和泉 小夜
2020-05-10 12:22:16
1409文字
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地蔵行平という刀剣男士

一年以上振りにこのシリーズを更新しました。新刀剣男士の行平くんです。


地蔵行平。
此度の特命調査、慶長熊本で実装された刀剣男士。
刀種は打刀だが、同名の太刀も帯刀している。
太刀で同刀派の古今伝授の太刀と同時実装。
粟田口派の短刀である、薬研藤四郎に容姿がよく似ているらしい。

恐らく、世間の印象は此の様なものだろう。
間違ってはいない。

『行平様、メイドって御存知ですか?』
「冥途か、知っているぞ。吾にも関係の在り、縁の深い場所だな」
『違います行平様、其の冥土ではないのです』

最近本丸に来た吾の話し相手を、太鼓鐘貞宗がしてくれている。
そうすることで、少しでも本丸に馴染めればという加州清光からの配慮だ。
古今には歌仙兼定などの元主由来の縁が在る。
向こうは直ぐに馴染むだろうと判断されたらしい。

『メイドとは西洋の召使です。主に女性を指すのかな……?』
「ふむ、吾の云う冥途とは違うのか」
『違いますね』
「成程、貞は博識だな」

そう伝え、頭を撫でる。
……此の短刀は、迚も可愛らしい。

「どうかしたか?」
『いえ。貴方に貞と呼んで頂けるのが、迚も嬉しいのです』
「そうか」

……しまった、頭を撫で続けてしまっている。
しかし、撫でたくもなるのだ。
無邪気に笑う表情が、とてもいとおしい。

『ふふっ、行平様。俺のこと好きなんですか?』
『そんなに撫でても、何も出ませんよ?俺の髪は柔くも無いですし』

冗談混じりに、そう云われた。

「嗚呼、好きだな」
「吾の話し相手になってくれるところも、人懐こいところも、」
……いつか決壊しそうな、危ういところも。すべて」
「いつか、そなたをすくえたら。などとは。傲慢だろうか」

そう云うと、貞の表情が変わった。

……わかります?危ういの』
「上手く隠してはいるが、そなたは時に危うい発言をするからな」
「自覚をしているなら大丈夫だろう」
『無自覚の者が、居るのですか?』
「そうだな。例えば、そなたの近くにいる刀剣男士だと……
「不動行光や燭台切光忠は、自覚が無いように思う」
「あれらは、そなたに依存しているように見える」
「そなたに依存と云えば、山姥切長義もなのだろうが」
『山姥切長義は大分、俺から自立しましたよ』
「そうか」
『未だに仲の好い友刃関係ですけどね』

嗚呼、恐ろしい。
此の太鼓鐘貞宗は、他刃の弱いところや柔いところに聡い。
それに付け込み、自分に依存をさせてしまう。
そういった行為を無自覚に、しかしそういった体質には自覚が在るのだろう。

吾も、品定めをされているのだろうか。

そう考えていると、貞は吾の膝に寝転がって来た。

『俺、行平様が好きですよ』
『俺の、俺だけの。仏様ですから』
『いつか、俺を。すくってくださいね』

貞はそう云うと、吾の指に自分の指を絡ませて来た。
思わず、愛しいと感じてしまった。
いとしく、かなしい。
貞も、何かに縋らねば生きてはいけないのだろうか。

……そなたが、すくってほしいと思い、願うのであれば」
『ふふっ、約束ですよ?』