芸能パロシリーズの短編集/A5/P.12/コピー本/全年齢/通頒¥60(製本済)/ネップリ¥120(セルフ製本)
通頒:
おうち通頒folioにて 2025/12/13(土) - 28(日)予定
ネップリ:2025/12/20(土) - 28(日)予定 ネップリ詳細は4ページ目
※通頒は
これからきっともっと好きになるとのセット注文推奨。手数料・送料がかかるため、単品でご希望の方はネップリの方がお得です。
お品書き
※コピー本のためいずれWeb再録予定。紙で欲しい方、早く読みたい方向け。
鑑賞会 @久々綾邸
(前略)
テレビの前のソファにあやと二人で仲良く隣り合わせで座る。一緒に映画を観る時などは大体このポジションだ。あやは番組が始まる前からご機嫌で、始まってからはそれぞれのシーンに楽しそうにコメントを入れている。隣の兵助の腕を抱き、指を絡めたり肩に頭を載せたりとスキンシップも忘れない。
画面上でも隣でもにこにこ楽しそうにしている妻の姿は眼福だ。可愛い。口に出したら一層幸せそうに笑ってくれて、結婚して良かったと幸せを噛み締める。
けれど、ただ妻の可愛さに浸っていることもできない。これは新婚旅行なので、当たり前だが妻の隣には常に自分がいる。そして客観的に見た自分は、自分でもちょっと目を疑うくらいにデレデレと浮かれている。
「俺、こんな浮かれてた?」
「うん、可愛かったよ?」
「あ、そう」
旅行VTRを見るのは初めてではない。スタジオ収録時に何度か見ているはずなのだが、こんなに酷かっただろうか。己の言動には全て覚えがあるのに、受ける印象が思っていたのと随分異なる。俳優として他人からの見え方にはだいぶ気を遣っていたつもりなので、自分の所業にちょっと納得がいかない。事務所がOKを出したのも心配になる。
VTRを見ていた立花先輩が撮影終了後に兵助を呼び出して「大丈夫なのか?」と声を掛けてきたのも今なら納得がいく。あの時は「何を言っているんだ?」と思っていたが、今なら自分でも「こいつ大丈夫か?」と思う。
恥ずかしいので、自分のことはなるべく視界に入れないように可愛い妻の姿だけを目に焼き付けていると、CMに入った途端にあやが隣で笑い始めた。
「なに?」
「んー? 照れてるの可愛いなと思って」
なんだか揶揄われている気がする。不本意だがあやは喜んでいるようだった。あやが良いならいいか。既に放送しているので後悔したところでどうにもならない。もし次があれば今回の反省を活かすだけだ。あるかはわからないが。
そうして一時間のオンエアは、あっという間にエンドロールへと変わった。隣でちょいちょいと服の袖を引かれてそちらを見ると、あやがにこにこと画面の中の自分たちを指差している。スタッフに要求されてキスをするところだった。兵助が認識したのを確認してから、あやの瞳が瞼の奥へと消えた。キスを要求されていることは明白で、気恥ずかしさを誤魔化すようにその可愛らしい唇にそっと自分の唇を重ねる。
唇を離して見つめ合う。至近距離にあるあやの目尻が緩む。続きを期待されているようだと判断してもう一度唇を近づける。しかしそれが触れ合う前に、ちろん、と間抜けな音が響いた。兵助のスマートホンがメッセージの受信を告げた音だ。
(後略)
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