roku
2025-09-10 08:29:57
1302文字
Public 松エジ
 

大掃除【松エジ】

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pixivから移動(2024.12.27掲載)

年の瀬が押し迫り世間が慌ただしくなる中、松本と沢北は大掃除をすることになった。なぜそんなことになったのか。元をたどれば沢北が「年内にやっておかなきゃいけないことありますか?」と松本に訊ねたからだ。そうだなと顎に手をあて少し考えたあと、「大掃除」と主婦みたいなことを言い出した。沢北は「本気で言ってんの?」と抵抗を示したが、自分から訊ねた手前それ以上強くは出れなくて、窓拭きクリーナーと雑巾を手に、ベランダに出た。
「で、何でオレが外なんだよ!」
閉まった窓の向こう側でキッチンの換気扇を掃除する松本に目をやり悪態をつく。もちろんそれなりの防音が利いているため沢北の声は届かない。
はぁと白いため息を吐き、右手のスプレー缶をシュッと吹きかけ、それを左手の雑巾で拭き取れば、先日松本から貰ったクリスマスプレゼントである指輪がキラリと光った。
「へへっ
先ほどの怒りはどこへやら、だらしなく緩んだ頬を引き締めようともせず、寒さで出てくる鼻をすする。そんな沢北は何かを思いついたようにコンコンと窓を叩いて松本を呼んだ。
その音に気づいた松本が視線を窓へと移せば、白い泡で〈みのる♡〉と書かれていた。
あいつは何をやってんだ
呆れたようにため息つき、手を止めベランダへと向かう。ガラガラと窓を開ければ鼻先を赤く染めた沢北がへらへらと恋人の名前を呼ぶ。
「みのるさ〜ん」
………お前なぁくだらないことやってねぇで早くしろよ」
「はい!」
これは威勢のいい返事ではなく、手に持っていた掃除道具を松本へ押し付けた「はい!」であった。
「あ?何でだよ」
「稔さんだけエアコン効いてるとこズルいじゃん!」
「あ?お前がじゃんけん負けたんだろうが!」
……そうっすけど」
ムスッとした表情を浮かべているが、じゃんけんで決めようと言い出したのも、それに負けたのも沢北であった。
「なら最後までやれよ」
………ちょっと休憩っす」
松本は聞こえるように深く息を吐き出し、沢北からそれらを受け取り閉めた窓の内側にシューっとクリーナーを吹きかけた。
……何、やってん、すか?」
「あ?」
「いやいや、オレにくだらねぇこととか言ってたくせに……同じじゃん!」
「恋人の愛にはちゃんと応えねぇとな」
……もぉ………
そこにはでかでかと〈エージ♡〉と書かれていた。

◇◇◇

愛に応えてくれた松本を勢いよくソファへと押し倒しその上に跨った沢北は、覆いかぶさるようにして松本の唇を奪った。
「おい!お前のスイッチどこだよ!?」
「稔さんだってオレに押し倒されてこんなんなってんじゃん!」
沢北の右手が熱を帯び硬度を増し始めた下半身へと伸びる。
「当たり前だろ!」
「じゃあいいじゃん!」
「フッ。まぁ休憩中だからな」
不敵に口角を上げた松本が沢北のスウェットのゴムに手をかけ下着ごとずらした。
ちょ、待って、よ稔さ、ん」
「待たねぇよ」
「休憩になんねぇから!」
「煽ったのはお前だろ?なぁ、栄治」
沢北は握ったはずの主導権をいとも簡単に手放してしまい、声が枯れ足腰が立たなくなるまで愛されたのだった。