真九龍
2025-08-25 18:58:55
3905文字
Public 小説
 

【鳴ライ】狡イ狩人

鳴海×ライドウでキスのお話。
ライドウにちょっとだけ意地悪する鳴海さん。
注1:両想いな鳴ライになっています。
注2:ライドウremaster版をプレイ及びクリア済み。
注3:間接的ですが、二人は”既に致した”という表現が含まれております。



ソファーの上で仮眠中だったライドウは、鳴海の気配を察知したら直ぐ起きる予定だった。鳴海が帰宅を果たし、予定通り目覚めたのはいいが、任務に因る疲労と倦怠感は想像以上で、身体を起こす事が出来なかったのである。此のまま眠ってしまおうか、いや、起きるべきか、と戸惑っているうちに、鳴海が己の頬に触れて来た。鳴海の掌の熱と、喫煙直後の独特な香りに、ライドウはつい身じろいでしまう。

─止めて下さい、鳴海さん

目を覚まし、其の一言を言えば、鳴海の手は止まったかもしれない。
けど、言えなかった。否、言うのを止めてしまった。
自分が寝たふりをし続けることで、愛しき人は一体どんな行動を取るのか、という好奇心が出たからだ。すると、鳴海はライドウの身体を横抱きし、余裕綽々で立ち上がった。鳴海の香りが由り近付き、胸が高鳴る。
鳴海はライドウを抱えながら、何方の部屋へ向かおうか、と、声を出す。まるで、自分に質問しているかのようだ。ライドウは、心の中で予想する。

─此の人は、自分の部屋には向かわない行先はきっと、鳴海さんの部屋だ

ライドウの予想は当たり、鳴海はライドウの部屋ではなく、鳴海の部屋へと足を運ぶ。綺麗に片付いてないから、という理由で中々入れて貰えなかった鳴海の部屋だが、互いに想いを通じ合わせてからは、出入りの許可が下りた。初めて入った鳴海の部屋は、フロアに本が散乱している程度で、汚い印象は全く以って抱かなかった。ライドウが出入りするようになってからは、鳴海は整理整頓を一層心掛けているようで、室内は大変綺麗な状態を保っていた。
入室した鳴海は、ライドウの身体をベッドに下ろす。

鳴海さんが何時も寝ているベッド鳴海さんの香りが、微かにする此の上で、僕は鳴海さんと身体を重ねて……

情交の記憶が蘇り、熱を帯び始めていることに気付く。此のままでは、鳴海に覚られるのも時間の問題だ。ライドウは眼を瞑りながら、何があっても冷静沈着であれ、と、強く念じる。つかの間、鳴海の手は襟のホックと学生服のボタンに伸び、取り外し、隠れていた首筋と鎖骨を晒す。羞恥心が急上昇する中、鳴海は寝たふりを続けるライドウに容赦無く触れてくる。
顔の彼方此方を、首筋を、鎖骨をなぞる、鳴海の手。まるで、痕を付けていくような動きだ。
重ねた時の記憶が、更に蘇る。
声が漏れ出そうになるも、ライドウは耐え抜き、意地でも寝たふりを継続した。

「可愛い可愛い、俺の愛しき人いい加減に起きないと、悪戯しちゃうかもしれないぞ?」

…………悪戯………~ッ!!─

鳴海の台詞と共に鎖骨から手が離れたかと思うと、今度は両手で自身の頬を包み込み、唇を落としてきた。鳴海の唇と自身の唇が重なったことを瞬時に理解し、体内の熱が増す。

!鳴海さんの舌がッ僕の、口の中に

鳴海の舌がライドウの唇を割って潜り込み、口内の粘膜を舌先でなぞってきた瞬間、甘美な痺れが電流の如く伝番していく。先程吸った煙草の残香も呼気を介し、中を満たす。堪らず仰け反り掛けるも、出来る限り抑え込んだ。声も漏らしてしまったが、此方も何とか最小限に留めた、と、思いたい。
やがて、鳴海の唇はライドウの唇から距離を取り、口内を弄っていた舌も、同時に離れていった。其処まで長くない時間の口付けだったが、少し息苦しさを感じるのは、煙草の残香の所為か、或いは、己を翻弄した舌か、情交を想起させた手の流動か。
ライドウの心は大いに掻き乱されるも、寝たふりだけは頑なに維持した。
鳴海にバレてはいない、絶対に、バレていない筈だ。

「なあ、ライドウ。俺が気付いていないとでも思っていたか?残念、最初から気付いていたよ」

鳴海の台詞を耳にした時、強烈な衝撃と羞恥がライドウに襲来する。
最初からバレているのならとっとと目を覚まし、素直に受諾すれば良かったではないか。後悔の波が一気に押し寄せ、心の内で右往左往とのた打ち回るライドウを他所に、鳴海はライドウの額に唇を落とし、わざとらしく音を立て、直ぐに離れた。そしてそのまま立ち上がり、出前を取ると宣言しながら部屋を退室した。
鳴海の部屋に独り残されたライドウは、左側に寝返りをうち、丸く蹲る。

………ッ─鳴海さん僕が既に起きていることに気付いてて、あんなことを………~ッ!!」

狡い、本当に、狡い人だ。
熱を帯び疼く身体、止まらぬ昂り、触れられた肌、煙草の残香。愛しき人に染められた心身は、求め続けている。ライドウは鳴海のベッドの上で悶々としながら、今夜はどうすべきかと必死に模索するのであった。