nana
2025-12-23 10:30:05
2155文字
Public FF14
 

フローレスナイト

#ヒュエメワンウィーク
お題【お祝い】


 ミィ・ケット野外音楽堂を通りかかるそのさなかで、ほかとは違うものの存在を感じ取った。魂の色があきらかに違う。並んだふたつの影を見つめながら、冒険者はすっと息をのんだ。
 あれは――。アーモロートで、エルピスで、そして天の果てでも感じ取ったふたりの魂だ。まさかグリダニアの市街でこうして出くわすとは思わなかった。驚きの再会に思わず駆け寄りたかったものの、一拍おいて思いとどまる。聖歌隊の奏でる歌に、ふたりの魂が呼応している。
「ああ、そうか」
 冒険者はひとりごちる。この音楽堂は星芒祭の会場だ。その祝祭に引き寄せられて、ふたりの魂がここに現れたのだろうと理解する。
 ――なら、邪魔はしないほうがいい。
 冒険者は踵を返す。聖歌隊の歌声が風に乗って届くなかを歩き去るさなかにも、ふたりの魂の輝きを感じていた。ツリーに飾られた星のように、あるいはその光で闇を導くように。愛にあふれたふたつの魂が、この星に祝福をもたらしている。
「いい夜を」
 そう呟いた冒険者の口許は、穏やかな笑みをかたどっていた。