燈 ともしび
2025-10-31 21:32:19
5126文字
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ぎゆさね 狼オメガバース【証】

狼立ち絵に滾って書いたお話です。
私の趣味と好きだけを詰め込んで書いたのでとても楽しかったです🤤

[注意書き]
ご都合展開多めです。シリアスと見せかけてらぶこめ。
狼パロなので全員狼です。でも人の姿も取れます。基本は人の姿です。
なんちゃって自己都合多めなオメガバースです。アルファー、オメガという表記は出てきませんが🌊さんがアルファーで🍃さんがオメガです。

そんな感じてゆる〜くなんでも許してお読みくださる方のみ先へお進み下さい。
よろしくお願いします。

Happy Halloween🎃👻🍬



 訳は分からず。
 でも、目の前の男は真剣な眼差しで俺や俺の大切な家族を必ず守ると言った。命に換えてもかならず守ると。
 だから、俺はその手を取った。
 義勇の番になると決めた。


「にいちゃん」
「おう」
 転がるように駆け寄ってきた弟を抱き止める。
 玄弥は最近人の姿をとれるようになった。まだ変身が上手ではないので耳や尻尾が付いているのだけれど、まァ可愛いから許す。俺は兄馬鹿だし、もふもふの玄弥の耳や尻尾の感触は癒しだから。ぎゅっと抱きしめて今日も幸せを噛み締める。

──義勇はあの時の約束をちゃんと守ってくれた。
 俺や玄弥、母ちゃんは今日も元気に幸せに生きている。それは全て義勇が俺たちを保護してくれたからだ。

 三匹ぼっちになってしまった俺たち銀狼族と違い、義勇たち黒狼族は人と共存することで身を守り、数を増やしていた。
 元々黒狼族は手先が器用で、装飾品を作ったり人間には作れない作物を育てたりするのがとても上手いらしい。そしてとても頭が良かった。自分達しか作れない物を、言い方は良くないが武器として人間を脅したのだ。いわく、俺たちに害を与えればこれらの品は二度と手に入らないぞと。
 その結果、黒狼族は人間に脅かされない権利を手に入れた。
 あと、自分たちの住処を山の上だけと決めたのも良かったらしい。天候に左右されがちで寒暖差の激しい、過酷な地である山の上は人間には住みにくい場所だ。黒狼族がそこだけに住むと決まっていれば人間の土地を脅かさない証にもなる。
 そうして黒狼族と人間は上手に共存していた。
 そんな黒狼族に保護された事で俺たちも人間から狙われることが無くなった。

 すげえ。
 とにかく全て人間と関わらないように暮らしてきた俺たちには思いつかなかったことだ。
 保護されてすぐ、その話を聞いて思わず感動して
褒めちぎっていたら、何故か説明してくれた義勇の顔が赤くなった。
 熱でもあるのかと不思議に思っていると
「それはね、全て義勇がやったのよ」
 と、義勇の姉である蔦子さんが笑いながら話してくれた。
「え」
「あの子ね、うちの王だから」
「え!」
 そんなの知らなかった。知らずに俺は黒狼族の王の番になっていたらしい。義勇はいつも優しくて偉ぶらないから思いもしなかった。
……俺一人の力ではない」
 そう言うけれど、やっぱり俺はすごい事だと思ったので更に褒めまくった。褒めて褒めて、拍手までしたら義勇はとうとう顔を両手で覆ってしゃがみ込んでしまう。
……勘弁して欲しい」
 耳まで赤くなった義勇を蔦子さんは微笑ましく見ている。
「良かったわね。大好きな子に褒められて」と。
 それを聞いて俺も顔が赤くなった。


「銀の狼の一族の、白い狼が運命の番」
 義勇がまだ子どもの頃、そう夢見をしたのは蔦子さんだ。蔦子さんは一族一番の強い夢見らしい。
 元々、黒狼族の王は夢見で番を決めていたのだという。夢見の通りに番を娶ると更に一族の力が強くなるのだと。だから、将来、王になると決まっていた義勇はずっと探していた。自分の番になってくれる「白い狼」を。運命の相手を。それは刷り込みに近かった。初恋だったのだ。

 だがそれは簡単な事ではなかった。
 銀の狼一の族は毛皮の美しさから常に人間に狙われていた。そのために他者と一切関わらないように生きてきた。
 それゆえに義勇がいくら探してもなかなか出会うことはできず、長年探して、探し続けて。やっとその痕跡を見つけられた時には、人間に狩られてもう俺たちの家族しか残っていなかったらしい。
 でも……俺は「白い狼」は生きていた。
 多分、俺が「神の子」として大切にされていたから。だから会えたのだと義勇は言う。

「運命の番に会えないまま死ぬのだと絶望していた」
「生きていてくれてありがとう」
 そう言って義勇は優しく俺を抱き寄せる。愛おしくてたまらない。それが俺にも伝わってくる。
 義勇は俺を大切にしてくれている。俺だけじゃなくて母親も弟もだ。俺と、俺の大切なもの全てを大切にしてくれる。
 だからあの血の契約は申し訳ないと謝る。勝手に結ばれてしまったことをずっと謝ってくる。

 血の契約は、黒狼族の王が番を定める時に行うもの。それは互いの血に触れることで成立する。成立した番は固く結ばれる。それは片方が嫌がっていたとしても離れられないほど、強力なもの。
 あの日、義勇はやっと見つけた俺の手の怪我を見て、とにかく手当をしなければと意図せず血に触れてしまった。あの瞬間、番を見つけられた喜びで本当に契約のことは頭から飛んでいたらしい。そして俺も得体の知れない恐怖から義勇のことを引っ掻いてしまった。そうしてお互いの意思とは別に契約は成立してしまったのだ。

 お互いのことをよく知って、心が近寄ったら契約の話をするつもりだったと義勇は謝る。
 でも俺はそんなに謝らなくて良いのに、なんて思い始めていた。

 だって、そうだろ。
 こんなにも俺や俺の大切なひとを大切にしてくれて、守ってくれて。毎日言葉や態度で愛情を注がれているのだ。
……好きに、ならないほうがおかしい。

 俺は、いつしかこの優しくて強くて賢い黒狼族の
王のことが好きになっていた。運命の相手が義勇で良かったと心から思っている。


 だから、次の満月の夜に打ち明けるつもりだった。次の満月は義勇の誕生日。そして俺の成人する日でもある。
「義勇が好きだ」ってちゃんと伝えようと思っていた。
 運命の番は結ばれれば次の王となる強い狼を産む。俺が子を産むなんて怖くて嫌だと思っていたけれど、義勇の子なら産んでも良いと思っているから。

「だから、もうちょっと待ってろよォ」
 まだまん丸ではない月を眺めてそう呟く。
 あと少しだから。待ってて。
「義勇、好き」
 満月の夜にはちゃんと義勇の顔を見て言うから。

 風は冷たいのに、顔が熱いからちょうど良かった。この熱さはきっと。
 義勇と俺が運命の相手な喜びの証だから。