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roku
2025-09-11 08:49:11
1892文字
Public
松エジ
ホワイトデー【松エジ】
・バレンタイン→
https://privatter.me/page/68c20569b6fa3
の続き
・一之倉は親友の松本が沢北に取られたことにより彼への当たりがきつい
・飴は硬くて長く口に残ることから『ふたりの関係が長く続く』という気持ちが込められているとか
ククvol.2に合わせて掲載した話
pixivから移動(2025.4.12掲載)
「聞いてください!!松本さんが〜」
べそをかきながら一之倉に抱いついている人物こそ、山王バスケ部始まって以来の二枚目と言われ、そのバスケ部でエースを張っている男、沢北栄治。
「嫌だ。離れろ」
低くドスの効いた声で静かに抵抗を示す。
「何でそんなこと言うんですか!?かわいい後輩が話を聞いてほしいって言ってんのに!!」
「かわいい後輩とか、自分でよく言えたな」
一之倉は離れるどころか巻き付けている腕に力を込めた沢北にさらに冷たく言い放つ。
「も〜!そこじゃなくって!!」
「どうせくだらない話に決まってる。お前はいつもそうだからな」
「うぅっ
……
イチノさんってオレに当たりきつくないっすか!?」
「それはお前が悪いベシ」
「へっ?」
「んだべな」
「え?え??何でっすか!?」
深津と河田に自分が悪いと言われ、涙を浮かべたまま野辺に視線を向け答えを求める。
「まぁそれは、ねぇ
…
仕方ないと思うよ」
これ以上は聞いてくれるな。そんな思いから視線が宙を彷徨っている。
「ちょっとぉ〜野辺さんまで曖昧な答えやめてくださいよ〜!」
「とりあえず離れて」
溜息混じりに腕を引き剥がした一之倉は沢北と目を合わせることもなく談話室を出て行った。
その後ろ姿を見て「オレ、怒らせるようなこと、何かしたっすか
…
?」と拗ねたように小さく漏らした。
◇
「沢北と何かあった?」
一之倉は部屋に戻るなりベッドにうつ伏せ雑誌を読んでいる松本へ問いかけた。
「いや別に」
「んー。じゃあ質問変える。沢北に何かした?」
「何かって?」
「したんだ」
「一之倉に隠し事はできねぇな」
「泣きついてきた」
鬱陶しいから戻ってきたけど。と付け加えれば、ははっと口を開けて笑う。
「バレンタインにチョコくれたから今日返したんだよ」
「あぁ。ホワイトデーだもんね」
「それだけ」
あまりにも呆気ない事実に一之倉は「それだけ?」とオウム返ししてしまった。
「あー
…
」
松本はさらに沢北が一之倉に泣きついた心当たりがあるようで視線を泳がせた。
「何?変なもんあげた?」
「いや、飴」
「飴って
…
あいつ意味知ってんの?」
「知らないんじゃねぇか」
「だろうね」
「それはまぁいいんだけどよ
…
」
「まだ何か?」
「口移しした」
「
……
はぁ!?」
普段深津に次ぎ表情を変えない一之倉が思いっきり顔を顰めている。
「いや、だから」
なぜ親友と後輩のそんな話を聞かなければならないのか。
「聞いてたからもう黙って!それ以上聞きたくない!」
「何かしたか聞いてきたのは一之倉だろ?」
「そうだけどもうわかったからいいってば!そんなことにオレを巻き込むな!おやすみ!!」
一之倉は電気を消してベッドに潜り込み、頭のてっぺんまで布団を被った。その後は松本が何を言ってもうんともすんとも言わず、微動だにしなかった。
◇
一方談話室では一之倉に話を聞いてもらえなかった沢北が残っているメンバーを捕まえ「聞いてくださいよ!!」と再び大きな声を上げる。あは
…
と苦い笑いを漏らした野辺と呆れた表情で肩を竦めた河田。深津に至っては無言でくるりと踵を返す。沢北は逃がすまいと深津の後ろからガバッと抱きつき縋りつく。
「
……
河田、野辺。何とかするベシ」
「ごめん」「無理だべ」
ふたりが同時に答えたので、深津の口からは大きな溜息が漏れた。額を押さえたまま「早く話を終わらせろ」と接尾語を取り払い、話の先を促した。
「今日ホワイトデーだったんで、松本さんにお返し貰おうと思ったんす」
「“あげたから返せ”は違う気がするべ」
「えぇー!!何で!?」
「沢北はお返しがほしくてあげたの?」
「
……
違いますけど」
「くれなかったから怒ってるベシ?」
「それも違いますよ」
どうやらバレンタインのお返しを貰えなかったから拗ねているわけではないらしい。
「わがんね」
「くれましたよ」
「なら何に不満があるの?」
「飴
……
だったんですよ」
「松本はなかなかやるベシ」
「は?何がやるベシなんっすか!?食べかけのやつっすよ!?」
まさかの沢北の発言に固まる3人。
「ほら!ありえないっしょ!?」
「オレらは何聞かされてる?」
「完全惚気だべな」
頭を抱え呆れた3人の溜息が談話室にこだまする。
「え?待ってくださいよ!惚気じゃないっす!」
「ホワイトデーの飴の意味知ってるベシ?」
「知りませんけど」
「どうせそんなことだろうと思ったベシ」
意味を教えることなく談話室を出て行った深津。残る河田と野辺に教えられた沢北は、急いで松本の部屋へ向かったのだった。
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