mitsuya753
2025-08-09 20:57:08
12370文字
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‪🔆‬💫 その1

以前呟いた
「🔆💫成立後の再創生、💫は記憶あっても🔆に記憶ないの辛い…
自分を好きになってくれたのはあの時の🔆であって、今の🔆じゃないって分かってるのにどうしても🔆に惹かれてしまう💫と、💫が自分を通して別の誰かを見ていることに気づいて何故か無性にモヤモヤしちゃう🔆の両片思い🔆(→)←←💫…」
から連想して書き溜めてた産物です。これを基にいつか小説にできたらいいな〜

※注意
黄金裔達に以前の記憶を共有している(付き合っていたことも含む)前提。
趣味でモブ穹も含んでます。
全て妄言。
穹くんって好きな人に対して意外と臆病そうだよな〜、この場合ファイノン拗れてそうだな〜というガバガバ理論の思想の元書いてるので解釈違いの方はブラウザバック推奨。
書きたいとこだけ書き込んでるのでまた途中から小説形式に変わってて読みにくいです。

以上、お気にされない方だけ閲覧お願いします。



穹は単純なところがあるので、割と早々に「前のファイノンも今のファイノンも同じだ」的な結論に至って「今も昔もお前が好きだって分かってもらうぞ!」とファイノンにアピールし出す。

しかしこの軸のファイノンは、「今の自分に前の自分を重ねて見られている。彼は僕を見ていない」と拗れてるので、穹のことを開拓者とか君とか他人行儀呼びで接してる。
穹からアピールされても、君が好きなのは僕であって僕じゃないという思考回路のため穹のアピールを跳ね返すし、前の自分に向けられる笑顔に無性にムカムカするため任務等以外では極力関わらないと避けてしまう。

穹も最初は違和感を感じる程度だったが、丹恒のことは普通に名前呼びしてるし、他の黄金裔とは一緒にいるところを見るのに、穹だけ名前呼びすらされない上に‪‪ファイノンから喋りかけられたこともないので確信に変わった。

ファイノンに避けられている。

穹は自己愛が強く自己肯定感も高い。基本的には全員俺の事好きなどというナルシストだが、意外と好きな人に対して臆病なところがある。故に、この避けられている行動に対して「もしかして嫌われてる?」という思考になってしまった。
それでも、やっぱり嫌われているのは嫌だ。
恋人になれなくてもいい。大切な存在だからこそせめて友人として、彼の横にいてもいいと認めて貰えるように頑張ろうと決意した。





開拓の運命を歩む人々は何の因果なのか、厄介事に巻き込まれやすい体質をしている。

「好きです本当に好きなんです愛してます。あなたに俺の全てを捧げてもいい程愛してます」

ナナシビトである穹は正にそうであり、現在進行形で自身のファンだと称する男に、妙に熱量高く絡まれていた。
握手から始まったファンサービス。最初はノリノリで肩を組んだり、写真を撮ったりなど要望に応えていたがだんだんと雲行きが怪しくなってきた。

「ふっ……!まったく、罪な男だな俺は。美少女銀河打者だから男から惚れられちゃうのも仕方ない……が、悪いんだけど俺には好きな」
「だから、これを受け取って欲しいんです!」
「危なっ!?これは?」
「開けてみてください」

軽くいなそうとしていると突然箱を渡される。男は距離感が分からないのか、勢いよく顔にぶつかりそうだった。それを手で止め、奇しくも受け取る形になってしまった。
重くはない、軽くて小さな箱。高級感は無いが、綺麗な青い箱だ。
答えを待って男を見つめるも、前髪で隠れて目が見えない男は穹から見上げられ照れた様子で頬を赤らめるだけ。

(丹恒には知らない人からものを受け取るのはよくないと言われてるけど、まぁファンだし……受け取らずに返したら可哀想だもんな)

そう思い箱を開けた。



身体にまとわりつくような生ぬるい風が二人の間をきる。

一筋の汗が穹のこめかみを伝う。

「お前……これ……


恐る恐る男の顔を見上げる。

風で髪が荒ぶり視界が乱れる。その視界の中で、前髪で隠れていた男の素顔が見えた。


「俺の愛は伝わったでしょうか穹さん。いつまでも見つめていたいほど、あなたを愛しているんです」


そう話す男は隻眼だった。


その歪さに、穹は胃がせり上がりその場に吐き出す。胃液が箱の中のソレにもかかってしまった。
隻眼の男は恍惚の表情を浮かべていて、穹は恐怖と不気味さを感じる。

逃げなきゃ、こいつおかしい

「どこに行くんですか?さあ、口を開けて俺の愛を受け入れて下さい」

穹の胃液で汚れた顎を気にせず掴み、箱の中のソレを取り出して口に運ぼうとしてくる。
抵抗するも、基本的にオンパロスの男性陣は穹よりも力が強く逃げることが出来ない。
恐怖と不気味さで涙を浮かべ、助けを求められる人はいないのかと辺りをキョロキョロするも今いる場所は人目につかない場所のため周りに人はいない。
しかし唯一、少し遠くに巡回中のファイノンを見つけた。こちらには気づいていない様子だ。
穹は咄嗟に助けを求めて声を上げようとし、しかし「自分で蒔いた種だ。自業自得なのに助けを求めて、迷惑をかけて余計にきらわれたら」と理性が働いて口を閉じた。

(アグライアには説教されるかもだけど、こいつを殴って逃げよう)

常に注目を浴びる身である以上、市民には易々と手を出してはいけない。だが、今回は正当防衛だ。強く主張すればアグライアだって理解してくれるはず。
相棒の奇物を出現させようとしたその時。

「やぁ、2人してこんなところで何をしているのかな」
「っ、誰だ!」

予期せぬ第三者の乱入。
男は吃驚して穹から離れる。

!ファイノン
……もう一度聞くよ。なにをしているのかな?」

腕を組んで、にこりと人好きのする笑みを浮かべるオンパロスの救世主。しかしそこにはいつもの彼などおらず、あたたかな天をそのままはめたような瞳は冷ややかな眼差しに変わっていて威圧感を醸し出していた。

穹は突然現れたファイノンに呆然としていたがハッと我に返り、掴まれていた腕を離されたことで男から急いで距離を取る。
すると、なぜか腰を引き寄せられファイノンの腕の中に閉じ込められた。
そのままグッと顎を掬われる。

「!?!!?」
「吐いたのか……汚れてる」

そういい、汚れるにも構わず穹の顎や口元を自身の袖で拭くファイノン。そんな彼に、言葉では言い表せない感情が渦巻いて顔色が赤くなったり青くなったりとコロコロ変わる。
な、なにをしているんだこの男?訳が分からずキャパオーバーしてしまった穹を余所に、ファイノンは再度男をみて告げる。

「君たちは本当に姑息な手口を使うね。ねぇ、元老院の残党」
……なんのことでしょうか」
「しらばっくれても無駄だよ。アグライアから君のことは全て聞いている」

浪漫の麗人曰く、この男は元老院の生き残りだったようだ。黄金裔の中でも異質な穹に目をつけ、気が緩まるタイミングを見計らっていた。最初は穹を殺す算段を立てていたようだが、影から穹を観察する日々を重ねていくうちに、色んな面を知って好意を抱くようになったという。本当にオンパロスの未来を思って行動していたり、綺麗事だけではなく現実的なことも考えていたり、市民に扮して彼に何度か接触を試みたが一介の市民である自分を認知していてくれたり……など、あげるとキリがないがそういった理由で惚れたらしい。
アグライアは金糸でこの男が穹の命を狙っていることを知り決定的な証拠を炙り出そうと監視していたが、男に敵意がなくなったことで拍子抜けしたという。
しかし、芽吹いた蕾は膨らみ、成長を留まることを知らず今回の事態になった。穹の危険を察知したアグライアがファイノンに知らせ、今に至ったというわけだ。

余談だが、アグライアは男がいつの間にか隻眼になっていた事に穹と同じく吐き気を催した。

「好意を抱くのは人間の性だ。それを咎める権利は僕にはないさ。ただ、それを相手に押し付けて自分のものにしようとするのは違うだろう。ましてや、そんなもの……

ファイノンは男の手にあるガラス玉のようなそれを厳しい目で見る。あまりにも常軌を逸した行動だ。

「俺には穹さんしかいないんです。俺を見ていてくれたのは、彼だけなんです……彼を離してください愛してるんです穹さん貴方も俺を好いてくれてますよね」
「ひぇ……
「はぁ……やっぱりこうなるのか。なるべく穏便に済ませたかったんだけどな」

もはやファイノンの言葉を聞いておらずただ一心に腕の中の少年だけを見つめて呪詛のように言葉を連ねる男。
怯えているじゃないか。
仕方ないと溜息をつき、穹の名前を呼ぼうとする。

が、ファイノンは彼の名前を一度も呼んだことがないと気付いた。いつもは「君」だとかそんな呼び方しかしたことなくて、それでも彼は話しかけただけですごく嬉しそうにしてくれて。
だからこそ、今の自分から齎される行動に一喜一憂するくせに、前の自分を重ねてみてる彼が理解できないのだ。

「穹」
……!い、今名前よんだ?」

名前を呼ばれた驚きでこちらを見上げる彼。琥珀の瞳に自分が反射して映り、今だけは本当に今の自分を見てくれている気がして。
だから思わず。


………え?」

「っ」

思わず、キスをしてしまった。

呆然とする2人。片方は嫌われていると思っていた想い人からされフリーズし、もう片方は無意識の行動でしてしまいフリーズ。ゲロを吐いたばかりなのに気にしないのかとは誰も突っ込むものはおらず、そこには思考回路が止まった2人だけ。

しかし、思考をフル回転どころか暴走させた者が1人。

「お前お前!!お前お前お前!!おれの穹さんになにしてるんだ!!」
「!」

金切り声で叫ぶ男にファイノンと穹は正気に戻り、すぐに警戒態勢に入る。隠し持っていたのであろう刃渡り5cmのナイフを取り出して錯乱状態でファイノンに切りかかろうとしてくる。

「正当防衛だ、やるよ」
「おう!」


ーーーー
見事な連携で両サイドから男を殴って無事に気絶させた。
捕獲用の縄でファイノンが無言のまま男を縛りあげるのを見ながら、穹はどうやって切り出そうか迷っていた。

(さっきのって……キスだよな?しかも名前も……初めて呼んでくれた。でもなんで?)

穹は好きな人から脈アリとでもとれるようなムーブをかまされ、ドキドキがとまらなかった。しかし同時に、嫌われているとも思っていたので信じられない気持ちも湧いていた。
いや、嫌いならキスなんてしないはず。
意を決して穹は口を開いた。

「あ、あのさ!さっきのって」
「さっきはごめん。アグライアから相手を煽って正当防衛にしろって指示で、これしかないと思ってキスしたんだ。
……だから、今のに深い意味とかないから、忘れてくれないかい?」

穹の言葉を遮り、自分は彼女からの命に従った迄だとファイノンは少し困ったような表情をする。

「そ……、っかぁ………

……ふん!美少女のキス奪っておいて、贅沢なヤツめ」

軽口は叩くも、明らかにショックを受けている穹。その様子に言葉が詰まってしまう。
けれど、ファイノンは決してキスをしたくてした訳じゃない。本当にアグライアからの指示に従って考えた結果がキスをするという行動だっただけで、断じて、絶対に違う。それに彼が好きなのは、そう。僕であって僕じゃない僕なんだ。

「じゃあ、報告があるからここでお別れだ。君も気を付けるんだよ」

ファイノンは己に言い聞かせるように頭の中で反芻をし、縄で縛りあげた男を連れ穹に別れを告げてその場を去った。


………ふぁいちゃんのばーか……


忘れられるわけないだろ。

穹はしばらくそこから動けなかった。







男を兵に任せ、報告書をまとめるなど諸々をしてアグライアの元へと向かったファイノン。

「私は2人が仲睦まじいと相手に勘違いさせて煽ってくださいと指示しただけで、キスをしろだなんて言ってませんよ」

到着早々にデカイ矢が刺さった。
浪漫の麗人はバルネアでバニオを楽しみながら、金糸で事情を把握していたらしい。湯気の湿気で髪が少し濡れている。

……結果的に挑発出来たんだ。もう掘り起こさないでくれ」
「ふふ、それにしては顔が赤いですよファイノン」
「気のせいだろう」

思い出したのか、白い肌には熱が灯っていた。それを隠すかのようにファイノンは顔を背ける。

……そういえば。彼、直前に嘔吐したようですね」

報告書を受け取り、不備がないか確認しつつアグライアは呟く。

「そうだね。あんなものを見せつけられたんだ、吐いて当然だよ。可哀想に」
「ええ、だからキスの直前に吐いたのですよ。口周りも汚れていたでしょう」
「?ああ、汚れていたから拭ってあげたよ」

こちらへ向かう前に、一度自身のプライベートルトロに寄り服を着替えたため今は綺麗な服だ。といっても、彼は何も食べていなかったのだろう。固形物もなく胃液だけだったから特に汚くは感じなかったが。
そう話すと、彼女の人形めいた美しい顏が呆れたように歪められた。

………ファイノン、例えばあなたの友人が嘔吐したとして。その直後に口周りを自身の袖で綺麗に拭いてあげて、その後にキスできますか?」
「うーん。吐瀉物の処理は手伝うことは出来ても、袖で拭って直後にキスするのは流石に友人どころか家族でも無理かな。それに友人だろう?キスなんて以ての外さ、あはは」
………はァ……そうですか、もう結構です。ご苦労さまでした」
「??」

この男は自分で言った意味を理解しているのだろうか。友人はおろか家族にでさえできないことを、先まで一緒にいた少年にやってのけているのだが。

これは中々に苦労しそうですね、なにかこの硬い思考を破るきっかけを与えなければ永遠にあの英雄の想いは報われないかもしれません。

アグライアは口に出すことはないが、天外からの客人のことを一等気に入っていた。だって彼は無理難題を吹っ掛けたのにも関わらずこの星に救済をもたらすため、千年もの時を経てオンパロスに巻き起こっていたループを断ち切ってくれたのだ。まだまだ問題は山積みだが、彼のおかげで物事は上手く事を運んでいる。
そりゃ可愛がりたいし幸せになって欲しいと願っている。

彼に恩返しするためにも、まずはこの男の心の中にある捻くれたものを正さなければ。

「報告感謝します。今日はゆっくり休んでください」

アグライアはグラデーション掛かった美しい瞳を和らげた。情熱を秘めた思いを携えて。