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おがら
2025-10-06 22:59:07
2045文字
Public
バキサム
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暑い、熱い。
🦾🪽 全年齢
付き合って同居してる二人の日常。
月いち36の日で公開
厳しい太陽が照りつける夏が去ろうとしている今日この頃は室温管理が難しいというものだ。自宅の空調は全て一括で管理されるもので、年がら年中一定の気温を保てるというのはメリットだが、逆にピンポイントで冷暖房を管理出来ないのはデメリットである。一般的な空調設定で問題のないサムにとっては、ではなく同居人兼恋人であるバッキーにとって都合が悪いのだ。
バッキーは超人ではあるが寒さにとんと弱い。そもそも超人血清を打った人間は新陳代謝が異様に高いためそれに伴って体温や平熱なども問題はない範囲ではあるが一般人より僅かに高いらしい。にも拘わらずバッキーの平熱は一般人より僅かに低く、寒さを嫌う。それは彼の元々の体質ではなく過去の影響だろうというのはカウンセリングの先生から聞かされた話だった。それからというものサムは一緒に過ごしている時は今まで以上に室温に気を遣ったし、寒さが厳しい日は毛布を余分にかけてやったりもした。それはサムが好きでしてることで苦にならなかったが問題はサムが暑いと感じ、バッキーが寒いと感じている今日のような季節の分かれ目の日だ。
「おいバック、暑い。もうちょっとそっち行ってくれ。」
バッキーのことは好きだ。寒さを和らげてやりたいという気持ちもある。だが、暑いものは暑い。隣で毛布を身体に巻き付けた大男がピタリとくっついてくると半身から熱がぐんぐんと伝わりあっという間に全身へ行き届く。大男二人が並んでももう一人分くらいは余裕のある大きなベッドなのだから隙間を空けてくれたらいいのだ。そう思いサムは読書灯に微かに照らされたバッキーの顔を見て言うと薄暗い中でも不満げに表情を歪めるのが見えて心の中だけで小さく息を零す。
「さむ、ほら、こっちの毛布に入れよ。」
バッキーが腕を上げて僅かに隙間を空けたその真っ暗な空間を一瞥してサムは自分の腹にかけた薄手のブランケットを持ち上げてバッキーの視界へ入れる。
「俺はこれで十分。お前はそれで寝ればいいだろ。ハイ、オヤスミ。」
「待て。待てよ。俺は寒いんだ、毛布がないと無理だ。」
「だからお前はそっちで毛布に包まって別に寝ればいいだろ。」
ベッドに入ったのは深夜を大きく回った時間だった。そして明日
――
今日も日が昇った直後には起きなければならないため睡眠時間は限られている。サムがすぐに眠りたい一心で少々ぶっきらぼうに自分とは逆側のベッドの端を指差しごろりと寝返りを打ってバッキーに背を向ける。
「
――
、おいバッキー。暑いって言わなかったか?」
背中にべっとりと張り付く男はそれだけに留まらずふわふわとした手触りの良い毛布をサムの身体に分け与え、その上から腹の位置にしっかりと腕を回してホールドをしてくるのだ。ブランケットは薄手とはいえそれにプラス毛布と腕の重さに、自分よりは少しばかり低い体温が全てサムに伸し掛かってくる。重いし暑いし熱い。こいつの身体が熱くて嬉しいがそれはそれで、これはこれだ。
「なぁサム、頼むよ。寒いし、お前がいないと俺はいやだ。」
――
自分が良ければ人の暑さはどうだっていいのかお前は!
耳に直接吹き込まれる大の大人とは思えない声色の我儘に、サムは眠さに脳が侵食されつつも口から放り出される寸前だった言葉を飲み込んでひとつ息を吐き出す。
「あっちいなぁ
……
、腕上げろ。
――
逃げねぇから。」
腕の力を強めて抵抗するのを宥めるように頭を少しだけ後ろに倒してバッキーの鼻と思われるところにトン、と触れると数秒のあと動けるようになったサムはまず薄手のブランケットを身体から剥がして床に落とし、ベッドサイドのスマートフォンを手に取ると眩しさに目を細めつつアプリを立ち上げて何度かタップをしてから目覚ましのアラームを確認してスマホを元に戻す。
「ほらもう寝るぞ。」
「あ、お前寒くしたな。うぅ、」
読書灯を消し身体をバッキーの正面に向けると先ほどスマートフォンを使用し管理されている空調から数度下げたのを肌で感じ取ったらしい目の前の大男がじとりと見上げてきたため、サムはずり下がっていた毛布をお互いの肩まで引き上げ毛布の中で直接バッキーの腰に腕を回し身体を寄せる。
「、さむ。」
「言っておくが俺は汗をかくからな。」
バッキーが翌朝小言を言おうものなら忠告したと言えるように釘を刺しながらサムは瞳を閉じる。ありがとう。と背中に彼の利き手腕の温度を感じながら小さく聞こえた声に返事はせず腰を抱きしめ直し数回だけ背中を摩ってやる。
わざわざ広いベッドを買ったというのに結局寄り添って眠っているとはおかしな話だ。それでもバッキーの温度を感じ彼が寒がっていないという安心感の方が暑さの不快さより大きく上回ってしまうのだから仕方がない。
寝汗を流すシャワー時間さえ考慮した自身のアラーム設定を少しばかり恨みながら温かな体温と共に数時間の睡眠に集中することにした。
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