とこり
2025-08-16 00:30:22
6300文字
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現パロ①

高校生の生活がわからず平成の高校ベース、もはや家庭家部は勢いのみで書いた歌さに♀(自我)
会話も全て地の文に組み込んであるので読みにくい。

付き合ってほしいと言われたので、心からの親切心で正気の沙汰じゃないからやめた方が良いと五回ほど言った。
それでも諦めなかったので付き合うことになったが、もはやストーカーの域だと思うので、やっぱりやめた方が良かったのかもしれない。
キレると怖いって噂もあるしなあ。
こちら惰性で入った家庭科部、一般部員。
相手は文芸部の部長を務めるご立派な先輩。
なんでも小説、短歌、俳句、詩、随筆なんでも書けるオールラウンダー。
短歌が特にうまいらしく三十六歌仙にちなんで、歌仙と古めかしいあだ名がついている。
なんで三十六?
六歌仙じゃ駄目だったんだろうか。
告白されたが本名は知らない。
きっかけはなんだったっけ?
そうだ図書室。
猿でもわかる10分クッキング的な本を探して図書室にはよく行く。
小難しい本は読めないけど活字を追うのは好きだ。
レシピ本以外、文字が少なくすぐ読めるから短歌とかも好きだ。
特に万葉集。
庶民の歌とか脳直で読める。
本当の歌意(?)なんか知らないけど、雰囲気で。
というわけでクッキングの本を返して、和歌の棚をざっくり眺める。
「初めての万葉集」という簡単に読める本を探したが、いつもの棚に見つからない。
あの本が借りられてるところなんか見たことない。
絶対、どこかにあるはずだとムキになって探していると、声をかけられた。
それが歌仙さんだった。
図書室で声をかけられることも稀なのに、司書ではなく知らない先輩に声をかけられて、心臓が止まるかと思った。
私が小型犬だったらちびってた。
なんの本を探しているのか、聞かれて、聞いたところでわかるんかい、と思いながら答えると、今補修中だと答えが返ってきた。
わかってた。
言われてみれば糸閉じの部分が甘くなっていた。
礼を言いがっかりしてると、同じシリーズの古今和歌集を勧められた。
生憎、古今和歌集は好きじゃないと、丁重にお断りしたら、なんか突然早口で熱弁をふるいはじめた。
最初は一応聞いていたが、くどいし長い。
途中から右から左に聞き流していたが、まあよくしゃべる。
なんか音楽みたいなので、三拍子か四拍子か、小さく指揮を振ってみたがどっちでもなかった。
初対面の先輩だし、一応最後までちゃんと話が終わるのを待ち、丁重にお断りしたら、気分を害したようだった。
わかりやすいし、面倒くさい。
じゃあ、何なら読むのかとまだ絡んでくる。
すごい面倒くさい。
十返舎一九の辞世の句なら読みます、と返事をしたら、待ってなさいと言われた。
私には届かない高さから、本を取り出して渡された。
辞世の句を集めた本で、確かに十返舎一九の辞世の句も載っている。
どや顔に腹が立ったが、要求した本なので借りざるを得ない。
なんか知らんくどくて面倒くさい人に絡まれ、疲れたのでしばらく図書室には寄るまいと思っていたが、肝心のレシピの本を借りるのを忘れたので三十秒で図書室に戻った。
今度は話しかけられなかった。
良かったー。

もう部活は始まっていて、遅刻だった。
クッキーを焼く。
ベースになるレシピはあるが、それぞれ思い思いに焼いている。
みるちゃんはデコレーションが上手。
クッキーでもケーキでも、かわいいデコレーションも、綺麗なデコレーションもできる。
いつも彼氏にあげるから、作る時のまなざしはいつも真剣でそれがとってもかわいい。
出来上がったお菓子をみんなでわあ!っていう時間もすごく好きだけど、まわりなんか見えなくなるくらい集中していて、きっと彼のことしか考えていないみるちゃんを見てるのが私はすごく好き。
クッキーを青く飾ってるのは部長。
最初にアントシアニンの魔術師って聞いたときはどういう意味かと思ったけど、部長の青は本当にすごかった。
ありとあらゆる青を再現できる感じ。
真骨頂はゼリー類らしいけど、まだ見たことない。
なんでも婚約者がいるらしく、その人のイメージが青らしい。
婚約者なんてすごい名家では?と聞いたけど、普通の家だよと返された。
実際、部長は気さくで優しくて話やすい。
部長にアントシアニンの魔術師なんてつけたのは顧問のむぎちゃん先生らしい。
むぎちゃん先生は冗談ばっかり言ってるし、豪快なところもあるし、この人に本当に繊細なお菓子なんか作れるのかなと思うけど、すごい。
むぎちゃん先生のお料理は魔法みたい。
むぎちゃん先生が魔法をかければ、膨らむものはぷうっと膨らんで、とろけるものはとろんととろけて、必要なものは綺麗に整っていく。
本当に魔法を見ているみたいで、これが見れるだけでこの部に入ってよかったって思う。
私は疾風のとこり。
早いから。
手際が良いとか、技術があって作業が早いとかじゃなくて、最低限しかやらないから。
ちなみに走るのは絶望を覚えるくらい遅い。
私はシンプル・イズ・ベストですよ!ってむぎちゃん先生に言ったら、シンプルだけどベストまでは辿り着けてないね、って笑われた。
最初に作業が終わるから、疾風でいいよって言われた。
家庭科部っぽくなくてすごく気に入ってる。
本当は、作る時とか洗い物とか豪快すぎて散らかすから、そっちをつけたかったけど、良いのが思いつかなかったんだって。
ところで家庭科部って、所属するのに二つ名が必要なの?
始まりには遅れたけど、デコレーションとか何もしないから、やっぱり早く終わった。
気が向けばカラースプレーをふる。

辞世の句本は悔しいが面白かった。
詠んだ人の背景を知らないとわからない句もあるけど、フィーリングでビビっとこれ良い、って思えるのが多かった。
うっかり一気読みした。

部活前に時間ができたので本を返しに行く。
と、先日の知らん先輩に声をかけられた。
探していた万葉集の本を渡された。
修理が終わったから、わざわざ取って置いてくれたらしい。
親切だった。
礼を言うと、お安い御用だという返事とともに、もう一冊本を重ねられた。
この間勧められた、古今和歌集だった。
普通にくどかった。
すごい顔をして見せたが、どこ吹く風だった。
ついでに料理の本も借りようと、棚に行くと何故だかついてくる。
親子で作る小学生のためのレシピを手に取ると、前回も料理の本を借りていたねと話しかけられた。
なんで覚えてるのかびっくりして、聞き返すと出て行ってすぐ、図書室に戻ってきて本を借りたからだと言う。
その恥かいたの、私の中では、くどい先輩のせいなんだけど。
そんな感じで見張られてたので、古今和歌集はこっそり棚に返せず借りた。
借りたら、何か読んじゃう。
良い歌もあるんだけど、フィーリングに合わないんだよなあ。

日曜は中学校からの友達の井っちゃんと璃胡ちゃんと遊ぶ。
二人とは別々の高校に行ったけど、誘ってくれるの嬉しい。
映画見て、雑貨見て、本屋見る。
お昼ご飯の時に近況報告を聞く。
璃胡ちゃんは彼氏が三人いる。
三人とも見たことあるけど、一人めちゃくちゃ怖い顔の人がいる。
どう見ても堅気じゃない。
璃胡ちゃんは、ああ見えてちゃんとしているというけれど、どのベクトルにちゃんとしているのか気が気じゃない。
璃胡ちゃんを泣かせようもんなら、勝負を挑みに行くしかないのだけれど、多分、何もできず海に沈められて、無駄死にするしかない。
それがわかってるんだけど、やっぱ勝負しに行きそうな気がするから、あの怖い人には璃胡ちゃんを幸せにしてもらうしかない。
万が一があったら、先に殺してから海に沈めてくれるかなあ。
生きたままは嫌だ。
そんな決意をしていたが、今日の璃胡ちゃんの左手の薬指には指輪がはまっている。
いや、指輪はたまにしているけれど、なんかその指輪についている石のキラキラ具合が半端ない。
明らかにガラスとかじゃない。
婚約指輪的なやつに見える。
この年でそんなことあるのかなとも思うけど、璃胡ちゃんが幸せならなんでもいい。
あの三人のうちの誰かなのか、ほかの人なのか今日は話に出なかったけど、そのうち話してくれるかな。
井っちゃんの方は相変わらずだと言う。
彼氏の一つもできないし、というが井っちゃんには幼馴染の正国くんがいる。
寄れば触れば口げんかして、からかいあって、でもどっちもお互いのこと大事にしてる幼馴染。
井っちゃんは高校になってから、毎日、正国くんにお弁当を作ってるそうだ。
家庭科部の私より勤勉。
どう見ても付き合ってるんだけど、二人とも互いに付き合ってないという。
井っちゃんの友達と正国くんの友達は全員、早く付き合えばいいのにって思ってる。
お似合いの二人なんだ。

本を返しにいったら、また例の先輩に絡まれた。
古今和歌集の感想を聞かれたので、ピンと来ないしやっぱり好きじゃないと答えた。
それは文化や背景を知らないからだろうと突然、また長々と語りだした。
なんなんだ、この人。
おもしれー男ってやつか。
全然、面白くない。
古今和歌部なの?ってうっかりタメ口を聞いてしまったが、文芸部だと普通の返事が来た。
「平安時代がわかる本」を手渡される。
専門の本ではなくビギナーもビギナー。
小学生向けくらいじゃないかという本。
私のレベルが理解されてるの釈然としない。
ついでに、これもどうだい?となんか信じられないくらい手間のかかりそうなレシピ本も押し付けられた。
家庭科部に夢見すぎじゃない?
カスタードクリームの火加減間違えて、モロモロにした回数教えてあげようかな。
二桁行くんだよ。
というか、私が家庭科部って知らないか。

本を返しに行く度に余計な本を押し付けられるようになり、初めてこの文芸部は誰だと疑問を抱いた。
たいがい部長と呼ばれているので名前がわからない。
絡まれてる時に一度「かせん」と呼ばれていた。
かせん……河川……歌仙!
ぴったり過ぎる名前に目を丸くしたが、後で、これあだ名だなと気付いた。
ピッタリすぎるし、歌仙なんて苗字聞いたことない。
いや、下の名前なら可能性があるか?
まあ、とりあえず文芸部部長以外の名前がわかれば、いざという時にいいか。
いざという時っていつだ。
呼ばれてどっか行ったので、辞世の句の本を借りる。
高いところにあって取りにくいけど、また読みたい本だった。
ただ歌仙さんに借りてるところ、見られたくなかった。

土曜日、午前中だけ部活の日だった。
だらだら二時頃まで調理室にいて、むぎちゃん先生に怒られて解散した。
帰りがけにちょも先生を見かけた。
ちょも先生は渋くて、ちょっと強面に見えるけど、物腰は柔らかで、優しくて、授業がわかりやすいから人気者だ。
そのちょも先生が、めちゃくちゃかわいい幼女を連れている。
思わず不審者のような近付き方をしてしまったら、かわいい女の子はさっと先生の後ろに隠れた。
さもありなん。
隠れてもかわいい。
泣いちゃったら困るけど。
ちょも先生は私に気付いて、女の子に挨拶するよう促した。
よううって呼んでた。
女の子は、ちゃんとこんにちはのご挨拶ができて、頭も下げられて花丸で百点満点だった。
聞けばちょも先生の娘らしい。
左手に指輪がないから独身説が有力で狙ってる子も多いと聞いたが、子持ちだった。
アレルギーがなければと、さっき作ったバナナマフィンを差し出す。
目がキラキラ輝いて、明らかに食べたそうだった。
可愛すぎる。
天使。
良かったら美味しいところを教えてほしいな、とちょも先生を見つつ、よううちゃんに言う。
小麦粉と卵は入ってるから、アレルギーが心配だけれど、ちょも先生がいただきなさい、と言ってくれて、よううちゃんがおいしそうにマフィンを食べる。
お菓子が作れることを心底、天に感謝した。
小さいお口でもぐもぐしいている様子は、可愛すぎて永遠に見ていられそうだったけど、一個は多すぎたようだ。
食べきれないことにちょっと困っている。
味の感想を聞くと、おいしかったと笑った。
笑顔も天使。
バイバイと手を振ったら、にこって笑ってくれた。
今度連れてきたら、絶対声をかけてください、とちょも先生に鼻息荒く言ったら、苦笑いされた。
また会いたいんだもん。

一学期の期末が終わった日、待ち伏せされて、きみが好きだから付き合ってほしいと歌仙さんに言われて、泣きながらキレ散らかした。
どこかにギャラリーを潜ませて、からかってるに違いない。
そりゃ、愛想は良くなかったし、生意気な後輩だったけど、そこまですることはないと思う。
わかってるから、ギャラリーを出せ、この鬼畜とべそべそしながら本気で言ったのに、いないと言い張るので手あたり次第、その辺の壁の影とか、草むらとか頑張って探したけど、いた人はみんな関係ない人だった。
そんなに酷いことをされたのかと心配されたが、そんなことされたことは一度もないと答えて脱力された。
何が目的かわからな過ぎて、率直に聞いたら「好きだから告白をしている」と言われた。
理解の範疇を超えている。
本気なら正気の沙汰とは思えないから、やめたほうがいいと心からのアドバイスをしたが、余計なお世話だと言われた。
頭が煮えたぎってふらふらしていたら、家まで送ってくれた。

次の日も待ち伏せされて、同じことを言われた。
いや、昨日結論を伝えたはずでは……
その旨伝えると、助言は聞いたけど答えは聞いていないと返事された。
屁理屈では?
彼氏の有無を聞かれ、いないと答えると好きな人の有無を聞かれた。
いないのなら付き合ってみたらいいという。
そのベタな展開知ってる。
本当にやめた方がいい、と心からの親切心で言う。
やめたほうがいい理由を知りたいと言われた。
私の勘がそう告げているだけなので、ちょっと難しい。
明日までに考えてくると言ったが、帰り道に考えてほしいと言われて、道中うんうん考えたけど全然、出てこなかった。
こういうのって一人で考えないと、ピンと来ない。
家に着いたら明日でもいいと言われた。
じゃあ、初めから明日にしてほしい。

考えた結果、私が面倒くさいという結論に達したので、その旨伝えたら、やってみなくちゃわからないだろうと言われた。
面倒くさいと思っている人に面倒くさいと思っている行為をされて面倒くさくないわけがないのだが、さすがにそれを直接言うのははばかられた。
どうにかしてオブラートに包もうと思っていると、帰ろうかと言われ、歩きながら考えることにした。
うん?
帰ろうか?
家に着いた時、そう言えばこのところ、一緒に帰っているのでは?と気付いたけど、もう家だった。

ああいえばこう言うので、帰り道を変えることにした。
ただでさえ早く終わる部活をあらん限りのスピードで終わらせ、雑談も諦めて、正門でも裏門でもない、弓道部の横をすり抜けられる道を選んで抜けた。
のに見つかった。
今日はこの辺りで来るだろうと思ったと言われて、降参した。
もう無理。
どういう執念なの。
怖いんですけど。
本当に全く好かれる覚えがないと言ったら、本気かという顔をされた。
なんか、そんなフラグあった?
どうして好きになられたのか聞いてみたら、十返舎一九の辞世の句が載ったお勧めの本を、こそこそ借りるのがかわいかったからだと言われた。
ちょっと待って。
どこで見てたの?
ちなみにそのこそこそ借りる姿を何回見たんですか?と聞いたら三回と言われた。
全部見られてたよ!
畜生。
キライ!!