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John
2025-01-09 23:45:42
5558文字
Public
今魔川
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酔狂な人
氏服です。
書きかけ、書けたところまで。
氏真様が攻で服部君に受けてもらうよ。
詳細描写はないですが、氏真様と伊東先生はR18な事をしている前提です。
いきなりほんのりだけ攻め女装風味。
ぐだぐだ超五稜郭の特異点時空、カルデアと接触する前の今魔川。
そのうちR18シーンまで書けたらパスワード付けますが、今はまだ全年齢範囲。
やっと口吸いシーン、服部君が兜を脱ぎます、注意。
1
2
「
武雄
たけお
、ここにおったか」
「う
……
」
氏真
うじざね
様、と言いそうになって、
服部
はっとり
武雄は
慌
あわ
てて口ごもってから発すべき名前を
紡
つむ
ぐ。
今、この場所では二人きりのようだが、彼を本当の名で呼ぶ事はしない取り決めだ。
「
義元
よしもと
様」
兜の
隙間
すきま
という狭い視界に姿が収まる前から、上機嫌だと分かる声音が服部の耳に届く。
「
風流踊
ふうりゅうおどり
で太鼓を持つなど、
愚息
ぐそく
氏真がやりそうな軟弱。歌や踊りに
興
きょう
じて国を滅ぼすなどあってはならぬと思ったのだが。
甲子太郎
かしたろう
が、かの魔王信長も似たような事をやっていた、民の不満解消と余の求心力強化にはむしろ役立つ、と言うのでな」
その氏真は貴方本人でしょう。
と、服部は思いつつ、言うわけにもいかないため黙っている。
武田
たけだ
の
諜報網
ちょうほうもう
はいつどこで何を聞いているかわからない。
「楽しんでおるか? と聞くまでもないな、
櫓
やぐら
で一人武具の手入れをしておるとは。だが、頼もしく思うぞ、武雄」
いつもは紫と白を基調にした武具へ身を包む主君が、色合いは似ているが、きらびやかに金銀で
縫
ぬ
い取られた女物の着物を羽織り、羽のようにひらめかせ。
ハーフアップにした後ろの毛束をまとめ上げ、そこに金と
玉石
ぎょくせき
で
編
あ
まれた髪飾りをしゃらしゃらと鳴らしている。
眉目
びもく
整
ととの
った
凛々
りり
しい顔立ちに女物の
煌
きら
びやかな装いは見るものを圧倒する花があった。
なよやかになり過ぎず華々しさを盛り立てて威厳が増したようにすら見えるのは、大柄な服部よりもさらに上背のある
体躯
たいく
が今の氏真には備わっているからだろうか。
昼の暑さが残る
微風
そよかぜ
で紫の髪が
靡
なび
くと、その
妖
あや
しい艶やかさは服部の視線を奪った。
今日は祭りが
催
もよお
されていた。
風流踊りは仮装・異性装を伴う。
すでに日が傾き、暮れかかった時刻となっているが。
まだ残って騒いでいるものもいるらしく、
祭囃子
まつりばやし
が遠く風に乗ってこの櫓まで聴こえてきていた。
大勝の後、さして日取りを置かない形になった祭りは、戦勝祝いを自然と兼ねる盛り上がりとなった。
むしろ、祭に間に合うように勝ちたいという一念が今魔川兵たちにあったなら。それも勝因だったかもしれない。
城下は今だに燃え
盛
さか
る明かりが
煌々
こうこう
と
焚
た
かれ、酒と食事が豪勢に消費されていた。
足を踏み、手を叩き、酒気が匂うような歌声が夜風に乗って城の窓まで伝わってくる。
服部は、氏真と
伊東
いとう
が出払った城に一人残る、と言った時の、伊東の
拗
す
ねようを思い出す。
今魔川兵は魔力注入によって製作され、製作時の思考矯正も交えて支配は完全だ。
略奪と浪費、力によって全てが決まる
豪奢
ごうしゃ
だが
刹那的
せつなてき
な方針に彼らは心酔して、
武功
ぶこう
を競い、
桁違
けたちが
いの戦闘力を持つ氏真たちへ忠誠を誓ってくれている。
とはいえ。
こういう時こそ油断してはならないと服部は思う。
戦闘時には服部も今魔川兵に似た技術を流用して霊基を強化していた。
しかし、今は魔力が抜けている為、生前と同じ姿の霊基を保っている。
「伊東先生は、ご一緒ではないのですか」
てっきり今日は二人だけでそのまま朝までいるか、
帰着
きちゃく
も二人連れだと服部は思っていた。
軽装をしていると、服部の思った以上に主君の肉体は
逞
たくま
しい。
今は彼自身ではなく、彼の父親の霊基を
纏
まと
っているのではあったが、氏真自身の剣技も服部にとって目を見張るものがあった。
白い顔の
頬
ほほ
がすこし朱に染まっているのは、最初、光の具合かと服部は思ったが、振る舞い酒でも口にしたのかもしれない。
いや、雰囲気に酔う、とでもいうのだろうか。
祭りへ参加はしていない服部だが、確かに、熱気に当てられたような、
浮
うわ
つく気持ちはある。
「甲子太郎も城へ帰着しているが、武雄を探してここへ来たのは、余、一人だ」
紫色の
艶髪
つやがみ
がなびき、白い顔が
妖艶
ようえん
な笑みを浮かべる。
そのくちびるが明るい口調の言葉を紡いだ。
「武雄、余と
野合
やごう
せぬか?」
猛禽類
もうきんるい
に似た黄金の
虹彩
こうさい
が、
彼誰時
かわたれどき
の薄暗がりにまばたきもなく獲物を
……
この場合は服部武雄を
……
じっと見つめている。
遠くから祭りの騒ぎが相変わらず聞こえている。
生前と同じ、黒い
鎧兜
よろいかぶと
姿
すがた
の服部は、言葉もなく兜の奥の目を見開いて氏真を見つめ返した。
すでに人ではないサーヴァントの服部にとって、どんなに鎧を着込んでいても今や汗は無縁のものだったが。
死滅したはずの汗腺が、この時、一気に息を吹き返し。
役目を思い出したように、冷や汗をぶわりと肌の上へ
滲
にじ
ませた。
決して、不快だから汗をかいたのではなかった。
それが、服部としては余計に辛い。
目の前の大きく美しい主君から、性的な交わりを要求されて。
背筋がゾッと冷えると同時に、
歓喜
かんき
がじわりと心に
滲
にじ
み出す。
心がせつなく、悲鳴のようだけれど心地よい痛みが胸の底から駆け巡る。
この、甘い痛みを伴う
慕情
ぼじょう
が、初めて生まれたのはいつだっただろう。
なんだか伊東と氏真の距離が、自分を置いてけぼりにして二人だけ近いと感じた時だろうか。
その後、二人が
閨
ねや
で交わっているのを見てしまった時だろうか。
服部の心に生まれたのは嫉妬ではなく。
嫌悪や呆れでもなく。
羨
うらや
ましい、という感情だった。
それでも、服部は一気に陥落しそうな心を
叱責
しっせき
し、気持ちの
帯
おび
を
締
し
め直す。
「酔っていらっしゃいます?」
「酒は毒ゆえ、杯を舐めた程度よ。と、申すより、我らの身は並の酒などものともせぬであろう」
「正気の沙汰とは思えませんので、つい
不躾
ぶしつけ
に
尋
たず
ねさせていただきました。
酔狂
すいきょう
も度を越していますよ」
意地、のようなものだろうか。
そう、服部武雄は案外、意地っ張りだ。
「もしや、伊東先生が愛されて私が愛されなければ、それは
哀
あわ
れだと思われて。情けをかけられるのですか。義務のようなものでしたら、どうかご無理はなさらず」
声音に色は
滲
にじ
んでいないようで、服部は、嘘や誤魔化しが苦手な自分の精一杯へ心の中で拍手する。
「武であれば人よりも勝る自負があります、お役に立つ自信がございます。しかし、色恋では
他人
ひと
の
俎上
そじょう
に
載
の
る価値がない
性質
たち
だと自覚がございます」
後半はほぼ本音だった。
そういった感情を向けられるのは、まず、必ずと言っていいほど伊東のほうで。
服部はその場合、他人の眼中にない事が
常
つね
だった。
「うむ、武雄はそのような事を重要と思わぬ質、と思うて、そういう寄りかたをせぬようにしていた」
服部としては、特にどのように振る舞ったつもりもなかった。
彼は混乱する頭で考える。
重きを置かない?
そうかもしれない。
苦手、なのかもしれない。
いや、服部は得手不得手を判断できるほどの経験すらないだけなのだ。
「だが、良く見れば武雄。余に触れられたいと思うておるであろう? 肌を触れ合わせ、口吸いを交わせば蕩けるような。余と甲子太郎の間にあるものを羨むような。そういう眼つきを、そういう瞳の色をしておる
……
」
服部は、考えている内に続けて言われて。
普通なら鉄の兜が表情の大部分を隠して顔色を読まれることから守ってくれるのに、この人には通じないのだとぎょっとした。
京の貴族社会で人脈こそが
非凡
ひぼん
だから生き
延
の
びた今川氏真は、その点で
凡人
ぼんじん
ではないのだ。
「最初は、甲子太郎を
慕
した
う武雄に、余は嫉妬されたか、と思うた。だが、違うな?」
とうの昔に自分の気持ちはバレていたのだ。
「武雄、素直に申せ、構わぬぞ。余は、
海道
かいどう
に並ぶ者なき
弓取
ゆみと
り。可愛いそなたの
慕情
ぼじょう
、一つ二つ
叶
かな
えてやるは
易
やす
き事よ
……
そう、余は義元なのだからな」
1
2
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