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su7ga0
2025-10-13 16:44:10
4016文字
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則さに
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いこくじょうちょ
則宗と歩く🇭🇰 再掲です
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一日目
異国へ赴かなければいけない用事ができたという則宗に随伴する事になった。
彼
か
の地まで、日本から飛行機でおよそ五時間程だという。機内食が出たのが嬉しかった。
着陸する間際のことだ。則宗は、「昔は街中に空港があってなあ。ビルの間をすり抜けるように飛行機が着陸していて、恐ろしく思ったもんだよ」なんて話をして、窓の外を眺めていた。
空港からホテルまではバスに乗り、徒歩で移動した。初めて訪れた異国は、どことなく漢方の香りが漂っている気がした。通りは活気があって人が多い。道路にせり出したネオンの看板たちは、昼間だったせいか大人しく見えた。近年は規制により、ああいった看板は徐々に減っているらしい。建築中の建物の足場は竹で出来ており、恐ろしく思った。ぞっとしながら通りを歩いていると、「あんまり上ばっかり見て歩いてると、おのぼりさんがバレるぞ」と則宗に言われた。
二日目
今日はホテルの周りを散策して一日が終わった。日本とは気候も景色も違っていて楽しい。ホテルで夕食を取っていた時、「僕は昔、こっちに住んでいたことがあってな」と則宗は言ったので、またいいかげんなホラを吹いていると思ってため息をついたのだ。胡散臭いものを見る私の表情を読み取った則宗は、「おい、いま、嘘だと思ったろ。じゃあ証拠を見てみるか?」と、少々ムッとしながら手帳から写真を出して私へ見せた。
セピア色の写真には、今と変わらない容姿の則宗と、ガラの悪い東洋人が数人。ごちゃごちゃとした巨大なコンクリートの建物を背景にこちらを睨んでいた。この建物は、もしかせずとも九龍寨城。私が生まれるよりも昔に解体された東洋のスラム。
……
則宗の本当の歳は幾つなのだろう。
写真から則宗へ視線を移すと、満足そうにニヤついていた。「むか〜し昔。仕事の立ち回りで少ししくじっちまった僕は、ちょっとの間日本から離れて身を隠すことになってな。その間、僕を匿ってくれたのが
……
」と、長い話が始まった。
三日目
昨日の則宗の長話は、多分、所々にフィクションが混じっていたのだと思う。則宗の一家の者が関わった抗争のあらましから話は始まったが、徐々に雲行きが怪しくなって、「当時、水上警察と陸上警察は犬猿の仲でな。まあ、僕がそこを上手く宥めて、互いに協力するように説き伏せたんだ。そうして、湾内に潜んでいる海賊を見事に捕らえたんだが、僕は時計塔から落っこちてしまって
……
」なんて言い出した。
……
何だか記憶にある展開だと思ってよく考えてみたら、南泉君と一緒に見た事がある昔のアクション映画の内容と同じだったのだ。そういうところがあるから、則宗はホラ吹き認定をくだされるのだ。
しかし、ゆうべの則宗は、ホテルの部屋で景気よく紹興酒をあおりながら、上機嫌で楽しそうにしていた。私はブランデーをちびちびと飲んだ。
翌朝、頭が痛いと言った則宗は、一日部屋でゴロゴロとしていた。飲み過ぎだ。自業自得だ。
四日目
ホテルから見える夜景はとても綺麗だ。地震はほぼ無いというから、高層ビルが立ち並ぶ。マンションだって日本では考えられない規模の大きさだ。ただし、家賃は時価だというから恐ろしい。
食事も美味しい。しかし今朝は、「僕はな、朝飯くらいだったらその辺の店で注文出来るんだぞ」と、自信満々な則宗に連れられて、粥をテイクアウトすることになった。
則宗は、おすすめだという店の店主に意気揚々と広東語で注文していた。広東語を操る則宗を眺めていると、あの見た目で広東語を話すと、もはや国籍がどこなのか分からない人間だと思ってしまった。注文を終えた則宗はドヤ顔で私の方へ振り返った。
鶏肉と帆立の出汁で、米の形状がほぼ無くなるまで煮込まれた粥は、ピーナッツやら魚やら豚皮が入っていた。とても美味しかった。
明日は飲茶を食べに行くらしい。食べてばかりで仕事をする様子が全く無いように思えるが、則宗は大丈夫だろうか。
五日目
今日は飲茶を食べた後、土産物を見に、下町のナイトマーケットへ行った。刺繍のバッグや服、小物、アクセサリー等、チープだけど意外と可愛いものが多くて目移りした。買い物に付き合う則宗は退屈していることだろうと思ったが、何故か女物のチャイナ服を物色していた。
則宗を見た店主の女(大柄でパッと見は男性と思った)は、私の服を探していると勘違いしたようで、手振りで「チャイナ服を買いたいなら尻のサイズを教えろ」と私に迫ってきた。困っていると、則宗が「尻のサイズは知っているから問題ない」と、私にも分かるジェスチャーで店主へ訴え、追い払ってくれた。チャイナ服はそんなに尻のサイズが重要なのだろうか。
自分の買い物を終え、則宗は何か必要な土産はあるのかと尋ねたところ、「僕はこれを買ったよ」と、何だかいかがわしいお姉さんの写真が付いたトランプを見せてきた。これは山鳥毛さんへの土産らしい。多分怒られると思う。
六日目
現地の食べ物は美味しいけれど、そろそろ故郷の味が懐かしい気持ちになってきた。梅干しが食べたい。味噌汁が恋しい。そんな気持ちを少しこぼすと、則宗は「帰国したら何でも好きなものを食べさせてやるぞ」と言い、「とりあえず今はこれで我慢しとけ」と、胸ポケットから酢昆布を取り出して勧めてきた。流石に則宗の体温であたたまった酢昆布は嫌だったので断った。
その夜、「ちょっとこれを着てみないか」と、則宗が見せてきたのは、丈の短いチャイナ服だった。昨日の店でいつの間にか買っていたらしい。嫌だと言ったのだが、あまりにごねるので、断りきれず着てしまった。チャイナ服の尻のサイズはぴったりだった。なぜ則宗は私の尻のサイズをこんなに正確に知っているのだろう。悔しかったので、仕事もせずに毎日遊び呆けてばかりで良いのかと則宗に聞くと、「お前とのんびり旅行するのが仕事だからな」と、企んだ笑みを浮かべてこちらへ近付いてきた。その後私は割と大変な目に遭った。チャイナ服はまあまあ則宗の役に立ったようだ。
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