撮影が始まれば一変するのである。
『暴いてやろうぜ』
灰白の髪ではなく黒髪のうぃっぐを着け、男らしい顔付きに言葉遣い、堂々とした立ち居振る舞い。普段吸っている姿は見ないが今までの役柄上幾度となく吸う機会はあっただろう、煙草を吸う姿も様になる。
ふとその姿を見て傷に目が行った。欠けた耳に左目の傷、撮影を進めて知った胸にある焼け爛れた痕。胸の傷に関しては特殊めいくで描いているものだと思っていたが自前だったらしい。それもあってこの役に選ばれたとか。どんな事があればそんな傷を負うのだろうかと思ったが訊く事はしなかった。
『何を見ても目を逸らすでないぞ』
『そっちこそ』
そして、次の日から男は隣に来なくなった。他の役者と話す姿が見られ、昼時も他の役者と食べているらしい。騒がしかった訳ではなかったが横に気配がなくなり清々すると思っていたのに居なければそれはそれで落ち着かなくてそんな自分に苛立った。
一体なんだというのか。ずっと胸がむかむかして苛苛していた。そんな儂に更に周りは寄り付かなくなった。
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波箱
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