ろころころ
2025-09-22 18:05:56
2676文字
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鍵/pk擬 カゲメル






エオス島の選手達には、決まった寮の決まった部屋を自室として割り当てられている。部屋の割り当ては相部屋が一般だが、申請すれば一人部屋を借りることも出来た。

昔から他人と関わることが苦手だったカゲは、こうして一人部屋を借りて生活している。
彼の部屋は、御三家寮の建物の屋根裏部屋だった。暗くて狭いところは落ち着く。オマケにパソコンやゲーム機、大きなモニターなど、好きなものを沢山おける。一人部屋にはこんなにもメリットがあるのだから、借りるに越したことはない。


カゲはこの部屋に、今まで誰一人も招き入れたことがなかった。自分のプライベートなんて晒したくはない。それは、幼なじみとも呼べる関係性のマギア相手でもそうだった。

しかし今、カゲはこの部屋に1人の少女を招き入れようとしている。



カゲはここ最近、ミュウの少女と共に過ごすことが多かった。空色の体を持った少女は、エオス島のミュウとは異なり『色違い』と呼ばれる特別な体質を持つ。最初は物珍しく思っていたその色も、いつしか自分と似た色のこともあり、見れば安心するようになっていた。

そんな彼女が、とある男達に追われていると知ったのはつい最近のことだった。カゲはいつも通り、試合の合間に中庭で日向ぼっこをしていた。ふとその時、聞き慣れた彼女の声がした。
──────見知らぬ男の声に混じって。

その時はカゲがえんまくを使い、男達を撒いたことで逃げ出すことが出来た。少女に理由を尋ねようとも、少女は答えない。何らかの理由があって、答えたくないのだろうか?カゲはこれ以上問い詰めるのをやめた。自分には、彼女の内面に土足で踏み入れる権利は無いのだから。人嫌いなカゲは、プライベートゾーンにズカズカと入ってくる無神経なやつが大嫌いだった。

その日は彼女の安全を確認し、互いに別れた。
その後も少女は度々カゲの元へやってきたが……前よりも、来る回数が減ったように感じているのは、気のせいではないと思っていた。


──────きっと、彼女の身に良からぬ何かが迫っている。


カゲは直感的に、そう察していた。
だから、カゲは"エオス島で最も安全な場所"を彼女の逃げ場にすれば良いと考えた。

──────そう、それがカゲの部屋。

カゲの部屋には、かつてエオス島について調べた文献や、ユナイト運営についての情報をまとめたリストなど、見られてはいけないものがたくさん詰まっている。だからこそ、セキュリティも安全で、カゲが試合で部屋を離れている間も誰かが侵入できないようなシステムになっている。

彼女にこの部屋のキーを教え、彼女が逃げ込める場所として提供する。それが、カゲが思いついた一番のやり方だった。女性を男の自室に入れるというのは少々気が引けるがだとしても、あの男達に捕まるよりはマシだと思う。男達に追われていた時の、彼女の必死な表情を見たからこそ言えることだが。もちろん、彼女には拒否権もあるのだし、断られたら無理強いはしない。そういう体で、カゲは彼女が簡単に鍵を開けられるようなシステムを開発していたのだ。