ろに
2026-01-10 23:15:25
1073文字
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非日常を歩く物達

文章:「彷徨う魚の意味と意図」の別視点、なんだかんだ祭りを楽しむ雌雄と紅桜の短い文章。(過去のオンラインイベントにて展示していた文章の再掲)


【非日常を歩く物達】

 かき氷やたこ焼きなどの屋台が並ぶ通りの一角。ボイボ寮から商店街に続く道の往来の中に、ひと際目立つ二人組が歩いていた。一人は全身に赤のペイントで装飾が施された金属鎧を着用しており、歩く度にガシャガシャと音を立てている。その鎧と並び、飲み物を片手に歩くもう一人の男も、銀髪と緑のシャツの上から着用している白衣が夏の日差しをよく反射していた。
「しかし人間嫌いの雌雄がよもや人間の祭典に興じるとは
「浮かれた人類がどれだけ間抜けか見て回ってるだけだよ。それより我が強敵ともそれ脱がないの?反射して眩しいんだけど」
「この鎧は我と一心同体である」
 僕だって流石に刃物頭あのすがたじゃないぞという銀髪の男の苦言をものともせず、金属鎧の男は携えていた剣を高々と掲げる。人類滅亡を目論む銀髪の男、剣崎雌雄けんざきめすおが悪事を働かないよう見張るというのが鎧の男、†聖騎士紅桜ほーりーないとべにざくら†の建前らしい。
「それなら剣も揃えなよ。その光るヤツで僕を倒すつもり?」
 紅桜が掲げていたのは普段愛用している聖剣「クリムゾン」ではなく、いかにも子供向けを想定して造られた模造刀だった。
「『弘法筆を選ばず』という言葉があるであろう。それに、ただ光るだけではない。この剣は我が呼びかけに応えるのだ」
「あー音も鳴るタイプなのね」
 祭りの屋台で買ったおもちゃの剣について熱く語り始めた紅桜の話をどうでも良さそうに聞き流しながら、雌雄は飲み物のカップに視点を戻し、歯形で潰れてしまったストローを元の形に戻そうと弄り始める。ストロー越しの感触から、底にはまだタピオカが大量に残っているであろう事を推測し、雌雄は心の中で人類に悪態をついた。