sousakuyamamusume
2025-08-29 16:48:38
717文字
Public れいさんの二次創作
 

うつろ

虚木さんとデルタさん


 破格の安さで借りた部屋は事故物件、それも幽霊の同居人付きだった。
 悪霊、になるんだろうか?人間だったら確かに怯えて近寄らなそうな見た目ではある。
「名前は?」
……虚木……虚木……ええと……あれ?」
 苗字は思い出せても下の名前は忘れたか。
 幽霊あるあるだな。
……ごめん……ああ、もう……せっかく俺のこと怖がらない人が来てくれて名前まで呼んでくれるのに……。」
「苗字思い出せてるだけで万々歳だ。」
……でも……
「呼べるだろ、貴方のこと。」
 そうだ。
 苗字まで忘れてるとそもそも自我が崩れて元の人格と似つかないものになってしまうが、彼はまだそこまでにはなっていない。
 良い事だ。
……君は?」
「デルタ。大学生だ、よろしく。」
「デルタ。……良い名前。」
 裂けた口がにぃっと歪む。
 本当に良い名前だと思ってもらえたらしい。