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ろころころ
2025-09-22 18:05:56
2676文字
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鍵/pk擬 カゲメル
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2
「
…………
で?新しい鍵を作って部屋を片付けて逃げ場所を作ったのはいいけど、彼女に自分の部屋に逃げ込めだなんて言えない?馬鹿じゃないの???」
「
………………
」
マギアのため息が、昼下がりの食堂に響いた。珍しく腐れ縁の陰キャ蛙が『相談がある』などと言ってきたので聞いてやれば、これだ。
彼と色違いミュウの少女、メルミーが最近仲良くしていることは、マギアもよく知っていた。最初はあんな無愛想な蛙に良くも近づこうと思えるものだ
…
なんて思っていたが、どうやらメルミーも大きな問題を抱えているらしい。それを解決したいというカゲの気持ちはわからなくもないが、何故こうも、後先のことを考えていないというか。彼は夢中になると我を忘れる。昔から変わっていないと、マギアは思った。
「で、何?私に言えってこと?嫌よ、アンタが言いなさいよ。アンタの彼女でしょ」
「か、彼女!?語弊しかないが!?」
「うわ、いきなりが声でかいのよ」
カゲの珍しい大声に、周囲のざわめきが静まり返った。な、なんでもない
…
としおしおと座る両生類を、マギアは呆れた目で見ていた。
「なに?アンタ、まさかあんなにくっついておいて至極真っ当に健全な関係性です〜とか抜かすワケ?」
「か、関係性などと言われても
…
そういうのは互いに了承を得てからの話だろう。彼女とそういう話題になったことは一度も無い、勘違いするな」
「アンタが無愛想だから言いにくいんでしょ。もういいじゃないの、告白でもして合法的に部屋に招き入れれば」
「告白しても合法にはならないが???」
「アンタ、めんどくさいわね」
昼休憩が残り10分を切ったことを伝えるチャイムが鳴る。食堂に集まっていたポケモンとトレーナー達は、順々に立ち上がり食器を片付け始めた。マギアも流れに身を任せ、トレーを手に立ち上がる。
「どっちにしろ、行動するなら早くした方がいいわよ。あの子がいつ捕まるかわかんないんでしょ?」
「
……………
そうだな。お前の言う通りだ」
******************
試合を終えたカゲは、いつも通り中庭で日向ぼっこをしていた。いつも通りじゃないとしたら、それは、カゲがその手に自室の鍵を握っていることくらいだ。
きっと彼女は、あと数分でもしたらやってくる。今日はどんなイタズラを仕掛けてくるだろうか?わからないが、きっとあと数分後には、カゲは彼女のイタズラで顔を顰めることになる。
だけど、カゲはその瞬間が嫌じゃない。
むしろ最近は、それが彼女が無事だと知れる瞬間になっていた。彼女のイタズラで安心している自分がいた。
──────告白、
そんな幼なじみの言葉が頭をよぎる。
自分が?彼女に?番など作る予定もなければ、そんな夢すら見た事のなかったカゲにはあまりにも急過ぎる話だった。
カゲにだってわからない。何故、彼女のイタズラが嫌じゃないのかも。家族でもなんでもない彼女を、こんなにも必死で守ろうとしているのかも。
もしかしたら、彼女に会えば、彼女に聞けば、解決するのかもしれない。
この鍵を渡せば、何かわかるかもしれない。
──────彼女の鼓動の音が、近づいてくる。
カゲは寝たふりで目を瞑りながら、手の中の鍵を強く握りしめた。
Fin.
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