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和泉 小夜
2021-08-21 15:55:28
1434文字
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あなたに書いて欲しい物語
「あなたに書いて欲しい物語(
https://shindanmaker.com/801664
)」という診断メーカーで書いたもの。結果は下記のツイートより。
https://twitter.com/3bDeAebacc47/status/1428935793972703234
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「ガラス瓶の中に想いを詰め込んだ」
と、あの刀に云った。真意は伝わらないだろうが。
『そうなんだ、じゃあ今度見せてよ』
『きみの想いなら、屹度、迚も綺麗なんだろうね』
「どうだろうね」
綺麗なわけがないじゃないか。俺の想いが。
こんなドロドロとしたもの。綺麗な筈が無いんだ。
あの刀は俺の想いを、気持ちを、綺麗なものだと思っているようだけれど。
実際に感情が可視化できたら屹度、誰もが幻滅してしまう程に穢れているのだろうと思う。
『きみは綺麗な刀と現し身だから、屹度、感情も綺麗なんだろうね。早く見てみたいなぁ』
嗚呼、ほら、そんな酷く残酷なことを。
「貴方はガラス瓶の中に、想いを詰めないの?」
『僕?僕は、そういうことはしないかなぁ』
「そうなの?俺も貴方の想いを見てみたいな」
「俺ばかりが見せるのは不公平じゃない?俺が貴方に見せるなら、貴方も俺に見せないと」
『そうだなぁ
……
。きみが見せてくれたらね?』
つれない返事だな。
まぁ俺も見せる気は無いし、分かっているのだろう。
『でも、きみはガラス瓶に想いを詰め込んで、どうするの?』
「そうだな
……
、どうすると思う?」
土に埋めるんだよ、この穢れたものを。なんて、絶対に云えないな。
此れを伝えたら自分に寄越せと云われそうだし。
其れ丈は避けたいのだ。
抑々、見られたくないものを、好いた相手に渡すなんて。見られたくない刀の手に渡るなんて。
考えたくもない。とは、思わないのだろうか。
もしかしたら、この刀からしたら、自分の想いというものは見られたくないものではないのかもしれない。
其の辺りの価値観の相違は有り得る気がする。
「百年待ってよ。そうしたら、見せてあげる」
『どうして?』
「俺の、心の準備に百年かかるんだよ」
笑い乍ら伝えると、その刀も笑っていた。
どうにかして誤魔化して、想いを詰め込んだガラス瓶を土に埋めるか。
嗚呼、水に沈めるのもいいかもしれないな。
其の時には少しでも、風化していれば。
「ま、そういうことだから。見せるのは百年後だな」
「待つのは苦手?」
『いや、苦手ではないよ。得意でもないけどね』
そうか、得意じゃないのか。残念だな。
ま、百年も経過すれば想いは消えて、其れを閉じ込めた瓶すらも砕けていることだろう。
「あ。俺、約束があるんだ。じゃあね、みっちゃん」
貞ちゃんが席を外して終った。
『想いをガラス瓶に詰め込んだ、ね
……
』
彼には何が、どんな風に見えたのだろう。
百年後に見せて呉れると言っていたがあれは嘘だろう。
待たせている間に風化させるつもりで、彼は僕に其れを見せるつもりは最初から無いのだ。
つまり此れは、無意味で空虚な約束だ。
あの子は僕に見せたくないものがたくさん在るらしい。醜いと、穢いと、よく言っているから。
つまり自分の想いにすら、そう思っているのだろう。
ねぇ、君は百年、待っていられるのかもしれない。
風化するのを待つだけだから。
でも僕は、君の想いを知りたい。だから、
『百年も待っていられないよ』
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