sousakuyamamusume
2025-10-08 20:01:25
979文字
Public ヴィクター
 

往診

意外と重いヴィクター


……遅い。」
 行くなと言った。だが彼女は行った。
 そしてもうじき昼休みの時間が終わるというのに彼女は戻ってこない。
 なぁ、リード・リチャーズ。
 またか、またなのか。
 また私は
 貴様に
 全てを、奪われて――
「ただいまもどりましたぁ~。」
……ほう?あの男、来賓に食事の一つも出さないらしいな。」
 私の皮肉に、彼女は首をかしげた。
「え?いや、断ってきたんですよ?『申し訳ありませんが職場で用意がありますんで』って……あれ、外で食べてきた方がよかったです?」
 きょとんとした顔の彼女をみていると、先ほどまでの考えがいかに馬鹿らしかったのかがよくわかる。
……くくく、そうか、そうか……!」
 彼女は、奴ではなく私を選んだ。
 そう、選んだのだ。この私を、彼女自身の意志で!
 これが笑わずにいられるか?
「変なヴィクターさん……。」
 今かなり不敬な言葉が聞こえた気がするが、今の私は機嫌が良い。不問にしてやろう。